1. まとめトップ

「わが子が、イスラム国を自称する組織に入ってしまった」…フランスからの報告

2014年11月、ドイツの『デア・シュピーゲル』が、シリアとイラクのイスラム過激派に入るフランス人の若者たちについて報じました。フランスは欧州で最も多くの「戦士」や「戦士の妻」を出しています。それも「親がムスリム」といった背景も特にない…記事を読んでみましょう。

更新日: 2015年01月19日

4 お気に入り 40638 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

nofrillsさん

11月上旬、ドイツの『デア・シュピーゲル』英語版の記事

1,000+ youngsters from France hv joined Syria-Iraq extremists. Recruits no longer just coming from society's margins. spiegel.de/international/…

「フランスから1000人を超える若者たちが、シリア・イラクの過激派に加わっている。徴募されるのはもはや、社会の周縁域のみではない」

+1,000 young people from France have joined extremist groups in Syria & Iraq, more than from any European country spiegel.de/international/…

「フランスからは、ほかの欧州諸国のどこよりも多くの人々がシリアとイラクの過激派に加わっている」

''We Should Have Noticed Something': #France Takes Stock of Growing #jihadist Problem spon.de/aemDq via @SPIEGELONLINE

「(親は)『何かに気づくべきだった』(と言う)」

The Lost Children: France Takes Stock of Growing Jihadist Problem spon.de/aemDq 11月6日付シュピーゲル英語版。フランスから1000人以上ISISに参加、もはや社会の周縁だけではない

シュピーゲルが取材しているのは、フランス南西部の「歴史的城塞都市」として有名なカルカッソンヌ Carcassonne(写真)に程近いNarbonneという都市の近郊に住む一家。母親のSéverine Mehaultさんは40歳、娘たちは現在17歳と15歳だ。

欧州で現在40歳といえば、90年代の「レイヴ」カルチャー全盛期(ベルリンのLove Paradeが一番すごかったころ)に20代だったような年齢である。

ナルボンヌ Narbonne自体も、中世以降の歴史的な建物が多く残り、古くからワインが生産されてきたことで有名な町だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%8C

3月のある日、父親は毎日と同じように、カルカッソンヌの高校に通っている17歳の娘を車で鉄道の駅まで送っていった。朝7時44分、プラットフォームに立つ彼女を駅の防犯カメラがとらえている。白いジーンズに白いスニーカー。頭には黒いスカーフをかぶり、肩にはバッグを2つかけている。

しかしその日、彼女は学校へは向かわず、マルセイユに向かった。空港の防犯カメラの映像が彼女のフランスでの今のところ最後の映像となっている。

2014年3月11日、彼女は家を出た。母親は彼女の部屋でぼんやりと過ごすことがある。娘が残していったウサギのぬいぐるみと一緒にベッドの上に横たわる。

娘が部屋に残していったものは多くはない。ぬいぐるみ、クルアーンの翻訳、祈祷書、イスラームを信仰する女性のための沐浴の手引き。ピンク色の表紙で図入りのそのブックレットは擦り切れている。第三章、耳の洗浄の仕方。

部屋には、マニキュアやマスカラ、リップグロスが乗ったトレイもあるが、娘はもう2年近く前にそれらを使うのをやめてしまった。15歳になったときにイスラム教に改宗したのだった。

15歳の娘がイスラム教に改宗し、家を出ていってしまった。親には居場所はわからないしどの組織かもわからないが、シリアで武装勢力に合流した……これ、本質的には「(伝統宗教のではなくカルトの)出家」の問題と同質ですよね。。。

訂正(次項参照):
× 15歳
○ 17歳

書き間違えてた。家を出た娘は15歳ではなく17歳(改宗したときが15歳)。「あたし、結婚したから。チュニジアの戦闘員と」といきなり電話かSkypeで連絡が来るという。。。 spiegel.de/international/…

一家は非宗教的(父親はアルジェリア人とフランス人の間に生まれた名目だけのイスラム教徒で、母親は無神論者)。母親はシリアで何が起きているかにも無関心だった。ここだね。それで娘はネットでシリアの惨状を知り、その話ができる人を求めていったら…ってことのようだ。

"Before she left, I didn't even know what was happening in Syria. It was a faraway country for me," says Mehault, running her fingers across the photo. Her fingernails gnawed to the quick. These days, she anxiously follows the news, trying to discern where exactly the group known as the Islamic State is fighting and where the West is bombing the terrorists. The TV set in the living room is constantly switched on. Sometimes she even leaves the radio on at night.

