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シャーロックよりアメリカ人に愛された名探偵『フィリップ・マーロウ』とは?

レイモンド・チャンドラーが生みだした私立探偵。誕生から60年以上がたった今でも根強い人気を博しています。

更新日: 2014年11月22日

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takizawaildさん

■フィリップ・マーロウとは?

○私立探偵フィリップ・マーロウ登場作品。

・長編
大いなる眠り(1939年)
さらば愛しき女よ(1940年)
高い窓(1942年)
湖中の女(1943年)
かわいい女(1949年)
長いお別れ(1954年)
プレイバック(1958年)
プードル・スプリングス物語
(未完だが、のちにロバート・B・パーカーにより完結される(1989年))

・中短編
密告した男(1934年)
マーロウ最後の事件(1959年)

他に、マーロウ以外の探偵が登場した作品を、のちにマーロウものに書き改めた短編がいくつかある。

フィリップ・マーロウ(Philip Marlowe)は、レイモンド・チャンドラーが生み出したハードボイルド小説の探偵。マーロウの名はチャンドラーが在籍したロンドンのダリッジ・カレッジの寮名である。

地方検事局の捜査官をしていたが、命令違反で免職となりロサンゼルスで私立探偵を開業する。『長いお別れ』によれば、ローレル・キャニオン地区のユッカ街(架空の街)に住んでいる。

出典フィリップ・マーロウ - Wikipedia

拳銃を所有しているが、普段は携行しておらず、滅多に撃つことはない。

机の引き出しにはいつも拳銃とスコッチのボトルが置いてあり、暇な時はウィスキー・グラスを片手にチェスの定石を並べたり読書をしたりしています。

■天才でもなく、特権階級でもない新たなる名探偵像の確立

7長編といくつかの中編に登場しますが、そのほとんどが映画化され、中でも名優ハンフリー・ボガードが演じたマーロウは大変な人気を集めました。

チャンドラーは、フィリップ・マーロウという探偵を通じて、退廃した人々やアメリカの姿を描き、その感傷を含んだ文体は多くのフォロワーを生んだ。

特に村上春樹が多大な影響を受けて翻訳まで手掛けた事は有名。その他にも様々な作家がこの作品に影響を受けました。

英国が生んだパズラー的なミステリへの反発があった。ホームズに代表される超人的な探偵や、複雑で現実離れしたトリックは、「特権階級的である」としてアメリカ人の心性に馴染まなかった。ハードボイルドの探偵は、おしなべてディレッタントではなく、しばしば卑俗的な「市民の代表」である。

マーロウは本当にカッコいい。台詞の言い回し、女性の扱い方、友情。時に冷酷で意地っ張りで、何があろうと自分を曲げない。見ているこっちがハラハラしてしまう。

「かっこいい」という言葉がふさわしいのかどうか不安だけど、イケメンとかそんなんじゃなくて、男が男として憧れる「かっこよさ」だ。

不可解な事件に巻き込まれ、警察やヤクザものの暴力に晒され、理不尽な扱いをされても自分の生き方を曲げない。ビビらず、媚びず、時に真っ向からでも立ち向かう。
そんなマーロウの不器用だけど、筋の通った生き方に失われた「男の矜持」を感じ取るのは僕だけじゃないだろう。

■今を生きるのにも役に立つ、マーロウが生みだした名言の数々

チャンドラー作品のマーロウは数々の名言を残しています。今回はその中で、特に有名だと思われるものを紹介。
社会に揉まれ、負け組だとさげすまれ、それでも必死に今を生きる我々にもきっと為になる言葉があるはず。

タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格がない
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive

チャンドラーの最後の作品『プレイバック』の作中、ある女性から「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」と聞かれたフィリップ・マーロウの答え。探偵という社会の闇で、誰もが奪い殺しあう世界でも、決して優しさや絆を失ってはならないとうマーロウの生き方が現れています。

『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』
Take my tip—don't shoot it at people, unless you get to be a better shot. Remember?

フィリップ・マーロウの初登場作『大いなる眠り』より。事件に巻き込まれた娘に銃を手渡す時に言う台詞。あまりにもカッコイイ台詞なため、本作よりもこの名言のほうが有名。

「飲むのなら自尊心を忘れないようにして飲みたまえ」

再び泥酔したテリーと出会い、自宅に連れ帰ったマーロウ。ウィスキーの瓶をテーブルに置いてテリーに言う。
自尊心が無いから酒を飲むのではなく、自尊心があるからこそ酒を飲むようにしたいものです。

「一日二十五ドルなのね」と、彼女はいった。「哀れな、淋しいドルさ」「とても淋しい?」「燈台のように淋しい」

彼女に報酬を聞かれ「普通は一日二十五ドル」だと答える。少なすぎる報酬に同情をみせる女優に対し、マーロウは自嘲気味な台詞を吐く。こういうことをさらっと言えるのがマーロウのかっこよさです。

「君の態度が気に入らんね」と、キングズリーはアーモンドの果を砕いてしまいそうな声でいった。「かまいません」と、私がいった。「そいつを売っているわけではないんで」

『湖中の女』 依頼人のキングズリーの事務所に面会に行ったマーロウ。傲慢な態度に出るキングズリーに対しての強烈な一言。だからマーロウはいつも貧乏なんだろうなと思いつつも、そんなマーロウが誇らしく思える一言。

30フィート離れたところからはなかなかの女に見えた。10フィート離れたところでは、30フィート離れて見るべき女だった。

『高い窓』 第5章 
依頼人の息子の嫁リンダの行方を捜し、彼女の友人モーニー夫人の容姿に一言。失礼とおもいつつも思わず笑ってしまうような皮肉っぷりも彼の魅力。

私は酒が必要だった。多額の生命保険が必要だった。休暇が必要だった。田舎の別荘が必要だった。しかし、私にあるものは、上衣と帽子とピストルだけだった。私はその三つをからだにつけて、部屋を出た。

『さらば愛しき女よ』 第34章 
レアード・ブルネットの賭博船に乗り込むことを決意したマーロウは、自らを奮い立たせてホテルの部屋を出る。戦いに向かう男の後ろ姿は、いつだってこうあるべきなのかもしれない。

「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」
To say Good bye is to die a little

『長いお別れ』の中での独白で、「フランス人はこういう場合にいい言葉をもっている。あの連中はどんなことにも、うまい成句を知っていて、しかもいつも的を射たものなのである」という文章に続いて出てくる言葉だ。
死が「永遠の別れ」であるなら、さよならは、「ひとときの別れ」である。さよならを言うことは相手の人生から少しのあいだ「消える」こと、つまり少しのあいだ「死ぬ」ことだ、という。

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