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最近話題の自衛隊の輸送船「はくおう」「ナッチャンWorld」とは?

南西諸島有事・大規模災害時などでの活用が期待される「はくおう」「ナッチャンWorld」について解説しています。

更新日: 2019年09月12日

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西部方面への転地演習での輸送

平成26年度鎮西演習(鎮西26)にて大在公共埠頭に寄港中の『はくおう』 
移動する部隊を見ようと、埠頭へ来てみると、高射部隊の車列の中に機動戦闘車を発見

機動戦闘車は105mm砲を装備する装輪式の装甲車である。有事には戦車よりも優れた整地での戦略機動性と戦車に準じる火力をもって初動対応に当たることを期待されている。

左下に地対空誘導弾部隊を乗船させている写真がある。

「ナッチャンWorld」とは

ナッチャンWorldは、東日本フェリー(2009年解散)が青森港と函館港の間(青函航路)で 姉妹船の「ナッチャンRera」とともに運航していた高速フェリーである。

112m級ウェーブ・ピアーサー2番船で、船体番号は065。青森港 - 函館港間をおよそ夏季1時間45分、冬季2時間15分、深夜便2時間30分で結んだ。

ウェーブ・ピアーサーという水中に浸かる船体部分を少なくした船型を採用しており、水中抵抗を少なくすることで高速航行ができる。

2011年夏から秋にかけて、左舷後部の車両出入口にランプを増設した。11月10日からおこなわれる陸上自衛隊の日出生台演習場での訓練のため、北海道の苫小牧港から大分県の大分港まで90式戦車4両と89式装甲戦闘車10両等を輸送した。この航海は訓練期間中待機だったため、合間に別の陸上自衛隊の部隊を九州各地から九州の島嶼部に輸送し、この航海で大分県大分市大分港及び別府市別府港、鹿児島県奄美市名瀬港及び志布志市 志布志港、長崎県対馬市厳原港への寄港実績を作った。

当初、ナッチャンWorldはナッチャンReraと同じく船尾ランプウェイのみ装備のため荷役接岸時は船尾ランプウェイしか利用できず、この船尾ランプウェイが船体の吃水面から高い位置にあるため港湾設備は同型船専用に整備された専用岸壁と船尾接岸が必要だったが、2011年10月に同年起きた東北地方太平洋沖地震以降利用が多くなった自衛隊輸送を鑑み一般の整備されていない岸壁でも使用できるように後部ランプウェイの左舷側に舷側接岸時使用できるランプウェイの増設工事をして、大きく異なる外観的特徴となっている。

ナッチャンWorldに増設されたランプは米海軍の高速輸送艦に搭載されている物と同様の物である。

西部方面への転地演習での輸送

右下に北部方面隊の96式装輪装甲車を輸送してきたナッチャンWorldが写っている。

チャーターする民間フェリーは津軽海峡フェリーのナッチャンワールド。搭載するのは陸自の最新鋭戦車で、道内では第2戦車連隊(上川管内上富良野町)だけに配備されている10式戦車3両や87式155ミリ自走りゅう弾砲3両、87式自走高射機関砲2両など。ほかの車両を含めると、最大で40両程度になる見通しという。走行用ベルトの戦車と自走りゅう弾砲、自走高射機関砲は、各駐屯地から港までトレーラーに乗せて運ぶ。

民間輸送船導入の背景

既存の海上自衛隊輸送艦では、おおすみ型輸送艦がトラック65台を積載可能であるが、災害派遣などの経験から、より輸送力の高い輸送艦が求められていた。

おおすみ型輸送艦では港湾以外の砂浜などにも車両を揚陸させることができるという利点があるが、船体の小ささから輸送量は輸送艦としては小さい。

東日本大震災の際には同型艦3隻の内2隻が検査中、1隻がインドネシアでの災害対策演習に向け航海中であったため即応できなかった。

同じ能力を持つ輸送艦を新造すれば約100億円かかり運用経費も必要になるが、PFIで民間フェリーを転用すれば年間使用料としての数億円だけで済むという。

輸送量を増やしつつ、コストを抑えるために民間船を活用する方針に。

乗務員は予備自衛官を活用へ

島嶼防衛など有事の際の運用に際して、民間企業の船員を使用すると、紛争地域への立ち入り制限を受けるなど制約が生じることが考えられる。このため、船員は主に予備自衛官を活用し、「はくおう」については、通常の訓練および整備は従来通り新日本海フェリーに委託して行う方針である。

乗組員には「予備自衛官」を活用する方針。自衛官を退職後、有事に自衛官として働くために事前登録している人たちだ。外国軍に侵攻された地域などに部隊を運ぶ場合は民間の乗組員は立ち入りが制限されるためだ。

防衛省が、海兵隊機能の柱として導入する「高速輸送艦」について、PFI方式での民間フェリー導入を検討していることが25日、分かった。PFI法に基づき特別目的会社を設立し、平時は定期運航などの運用を委ね、有事や訓練の際に自衛隊が使用する。厳しい財政事情を踏まえ装備導入費を効率化するためで、有事での自衛隊の優先使用権も確保する方針。

災害対応能力の向上にも寄与する

「はくおう」は、潜水救難艦兼病院船とは別に大規模自然災害や武力紛争など有事の際に、野外手術システムを積み病院船としても運用予定であり、今後試験運用が行われる予定とされる。

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