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働くことって?人生って?西原 理恵子の「この世でいちばん大事な「カネ」の話」

自分の子供や若者に読んでほしくなる本。読むほどに引き込まれていくおもしろさ。

更新日: 2014年07月31日

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useriked123さん

ただの説教臭い話かと思いきや笑いあり現実味のある相談本 田舎の貧困層から這い上がりたい、でもコネとか学費になる金がない人でハングリー精神がある人はぜひ読んでほしい。参考になる。別に漫画家志望でなくても。役立つ本。いわゆる役に立たないお飾り的な自己啓発本とは違います。笑えるし

タブー視されているお金のお話を赤裸々に述べられており、色々考えさせられる本

飲酒で高校を退学処分。水商売でアルバイト。離婚したのち、ガンを患った元夫の最期を看取る―。「おカネ」「男と女」から「ビジネス」「家族」「トラブル解決法」まで、波瀾万丈の人生で培った処世術を伝授する。

内容紹介
『ぼくんち』『毎日かあさん』で知られる人気漫画家・西原理恵子さんが、波瀾万丈な人生経験をふまえて、恋愛、家族関係から仕事、おカネの問題まで、あらゆる悩みに答える「人生相談」エッセイです。主な項目は以下の通りです。「70社受けてもダメ。出口の見えない就活に疲れ果てました」「苦手な上司に毎日のように飲みに誘われます」「結婚して5年。妻がブクブク太っています」「夫が浮気しているようです。追及すべきでしょうか」「息子の部屋からロリコン漫画が出てきました」「60代の父が30代の女性を同棲。妙にやつれてきました」「頼まれるとイヤと言えない性格を何とかしたい」「夫が痴漢で逮捕されました。無実を信じたいのですが」「小銭を借りて返さない同僚に困っています」など。表紙カバーに西原さんのイラストが使われるほか、重松清、角田光代、しりあがり寿といった著名人からの相談に漫画で答えるコーナーもあるなど、文章でも絵でも楽しめます。

経済学より身近な、生活のリアルな話

西原理恵子さんは、1964年、高知県生まれ。彼女の家庭環境の話題から、高校中退、大検、多摩美術大学卒業。職業漫画家として活躍されている彼女の半生です。絵を描いて食べてゆく決心の彼女の行動、麻雀に夢中になった10年間で学んだことや感じたこと、バイトの思い出、赤裸々な体験談、彼女の見つけた生き方に、背中を押されたり、心に針を刺されたような痛みを感じたり、思考と感情の土台がしっかりされた上での内容に、どんどん引き込まれます。□予備校生の売り込み屋□「カネ」って、つまり「人間関係」だ。□通貨の単位は「のり弁」だった。□収入と「がまん」のバランス□スモーキーマウンテンの子どもたちあるテレビ番組で、西原理恵子さんが、「お金」の話をされていたのを聴いて購入した記憶があります。ちょっと長い間、積読状態でした。読み始めて、驚きました。こんなに、いい本だったことに!僕の蔵書は「理論社2009年第5刷」ですが、今、角川文庫から出版され、レビューが204件あることが、この本の評価の高さを物語っています。

最下位には最下位の戦い方がある

やりたいことをやって暮らしていければ、これほどシアワセなことはない。とはいえ、そうやすやすとは「やりがい」と「お金」は両立してくれない。だから、働く周辺からはいつも「お金かやりがいか」なんて、エンドレスな議論が交わされている。

 でも悩んで立ち止まっているくらいなら、とりあえず手足を動かしてお金を稼いでごらん――そう語りかけてくるのが本書だ。

 著者は、体を張った体験漫画で知られる漫画家・西原理恵子。『まあじゃんほうろうき』(竹書房)を筆頭にバクチの負けっぷりをこれでもかと晒し、「脱税できるかな」では税務署相手にバトルを繰り広げ、最近では投資会社のキャンギャル(本人いわく)になり、FXで大損こいている模様を実況中。

 このタイミングでFXとはさすが……という感嘆はさておき、とかくサイバラが描く漫画には「お金」ネタが多い。なぜそこまでお金についておおっぴらに語り、お金が「この世でいちばん大事」と言い切ってしまうのか。それは、本書に書かれている彼女の生い立ちを読めば、痛いほどわかる。

