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アメリカの刑務所の実態に迫る - 安価な労働力としての受刑者

アメリカでは240万人もの受刑者が刑務所に収監されています。そして、その受刑者を使用して名だたる大企業が製品を製造させています。アメリカの刑務所の実態と、受刑者を労働力をして利用する大企業の実態に関して、分かっている情報をまとめました。

更新日: 2017年01月30日

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blueskyhighさん

アメリカの刑務所の実態

日本で現在、刑務作業をしている受刑者は約6万2000人。米国の人口を日本の約3倍と計算しても240万人は格段に多い。

この数字は一国単位で眺めると史上最多で、中国の受刑者総数よりも約50万人も多い。

犯罪件数も日本よりも格段に多いが、犯罪率に目を向けると米国では過去10年、州によっては横ばいか減少傾向にある。それではなぜ受刑者が減らないのか。

1つは麻薬犯罪に厳罰が下るようになったことだ。麻薬の売買に関与していなくとも、所持・使用だけで実刑判決が出てしまう。米国の240万受刑者の51%は麻薬関連の犯罪で収監されたと言われている。

麻薬犯罪で刑務所へ収監されるアメリカ人は多く、受刑者の半数以上を占めている。

2つ目は麻薬関連犯罪以外にも、司法制度の厳罰化が進んだことが大きい。米国における刑罰の項目は4500にも及ぶ。米国人の間でよく語られる冗談に、「1日外出していると、知らないうちに3つの軽罪を犯している」と言われる。

米国の刑罰が厳しいのは、実は有権者の希望でもあった。増え続ける犯罪に歯止めをかけるため、刑を重くしてほしいとの声が政治家を動かしたのだ。それが刑事訴訟法に反映され、より重い量刑へ流れた。

「スリーストライク」法が問題を悪化させている。有罪判決を3回言い渡されると、自動的に終身刑が決まる法律である。しかも20州以上でこのスリーストライクが採用されている。

受刑者を労働力として使用する企業が増加している

米国では近年、増え続ける受刑者を労働力として頼る動きが加速している。しかも誰もが知る多国籍企業が、塀の中の労働力を使っているのだ。

企業リストの中にはIBM、ボーイング、モトローラ、マイクロソフト、コンパックなどといった優良企業が並んでいる。

受刑者の労働の実態は?

刑務作業で作られる製品は、日本では家具や靴、バッグなどが一般的だが、米国では米軍が使用するヘルメットや防弾チョッキ、弾丸装着ベルト、テントなどはすべて刑務製品である。

受刑者の経験や製品によっては時給2ドルまで上がるが、それでも中国の労働者よりも低賃金に抑えられる企業側の利点がある。

多国籍企業が受刑者に頼る理由は、企業側にとって好条件がいくつも揃っているからにほかならない。もちろん低賃金が最大の魅力だが、受刑者には職を辞する権利がない。

「お勤め」を拒否すれば独房が待つ。さらに賃上げ要求やストライキもない。有給休暇もないばかりか、遅刻や早退もない。そのうえ、失業保険や福利厚生の手当ても必要ない。

大企業と刑務所の結託を「獄産複合体」と呼ぶこともある。企業によってはロビーイングに多額の資金を割き、連邦議員と州議会議員に働きかけて「獄産複合体」の維持に力を注いでいるとも言われる。

獄産複合体とは?

米国の受刑者が民間企業の労働力として安価に使われ、それによって企業が高い利潤を上げる体制を指す。政府と軍事産業の結びつきである軍産複合体の刑務所版である。

米国らしいのは、民間の刑務所が増えている点だ。10年前は5カ所しかなかったが、受刑者急増により現在は100を超えている。

民間の刑務所は日本であまり馴染みがないが、連邦・州政府と契約しており、司法で裁かれた受刑者が収監される。民間企業による経営なので、施設を維持・管理するために大手企業と契約して労働力を提供する点が特徴である。

民間刑務所を運営するビッグ3と呼ばれる「コレクション・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)」と「GEOグループ」、「マネジメント&トレーニング社(MTC)」は巨大だ。2012年の3社の売り上げ合計は少なく見積もっても40億ドル(約4160億円)に達すると言われる。もはや日本の刑務作業というレベルではなく、刑務所産業複合体という言葉が適語だろう。

刑務所には労組がないため受刑者からの賃上げ要求もなく企業側には好条件が整いすぎているからだ。彼らには職を辞する権利もなければ、有給休暇や早退を取る権利もない。親族に不幸があっても休みを取ることも許されない。

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