しかし、事はそう単純ではない。カジノを特別法で解禁して換金を合法化すれば、パチンコについても特別法を制定して、明文で換金を合法化しようという政治的な動きが出てくる可能性がある。このことを理解するためには、まず、現行法におけるパチンコの法的位置付けを正確に把握しなければならない。
 刑法185条は、本文で賭博を禁止しつつ、但し書きで「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは」罰しないと規定している。判例は、金銭そのものは、その性質上一時の娯楽に供する物とはいえないため、賭けた金銭の額の多少にかかわらず、賭博罪が成立すると判示している。
 ここで、パチンコについては、ホールの近くにある景品交換所で、事実上現金への「換金」が行われているのに、なぜ、刑法で禁止される賭博に当たらないのかという疑問を持つ人がいるはずである。いわゆる三店方式の問題である。三店方式とは、ホール、景品交換所、問屋がそれぞれ人的・資本的に独立していることを前提に、客がホールで提供された特殊景品を景品交換所で現金と交換し、景品交換所は特殊景品を問屋に卸し、ホールが問屋から特殊景品を買い取るパチンコ営業の仕組みをいう。
 風営法は、パチンコ店に対し、「現金又は有価証券を賞品として提供すること」及び「客に提供した賞品を買い取ること」を禁じている。これは、現金や有価証券を提供すると、射幸心を著しくそそることになるばかりでなく、賭博罪にも当たり得るところで、パチンコ店が提供した賞品を客から買い取れば、実質的には現金を賞品として提供したのと変わらなくなってしまうからである。そして、この風営法で禁じられている「買い取ること」には、パチンコ店が客から直接買い戻す場合だけでなく、職業的な景品買受人や問屋など第三者から買い戻す場合も含まれる。ただし、その対象は、自分自身のパチンコ店において提供した賞品であることが前提となる。
 「福岡高裁の昭和43(1968)年6月17日の判決があるから、判例でも、三店方式による換金は適法とされている」との主張を目にすることがあるが、それは不正確である。この福岡高裁の判決は、パチンコ店を経営する被告人が買い取った賞品について、それが、被告人自身が経営するパチンコ店で提供されたものであるかどうかを証拠上認定できない以上は(他のパチンコ店で提供された賞品が混入していると推認される事案であった)、有罪とできないとしたにすぎない。つまり、三店方式による換金を一般的に適法だと判示したものではない。
 法律専門家の立場から、パチンコの三店方式の適法性についての結論を述べれば、パチンコ店が自身のホールで提供した賞品を、誰からも一切買い戻しておらず、風営法のその他の規制も遵守している限りは、違法とはいえない。しかし、世の中のすべてのパチンコ店がその通りの実態であるかは別問題である。また、法律の厳密な解釈を離れた社会的な実態としては、パチンコは賭博に近いと感じている人が一定程度存在することも事実であろう。

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