目標は「絵で食べていくこと」

サイバラが生まれた時、母親はすでにアル中の父親と離婚。その後、母親が再婚し、一家は工業団地の貧しい町に引越した。そこでは親は生活苦から殺気立ち、子供は不良になるしか道がない。「将来」が見えなくて、「行き止まり」しかない場所。そこから抜け出そうと東京の美大を受験するはずだった日、今度は二番目の父親がバクチの借金苦から自殺してしまう。だが、「貧しさがいかに人を人でなくすか」という光景を山ほど見聞きしてきた少女は、それでも母親が家中のお金をかき集めた100万円を持って東京へ向かった。

 〈自分は絶対に絵を描く人になって東京で食べていく〉――そう固く決心したものの、現実は厳しかった。通い始めた美術の専門予備校で自分が描いた作品が最下位になり、あっけなく自信喪失。だが、引き返すことのできない彼女はそこで思う。

〈そもそも、わたしの目標は「トップになること」じゃないし、そんなものハナからなれるわけがない。じゃあ、これだけは譲れない、いちばん大切な目標は何か。
「この東京で、絵を描いて食べていくこと」。
 だとしたら、肝心なのは、トップと自分の順位をくらべて卑屈になることじゃない。最下位な私の絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。最下位の人間には、最下位の戦い方がある!〉

自分がやりたいのは、「ゲージュツ」じゃない

自分がやりたいのは、「ゲージュツ」じゃない。「絵で食べていくこと」だと気づき、数え切れないほどの出版社へ売り込みに行く。そうして毎月の目標額である「30万円」を稼ぐに至るのだ。

 すさまじい半生である。大半の人はこれを読んで「自分はまだまだ甘いなあ」と思い知らされるんじゃないだろうか。だが、サイバラは決して自分と同じようにハングリーになってやりたいことをやれ、と根性論を展開しているわけではない。彼女が「最下位なりの戦い」を繰り広げたように、誰にでもその人なりの「戦い方」で稼ぐ方法があるんじゃないか、ということを言いたいのだ。

お金に余裕がないと、日常のささいなことが全部衝突のタネになる

西原理恵子さんのカネの話には、お金を、汚いものとしてでもなく、愛すべきものとしてでもなく、そこに存在しているものとして、人生に生かしていこうという視点を感じます。まさに、この「お金学」の視点と一致するところです。

本書には、西原さんのカネ哲学が満載です。役に立つだけでなく、しっとり心に残る部分も多いのが特徴です。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・お金に余裕がないと、日常のささいなことが全部衝突のタネになる

・カネが「ある」ケンカは、「ない」ケンカより、百倍も二百倍もマシ。カネがないケンカは、ののしるほうも、ののしられるほうも、いじましくって、やりきれない

・貧しさは、人から、人並みの暮らしとか、子供にちゃんと教育を受けさせる権利とか、いろいろなものを奪う。それで、お金がないと、大人の中に、やり場のない怒りがどんどん溜まり、その怒りの矛先は、弱い方に向かい、子供が理不尽な暴力の被害者となる

・「貧しさ」は連鎖する。それと一緒に埋められない「さびしさ」も連鎖していく。ループを断ち切れないまま、親と同じものを、次の世代の子供たちも背負っていく

・女の子たちは、いい目が見られる若いうちに、町から出ていく。いつの時代も「カワイイ」は女の子が世の中と渡り合うときの有効な武器

・人は将来に希望が見えなくなると、自分のことを大事にしてあげることさえできなくなる。やぶれかぶれで刹那的な楽しさを追い求めるうち、モラルをなくしていく

・絵の技術は上達したとは言えなかったけれど、自分の絵を客観的に見る力を養ったことは、そこから道を切り開くために、すごく大きなことだった

・「どうしたら夢がかなうか」ではなくて、「どうしたら稼げるか」と考えてみると、必ず、次の一手が見えてくるもの

・大人って、自分が働いて得た「カネ」で、一つ一つの自由を買っている

・私の生い立ちは、私に、決して振り返らない力をくれた

・笑ってもらうためには、「こんな悲惨な目にあいました」というほうがオイシイ。「痛いはダイヤモンド」。それは、私に限らず、お笑いの仕事をしている人間の「お約束」

・印税が入るようになっても、相変わらず千円、二千円というお金に一喜一憂する。そういう自分を「ちっちゃい」と思うが、自分の生活水準に結びついたカネの実感があるからこそ、ギャンブルや投資をしても、食い詰めるまでの失敗をしないですんでいる