3月11日、娘は夜になっても帰ってこなかった。家族は警察に連絡した。翌日、警察は防犯カメラに写っていた彼女の写真を持ってきて、彼女がたどったルートを説明した。

※参考として地図を示しているが、ナルボンヌはモンペリエよりさらに西にある。そこから最も近い空港はマルセイユで、彼女はナルボンヌ駅からそこに向かったようだ。

警察は家族のコンピューターなどを持っていった。その2日後、母親の携帯電話に見知らぬ番号から電話がかかってきた。一番上の息子が出ると、それは17歳の娘からの電話だった。

「心配しないで、元気にしているから。それと、ファリドっていう人と結婚したんだ。25歳の戦闘員。チュニジアの人だよ」

兄に居場所を尋ねられると、彼女は「シリア」と答えた。そして、「家族のみんなはインフィデル(不信心者)だけど、わたしが守るからね」と言って電話を切った。

父親は、フランス人の母親とアルジェリア人の父親の間に生まれ、イスラム教徒ということになってはいるが、一度もモスクには行ったことがないというような人だ。失業率の高い社会で、彼はこの数年は臨時雇いで家族を支えている。

「何かに気づくべきだったんです」と彼は言う。

母親も同じことを何度も繰り返す。

一家が暮らすのは、ナルボンヌ近くの人口8千人の町。2階建ての家の周囲はブドウ畑が広がる(この地域はワインの名産地だ)。玄関のドアにはブドウのつたが絡まっている。

家には、17歳の娘が出て行くことをうかがわせる様子は何もなかった。幸せそうな一家だ。家の中の壁には、額にはいった家族写真がたくさんかけられている。「家族が一緒にいることが大切」と一番上の兄は語っている。

しかし彼女は、家族の目の前で、徐々に過激化されていった。

※毎日接していても、あるいは毎日接しているから、変化に気づかないということはよくあることです。90年代に日本で「社会問題化」して雑誌などに出た「カルトの出家」の体験記でも、「ある日、突然、家を出て行ってしまう」と語られていました。でも、本人は「突然」ではなく、「長い時間をかけて準備している」。ナルボンヌ近郊のこの17歳女子もそうだ、とシュピーゲルの記事には書かれています。

記事は述べています。「過激主義は、ゆっくりと、しかし着実に進行する病のように、フランスの若い人々に広がりつつある。そして病のように、その進行の過程には個体差があるが、段階は共通している」

これは10月に出た米ワシントン・ポストの調査結果。世界のどこからどのくらいの人数が、シリアのISIS(「イスラム国」を自称する組織)をはじめとする「アサド政権と戦っているイスラム主義組織」に入っているかを示す図。2013年12月から14年10月の数値に基づいたもので、ここではフランスは412人。英国の488人より少ないという結果です。

図の右下には「少数の戦闘員が来ていると報告されているその他の国々(マップに入れていない)」が列挙されています。バングラデシュ、マレーシア、シンガポールなどと並んで、「日本」と記載されています。

2012年3月、フランス南西部のトゥールーズの近辺で起きた、フランス軍兵士銃撃事件とユダヤ人学校銃撃事件の容疑者、モハメド・メラーの立てこもりと射殺のときは、「やはりアルジェリア系が過激主義にかぶれている」感じでした。

しかし、現在は「アルジェリア系」(や、広くフランスの支配下にあったことのあるイスラム諸国)には限らない、ということがシュピーゲルの記事では報告されています。

15年間にわたってフランスの若者の過激化を研究してきた宗教人類学者(2006年に既に親向けに警鐘を鳴らす本を書いている)は、「若者たちが、男女それぞれの別々の目的で、ターゲットにされている」という。政府顧問となった彼女の開設したホットラインには週に5件の割合で新規に相談がある。

ホットラインには親からだけでなく、友達の様子が変わったという女子学生からの電話もある。お化粧をしなくなった、一緒に映画を見に行こうと誘っても断るようになった…家出(出家)した17歳女子の「過激化」も同様に始まった。

彼女はやがて全身を隠すような服装をするようになり、イスラム教徒に対する襲撃を恐れた親が「そんな服装で外に出るんじゃない」と言うと家から出なくなり、日がな一日パソコンにはりついていた。彼女は2歳下の妹が画面を見そうになると「あんたは見ちゃだめ」と止めた。両親は自責の念に駆られている

研究者は、「かつては過激化するのは『イスラム教徒の貧しい移民』だったが、現在は4分の3が無神論者の家庭の子で社会的には中流階級」と。宗教的バックグラウンドはキリスト教徒、ユダヤ教徒の場合もあり、職業は教師、公務員、医師など。一流大学の女子生徒がジハードを理想化しているケースも多い

インターネットでいろいろアクセスが簡単になったことも大きい。アル・ヌスラ戦線(JaN, アルカイダ系)にはフランス語を使うユニットがあり、ネットで若年層相手に活動をするリクルーターがいることも研究者は突き止めた。

シュピーゲルの記事は2ページで、2ページ目に「洗脳の過程」が説明されている。まず、家族・友人とのつながりを断絶するようプレッシャーをかけられる。それから教化が始まる。遺伝子組み換え作物のことや陰謀論をビデオで吹き込まれる(日本で活動するカルトが「来世」とかを吹き込むのとそっくり)

洗脳は、最終的に、対象者に「この世界は邪悪であり、これをよりよき場所にするために彼らだけが選ばれた」と信じさせることが目的である。 spiegel.de/international/… シュピーゲル報道、フランスでのイスラム過激派(ISISなど)の活動について。

こっから先は、ちょっと時間おいてから。きついです。30歳で家を出ていった人のことも出てきます。 記事2ページ目 spiegel.de/international/…

この記事に出てくる「宗教人類学者」、Dounia Bouzarさんは、イスラームについて何冊も著書のある研究者です。

1964年、グルノーブル生まれ。お父さんがモロッコ・アルジェリアン、お母さんがフランス人。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Dounia_Bouzar

1 2 3 4