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サンディ・フック小学校銃撃事件をめぐる陰謀論者が、事件被害者ご遺族にネットで嫌がらせを続けている。

2012年12月、米東海岸の町で1人の男が銃を持って小学校に押し入り、学童20人と教職員6人を撃ち殺すという事件がありましたが、ネット上では「事件の真相は言われているのとは違う」という陰謀論が(少人数とはいえ)ハバをきかせていて、事件被害者のご家族にひどい嫌がらせが行なわれています。その背景は……

更新日: 2015年08月28日

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nofrillsさん

サンディ・フック小学校銃撃事件(2012年12月)

その後、事件現場となった小学校は取り壊され、公的な事件調査報告書も数度にわたって公表されています。

しかし、あんなに明白に「犯人」がいた事件にも、「すべてはでっち上げだ」論を唱える人々がいます。

ネットがなかったころは、そういった意見はせいぜいが自費出版されるくらいでごく少数の人が目にしていただけでしたが、ネット、特に個人が自分の好きなことを書いたものが広く人の目に触れるような場が一般的になってからは、以前とは比較にならないくらいに大きな声になります。

「マスコミが大きく報道している事件があるが、真相は、実は報道とはかけ離れている」と主張する人たちの声が大きくなったものとしては、最近では、2013年のボストン・マラソン爆弾事件(での「false flag論」や「ジョハール・ツァルナエフ被告は無実なので応援します」という人たちの動き)があります。

それについては:
http://matome.naver.jp/odai/2137414412955103501

Press TV, an Iranian state media network, published an opinion article by Veterans Today editor Gordon Duff. He quoted Michael Harris, former Republican candidate for governor, who attributed the shooting to "Israeli death squads." ... The story, which relied on the testimony of an American politician associated with neo-Nazism, written by the editor of an anti-semitic American website, was widely criticized in American media as Iranian propaganda.

※サンディ・フック事件に関する「否定論」、背景はこういうのがあるんで、あまり深入りしないほうがいいです。

Robbie Parker, the father of victim Emilie Parker – after doing a CNN interview on the day after the shooting – became the target of conspiracy theorists, who claimed the interview was staged. Parker has been attacked by theorists who believe he is a "crisis actor".

この「役者が演技をしている」というのは、この系統の陰謀論ではおなじみの主張。

あと、「風貌が似ている」(顔が似ている、髪型が同じだ、などなど)だけで「同一人物」と決めてかかることもおなじみ。

Some conspiracy theorists have argued that a six-year-old victim of the shooting subsequently appeared in a photograph with President Barack Obama, but the depicted child is the victim's sister wearing her deceased sister's dress.

陰謀論者はごくごく少量の情報しか頭に入れられず、いったん頭に入れた情報は修正しようとしないのに、勝手に考えることだけは壮大なので、「事件で死んだはずの子供が、事件後にオバマ大統領と一緒に写真を撮影している」(ので、本当はその子は事件では死んでいない)などと言い張るのですが、実際には、その写真の「死んだはずの子供」は、「死んだ子のきょうだいが死んだ子の服を着ている」んですね。

この事件の被害者遺族が、internet trollに悩まされている。

Sandy Hook: Victim's family seeks trademark protection bbc.com/news/magazine-… 2012年12月サンディ・フック小学校銃撃事件で殺された教諭のご遺族が「事件はでっち上げ」論者の嫌がらせに耐えかねている。1

続)2012年12月14日、アダム・ランザに銃撃された米コネティカット州ニュータウンのサンディ・フック小学校では、20人の児童と6人の教諭が亡くなった。1年生を受け持っていたヴィクトリア・ソトさん(27歳)もその1人だ。2