・手で触ることのできない「カネ」、紙の上の数字みたいに見える「カネ」には、「お金を借りる」という感覚まで麻痺させられる。そういう「カネを貸したい側」の戦略に、まんまと乗せられないよう、用心しないといけない

・損したくないことばかり考えていると、人はずるくなる。少しでも人より得しようと思うから、「だったらズルしちゃえ」という気持ちが出てしまう。それが、どんどん卑しい気持ちに結びついてしまう

・お金との接し方は、人との接し方に反映する。つまり、お金は「人間関係」のこと

・小学生の息子に、「アルバイトと世界放浪は、必修科目」と、今のうちから言ってある

・親以外の、外の世界で出会った大人から怒られたり、叱られたりするのは、すごく大事

・給料が高い仕事は、「ガマン料」が高い。「ラクして儲かる」仕事なんて、まずない

・「男子におごられて当たり前」という延長に、「左うちわな将来」を思い描いているとしたら、「いざ(旦那が)失業」「いざ離婚」となったとき、どうやって生きていくのか

・人の気持ちとカネをあてにするというのは、「自分なりの次の一手」を打ち続けることを自ら手放してしまうこと

・「カネとストレス」「カネとやりがい」の真ん中に、自分にとっての「バランス」がいいところを探す

・自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬

カネがないと自由になれない

漢字にルビが振ってあり、言葉遣いも丁寧なので、今社会に出る準備をしている中学生にも読んでもらいという思いもあったのかと思います。

 高校生が自宅でいろいろ偉そうなことを言っても、親のカネで建てた家に住み、親のカネで作ってもらった食事を食べて生きている以上、最後のところで親の言うことを聞かなくてはなりません。そういう意味で、本当に真理だと思ったがカネがあると「自由」になれるというところです。

 実際、彼女はカネが無いが故におかしくなってしまった例を提示していきます。例えば、カネが無いがために、彼女から借りたカネを返すことができず、合わせる顔もなくなり、結果疎遠になってしまった友人など、自分の経験などを基に、カネの大切さを語っていきます。

最下位なりの闘い方

彼女は自分も同じ貧困生活を送ってきたとして、どのようにはい上がってきたかも述べています。

 武蔵美に入学したものの、自分の絵が学内で最低レベルであることを思い知らされる現実、しかし、最下位には最下位の闘い方がある、と必死に売り込みを行い、どんなつまらないイラストやカットでも喜んで書かせてもらった経験。

 実際、学内で成績の良かった同級生は、プライドが邪魔をして、エロ本のカットなどは書けなかったそうですから、本当、こういう話は私のような頭でっかちの人間にはタメになります。

 私自身、初めて中国に留学した当時の中国は、間違いなく発展途上国で、どこで食事をするか本気で心配しなくてはならなかったのが忘れられません。人間切羽詰まれば、英語でも中国語でも嫌でも話せるようになるものだと本気で思ったものです。

いじめに対する対処

いじめにあっている子供に、「世界には食事もろくにとれない子供達が沢山いるのだから、そうした子供達に比べればはるかに幸せだ」と言うことがどれだけ意味があるかと述べたことがあります(苦しんでる人に、その人の幸せを説くことは可能か?)。

 基本的に学校という「世界」しか知らず、そこから抜け出せないという現実がある以上、かなり難しいかと思う一方で、学校とは違う別の「世界」を見せることができれば、それなりの効果があると考えています。

 別の世界があるとわかれば、最悪そこに逃げこめば良いわけですし、今いる自分の世界を相対化して見ることもできるようになります。こうした心の余裕ができるだけでも大分違うのではないでしょうか。

 それでもダメな時は、彼女自身も述べている様に、逃げるというのも1つの選択肢で、これも本当によく理解できます(『孫子』の兵法にもありますが、勝てないとわかった時は、勝てる準備をして再度望むべきで、それをしないで玉砕しても何にもなりません)。

どうしても、「金融教育」となると株式売買などの話が前面で出てきますが、もっと現実に根付いたリアルなカネの話こそ、ネット(ヴァーチャル)全盛の今だからこそ求められているものではないのか、ふとそんなことを思った

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