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「人の死」を決定する遺族…死刑制度に揺れるイランの現状

厳格なイスラム法により、毎年数多く死刑を執行しているイラン。しかし近年、その流れに変化が出て来ているという。最終的に罪人の「生死」を委ねられる被害者遺族。「免罪」制度が広がるイランで起きた、一つのケースと、世界の死刑状況についてまとめています。

更新日: 2014年06月12日

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00mashimashiさん

世界で2番目に死刑が多いイランで撮影された、ある死刑執行の風景

「目には目を」で知られるイスラム法に基づく厳しい死刑制度を維持していイラン。イランでは死刑執行は「見せしめ」の意味も持つため、一般市民に公開されているという。

そのイランで、殺人罪で死刑判決を受けた男が、絞首刑の執行直前に被害者の母親によってその罪を許されたという

世界で2番目に死刑執行数が多いとされるイランで、極刑廃止の動きが市民に芽生えている

息子の命を奪われた母親の「選択」

殺人犯バラルは2007年、マーザンダラーン州ロオヤーン市内で起きたある理由なきケンカで、18歳になる少年をナイフで殺害

絞首台に立たされるバラル死刑囚。イランではイスラム法により、被害者遺族には、首に縄をかけられた死刑囚が立ついすを自ら蹴り外して刑を執行する権利が認められている。

そしてこの日、7年前に18歳の息子アブドッラーさんを殺された被害者夫妻は、犯人であるバラルの処刑の場にいた

執行直前、男は、被害者の母親サメレ・アィネジャドさん(45)に命ごいを始めた

しかしバラルの首に、輪縄がかけられる。 と、その次の瞬間、母親がバラルに歩み寄ったかと思うと、その顔面をすっぱたいた

被害者の母であるアィネジャドさんは、群衆に向かって「息子を失って以来、悪夢のような毎日だった」と述べ、加害者を許す気になれなかったと話した。それでも絞首台の上のバラル死刑囚の頬を平手打ちし、「これで許す」と述べた。バラルの家族は夫妻に駆け寄り、息子の罪を許してくれたことを感謝したという。

そして母親は、息子を殺害した若い男の首からロープを解いたのである

サメレ・アィネジャドさん
「皆の声に後押しされた。これが正解だったと信じたい」

死刑執行が多いイランに広がる「免罪」の流れ

厳格なイスラム法により裁かれる罪人。イランは世界で2番目に死刑執行が多い国として知られている。

イランはイスラム法に基づく厳しい死刑制度を維持している国であり、死刑執行数は非常に多い

イランはデータを公表していない中国に次いで、世界で2番目に死刑が多く執行されていると言われています。

出典grapee.jp

首から縄を外すアィネジャドさん。イランでは、イスラム法により「命には命を」と罪に対する同等の報復を記している反面、「報復を控えて許すならば、それは自分の罪の償いとなる」と被害者の遺族による免罪も促している。免罪の場合、遺族は死刑囚から「血のカネ」と呼ばれる賠償金を受け取る権利が生じる。

一方で被害者の遺族が死刑囚を許せば、罪を減じて死刑を免れる「免罪」の仕組みがある

免罪された犯罪者は360万円相当の賠償金を支払い、禁固刑に服すことになる

バラル死刑囚の場合、禁固12年が言い渡されている。

免罪が「強要」されるような空気に戸惑う遺族感情

バラル死刑囚については先月、映画監督のモスタファ・キアエイ氏やテレビ司会者などの著名人が共同で、遺族に免罪を求める運動を立ち上げていたという。さらに同監督の作品の特別上映会を行い、そのチケット販売から血の賠償金を工面していた。

*画像は映画監督のモスタファ・キアエイ氏

今回の死刑囚については、免罪を被害者の遺族に求める運動が展開され、注目を集めていたという

実際、死刑執行の場に集まった町民ら100人からは「慈悲を!」「同じイスラム教徒だぞ!」などと悲鳴が上がったという

一方で「人生のすべてだった息子を殺された。私の気持ちも分かって」と、サメレさんは拡声機で群衆に叫んだが、心は揺れた

地元紙によると、アリネジャドさんは「夢に私の息子が現れ、自分は安らかで良い場所にいると私に言った」。その一方で「それからは親族が全員、私の母でさえも、犯人を許すよう圧力をかけてきた」と話している。アリネジャドさんは「あの平手打ちは、復讐と許しの中間にあるもの」と答えつつも、「彼を許したことで、私の心は楽になった」という。

事実、サメレー・アリネジャドさんは、死刑囚から「血の賠償金」を受け取って罪を許すことを直前まで拒んでいた

血の賠償金とは、イスラム法で定められている被害者の遺族に対する賠償金です。

それでも首に縄をかけられた死刑囚が立ついすを自ら蹴り外して刑を執行する代わりに、アリネジャドさんは、死刑囚の頬を1度だけひっぱたき、その罪を許したのだ

死刑囚の頬を叩いたアリジャドさんは、その後執行官に免罪を伝えると、夫に抱きつき、むせび泣いたという。

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