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「ボロボロの状態の中で、『第九』に力をもらった」―町田樹選手を感動させた『かまいしの第九』とは

2014年グランプリシリーズ スケートアメリカで見事優勝した町田樹選手。今シーズンのフリー『第九交響曲』には深い思い入れがありました。町田選手を感動させた岩手県釜石市「かまいしの第九」についてまとめます。

更新日: 2014年11月17日

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muremureさん

グランプリシリーズ初戦 アメリカ大会で優勝した町田樹選手

フリースケーティングでは「120%以上出さなければ形にならない」と語る新プログラム『第九交響曲』で素晴らしいスケーティングを見せた。


フリースケーティング後に町田選手はこう語った。
「後半3分くらいから倒れるかと思うくらい自分との戦いだったんですけど、お客さんが盛り上がってくれて、歓声だけでこの苦しみを超える価値はあるなと。」

「ボロボロの状態の中で、『第九』に力をもらった」

昨シーズンの町田選手はグランプリシリーズ、ブロック大会など試合が続いていた。

全日本選手権に向け猛練習を続けた結果「今季7戦目でハードだったと思う。(大会前に)全身がむくんで倒れて動かなくなり、病院に行ったら極度の疲れと言われた。それくらい練習した」(秦安曇コーチ)状態となった。大西勝敬コーチも「大会前は疲労で血行が悪くなり、脚も上げられない状態だった。滑ることも回ることもできず、氷の上で涙を流していた。よくやったと思う」というほどだった。

昨シーズン、(2013年)全日本選手権のフリーに向かう直前に何気なくテレビをつけると、ドキュメンタリーを放映していた。東日本大震災で被害を受けた三陸の釜石市で、『第九』の合唱をみんなで作り上げていこうという番組だったという。

「あのとき、実は体調ボロボロの状態だった。そんな中で、『第九』に力をもらったんです」

「自分の心身が限界に達している中でふとテレビで見たら、釜石市で第九を作るというドキュメントが流れていて。皆が一つに合わさったような第九だったし、それを聞いている自分もすごく励まされたし…。それからずっと大切にしている第九なんですけど。今度は第九を演じる自分というのを今シーズンは作りたいと思いましたね、強く。」

出典Get Sports(20014年11月17日放送)のインタビューより、編者文字おこし

町田選手はその後のフリースケーティングでも全力を出し切り、全日本選手権で2位という成績を収め、ソチオリンピック代表に選出されました。

町田選手を感動させた「かまいしの第九」とは

釜石市は、岩手県の南東部、三陸復興国立公園の中心に位置し、世界三大漁場の一つ北西太平洋漁場の一角をなす三陸漁場とリアス式海岸を持つ市です。

東日本大震災による津波では壊滅的な被害を受けました。2008年に巨大津波などの水害に耐えられるように設計・竣工された「釜石港湾口防波堤」も決壊しました。

昭和52年から欠かさず開催されています。
東日本大震災直後の2011年にも開催されました。

市民文化会館被災後、釜石高校体育館に会場を移し演奏会を続けられています。未だに震災の跡が残っている状況だからこそ、苦悩から一筋の明かりを追い求めたベートーヴェンの精神をいただき、人間の「愛と希望と友情」「フロイデ」をこの地に届けたいという想いが込められた演奏会です。

「かまいしの第九」のオーケストラは一つの団体に頼むのではなく、毎年いろいろな方にお願いして、その年の釜石だけのオーケストラを編成する。

「2011年は総勢200人を超えるメンバーでコンサートが行われました。
コンサートが始まる前、黙祷を全員で捧げ、その後に釜石東中学校の合唱からコンサートは始まりました。

コンサートの都合で、14時46分前に黙祷を捧げたのですが、指揮を振った山崎先生は、曲のタイミングで音が止まった時に、ちょうど黙祷を告げるサイレンが聞こえて来た事に、全身で鳥肌が立ったと仰っていました。」

震災から9ヶ月目の12月11日に開催された「かまいしの第九」の歌声

NHKでドキュメンタリーが制作されたことも

東日本大震災の被害が大きかった岩手県釜石市。年末恒例の「第九」の演奏に、被災した中学生たちが挑む。30余年、歌い継がれてきた「かまいしの第九」。震災があったからこそ、市民は楽しみに待ち望んでいる。

東日本大震災当日、生徒達は高台に避難し助かったが、家族を失った生徒も少なくなかった。海果さんは5月から仮設住宅で暮らしている。妹と父親と3人暮らし。母親は津波で亡くなった。海果さんは妹と協力し、家族3人の生活を送っている。音楽が好きだった母親に元気な歌声を伝えたいという思いで練習している。

震災の年だからこそ歌いたい「第九」。生徒たちは「第九」がなぜ喜びの歌と言われているのか、歌の意味から学んだ。全体練習では取りまとめ役の沼崎健は自分達が伝えたいのは喜びであると、出だしのフロイデに力を入れる。

沼崎健くんが震災前に住んでいたのは、被害の大きかった地区。父親と自宅のあった場所へ行く時間を大切にしている。自宅も田んぼも流され、祖母や親戚も亡くなった。健くんが過ごしていた日常はあの日断ち切られた。今年だからこそ「第九」を歌いたい健くん。「一番の願いは前と同じような風景が見たい。その為に自分たちは挑戦していると伝えたい。」と話す。

「届け!復興の歌声 ~釜石・歓喜の“第九”」は2011年12月22日(木) に放送され、2013年12月22日のNHKアーカイブス(午後3時50分~5時)で再放送されました。

「昨シーズン、全日本選手権のフリーに向かう直前に何気なくテレビをつけると、ドキュメンタリーを放映していた。」と上に記しましたが、2013年の男子シングルフリースケーティングは12月22日午後6時35分スタート。

町田樹選手が見た番組はこの番組だと思われます。

2014年も「かまいしの第九」は開催される

主催:「かまいし第九」実行委員会
日時:12月7日(日曜日)13時30分開演
会場:釜石高等学校 第一体育館
入場料:無料

プログラム:
オーケストラと歌おう / 釜石市立釜石中学校3年生
ヘンデル / 「メサイヤ」より「ハレルヤ」
ベートーヴェン / 交響曲第九番「合唱付き」

指揮:山﨑眞行 / 「かまいしの第九」指揮者
管弦楽:かまいし第九管弦楽団 / ウッドランドノーツ、釜石市民吹奏楽団ほか

合唱:かまいし第九の会、八戸メンネルコール、むつ下北第九の会、(予定)けせん第九を歌う会、北上合唱アカデミー、髙田合唱団、県内外合唱愛好者ほか、釜石・高田・宮古・遠野・大船渡の各高校音楽部、釜石中学校3学年生徒

◆ボランティアスタッフも募集中

募集日時・内容
12月6日(土曜日)8:30から11:30 / 演奏会の会場、舞台作成
12月7日(日曜日)16:00から19:00 / 舞台の撤去
12月7日(日曜日)12:00から16:00 / 演奏会当日の受付その他の軽作業
申し込み・問い合わせ:「かまいし第九」実行委員会 事務局 木下
申込締切:11月26日(水曜日)

町田樹選手の快進撃の裏にあった「かまいしの第九」。
震災にも屈しない市民のみなさんの想いを載せて、今年も釜石に「歓喜の歌」が響き渡ります。

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