脚気になると、まず足がむくみ、息切れがするようになり、やがて心不全を起こして死に至る。明治八年(1875年)の陸軍の報告書によると、軍隊では百人中二十六人が脚気になり、死亡率は陸軍で22パーセント、海軍でも5パーセントだったという。脚気の蔓延は軍隊にとって、重大な問題だった。

そこで軍医の職にある人びとが脚気問題の解決に当たることになった。だが、いまのわたしたちのように、「脚気」というのがどういう病気なのか、何が原因によって発病するのか、どう治療していけばよいか、そういった知識がまったくないのである。脚気問題を解決しようと思えば、まずは「どのような症状を脚気と呼ぶのか」という症状の定義から始めなければならなかったのだ。

出典鴎外は卑怯だったのか

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