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リチウムイオン電池導入でさらに隠密化する海自「そうりゅう」型潜水艦

海自潜水艦「そうりゅう」型へのリチウムイオン電池搭載によるメリット・デメリットを解説しています。

更新日: 2019年04月21日

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Parabellumさん

潜水艦へのリチウムイオン電池搭載

防衛省は、2015年度から隠密性のより高い潜水艦の建造に着手する。鉛蓄電池に代えてリチウムイオン電池を搭載し、長期間の潜航を可能にする。浮上回数が減ることで、これまでよりも敵に発見されにくくなる。

通常動力潜水艦では潜水時は電池に溜められた電力を用いて行動します。電池を充電するにはディーゼル発電機を稼働させる必要がありますが、これは非常に浅い深度でしか行えません。そのため、電池を充電する時は敵に発見されやすくなります。電池容量が増えれば、充電のため浮上する回数が減り、長時間の潜水が可能になるので発見されにくくなります。

Defense News によると、海上自衛隊のこじま・やすし報道官は、「そうりゅう」型潜水艦4隻に、リチウムイオン電池が搭載されると発表した。

14年度に続いて15年度も1隻建造する計画で、概算要求に644億円の費用を盛り込んだ。14年度予算に計上した建造費517億円から100億円以上高くなる。

100億円のコスト増にはリチウム電池の採用が大きく影響している。

DSRVとは深海救難艇のこと。沈没した潜水艦の乗員を救助するのに使われる潜水艇である。

そうりゅう級の大型電動機には電源が三種類ある。ディーゼルエンジン、主蓄電池、AIPエンジンである。ディーゼルエンジン運転には大気が必要なので浮上中またはシュノーケルで蓄電池に急速充電する。AIPエンジンは少量のディーゼル燃料と液体酸素を使用し長時間低速の潜航移動が可能。その間に蓄電池は完全充電される。蓄電池は超静粛移動や高速水中機動に使うが急速に消耗してしまう。

鉛蓄電池とAIPを設置している空間に大型のリチウムイオン電池を積むことで、これまで最大2週間程度だった潜航期間が「格段に伸びる」(防衛省関係者)という。建造費や維持管理費を含めた、15年間使用した場合のライフサイクルコストは、現行の1000億円よりも安くなる見込みだという。

小林海将は、AIPを搭載せずディーゼル発電機とリチウムイオン電池の組み合わせのほうが「運用者としてはありがたい」としている。AIPは電動機と比べ圧倒的に出力が小さく「高速で敵に近づく場合や攻撃を回避する場合など潜水艦が速力を必要とする場面では、AIPがまったく力不足」とのことだ。

液体酸素とケロシン(灯油の主成分)を燃焼させ、その熱でスターリングエンジンを作動させ、発電する。

船体にあれだけの容積あるモジュール(あさしお追加で排水量340t増加)を追加して、得られた出力(400馬力程度)を考えるとションボリですよ……

Li-Ion電池は鉛電池に比べ蓄電量が2.5倍あり、高速航行に適している。

同じ大きさではリチウムイオン蓄電池は鉛蓄電池の3倍以上の電力を蓄電できることになる。

「AIP艦の艦長は、作戦行動の今後の展開と、AIP、蓄電池それぞれの使用場面を想定し、場面に応じて動力を選定しなければならない。
 これがリチウム電池だけの艦になれば、高速・低速を必要に応じて使い分け、電池の残量のみを考慮すれば良くなる。運用者にとってどちらが使いやすいか、言うまでもないことであろう」と述べている。

防衛省は、国産のリチウムイオン電池が、短時間で大容量の電力を蓄えられるようになったことから、2015年度予算で要求する潜水艦から、リチウムイオン電池を導入し、AIPシステムを廃止することを決めた。

リチウムイオン電池のメリット

①リチウムイオン電池は、単位重量・容積当たりの蓄電量で鉛蓄電池を大きく上回る。
 ②リチウムイオン電池は水素ガス発生の危険性がなく、充電電流量に制約がないため、充電開始から終了まで発電機出力一杯の電流量で充電が可能。このためシュノーケル充電の時間が短縮できる上、限界ぎりぎりまで充電可能であり、完全充電した上で水上部隊との戦闘に臨むこともできる。
 ③鉛蓄電池は放電電流量が大きくなると電池容量が急激に低下する傾向があり、どちらかというと低速で長時間潜航するような行動に向いているが、リチウムイオン電池は放電電流量によって電池容量が左右されることはなく、低速でも高速でも充電した電気を効率よく放電できる。このため、AIP分の電力もリチウムイオン電池で持つことが出来れば、低速での長時間潜航や高速での連続航行も可能となる。

シュノーケルと呼ばれる装置のみを水面に出して、空気を取り入れつつ、ディーゼル発電機で発電する。

海軍関連コンサルタント企業AMI InternationaIのボブ・ヌージェントBob NugentもLiイオンバッテリーで速度、出力両面で得られるものは大きいと見ており、そうりゅう級がAIP搭載のヨーロッパ潜水艦より3割ほど大きいと指摘し、バッテリー容量、エネルギー密度の大型化で作戦期間が延び、速度瞬発力が向上するという。

性能が向上し保守点検は容易になる

液体酸素タンクなどAIPシステムの保守点検の手間がなくなることで保守点検は楽になる。

リチウムイオン電池のデメリット

リチウムイオン電池は性能的にはメモリー効果もなく最適なんですが、可燃性の電解液を用いているので過充電時に電池の温度が上昇すると発火する可能性がありますからね。特に電池が大型化すると冷却が難しい為、安全性の問題がある

リチウムイオン電池は過充電状態では発火する恐れがあるので、普及しているリチウムイオン電池には電池自体に安全装置が組み込まれている。

Defense Newsは、ボーイング787 Dreamliner の事故があることから、潜水艦にリチウムイオン電池を搭載するのは奇妙だと指摘している。2013年1月8日、ボストン空港で、リチウムイオン電池が発火し、日本航空のボーイング787型機の機内で火災が発生した。

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