ヴィクトリア・ソトさんのご葬儀のプログラム。

事件のあった日の夜、ニュータウンで行なわれた集会(ヴィジル)での、ヴィクトリア・ソトさんの妹さんたちとお母さん。

続)ヴィクトリアさんを喪った悲しみに暮れる遺族に追いうちをかけるように、ソーシャル・メディアでは毎日のように憎悪の詰まったメッセージが流れる。サンディ・フック銃撃事件は実際には起きていないと主張する少人数の集団がいるのだ。3

続)「サンディ・フック事件は起きていない」論者は「強烈な陰謀論者」と呼んでよいように私は思う。ほかにも、例えば「マイケル・ジャクソンは死んでいない」、「ボストン・マラソン爆弾事件は(略」など、とにかくメインストリームのニュースになるものはすべてでっち上げと言わんばかりの人たち。4

続)余談ながら、「サンディ・フック事件否定論」のようなのを見ると、どんなものにも「過激派」が出てくるんだなと思う。9-11についてのtrutherの出現には「過激派が出てきた」と思ったものだが、「サンディ・フック事件は起きていない」論者はそれらのtrutherの中の過激派だ。5

事件が報じられたその瞬間に「銃規制」論が盛り上がったので(銃撃犯の名前もわかっていない段階で)、「銃規制ロビーがわれわれの自由を奪おうとしている」という人たちがすぐに激しく反応しました。この「否定論」はそのような文脈に属しています。

続)BBC記事に戻る。ソーシャルメディアでは、殺されたヴィクトリアさんを騙るアカウントが始終作られていて、それらの架空・成りすましアカウントの多くがヴィクトリアさんを攻撃している。あるいはサンディ・フック事件などなかったのではと言う者もいる。6

事件で殺された人について、「実はまだ生きている」として「パロディ・アカウント」のノリで勝手にツイッターを始めてみたり、「最初っからそんな人はいなかった(事件はでっち上げだ)」という主張のため、「本当は非実在の私」みたいなことを勝手に書き綴ったりするわけです。

で、インターネットではこれは珍しいものではないのです。(リアル世界でだって、「○○式健康法を普及させる会」などの名目で閉じた場でいろんなトンデモが飛び交ってきたはずですが。)

ただ、かつては「一般の人々」の目に触れない場(英語圏なら4chanだったり、あるいは専門のサイトだったり)でやっていたものが、ソーシャル・メディアの登場で、「誰でも見るような場でやってる」ことになったという……

「でっち上げだ」なんだと騒いでいる人たちの多くは、自分たちが悪いことをしているつもりはないので(それどころか「社会にはいろんな意見があってよい」と心底から信じている)、人々が「死者への冒涜だ」などと怒ることが、「政府に都合の悪い私たちの意見を圧殺しようとしている」ように見えたりもします。

で、そういうところにも《商機》がごろごろ転がっているのがこの社会の現実です。

誰かに「あなたは不安ですね」と言って水晶のペンダントを買いたいという気持ちにさせるような《商機》が。

続)ヴィクトリアさんの妹のカーリーさんは、「私たちはあんな経験をしたというのに、それをこのように扱う人たちがいるということがとてもつらい」と語る。「姉が棺に納められているのを私はこの目で見たんです。銃弾で穴があちこちにあいた服を見たんです。それが、こんなことを言われるなんて」。7

続)毎日のようなオンライン・アビューズ(暴言)を止めようと、家族はヴィクトリアさんの名前を商標登録することにした。死者の名前の商標登録など、めったにないことだが、問題は、ヴィクトリアさんの名前でTwitterアカウントを開設しては陰謀論や事実と異なることを書き立てる人たちだ。8

続)遺族のSNSでの活動を手伝っているのは、グレイニーさんという女性。ヴィクトリアさんご遺族とはオンラインで知り合った。(後述する別の記事によると、グレイニーさんは元々、ネット上であることないこと書かれて困っているという人のために対策をする会社で働いていたそうだ。)9

続)このグレイニーさんの名前でウェブ検索すると、彼女自身のサイト(名前をそのままドメイン名にしてあるシンプルなページ)やSNSのアカウントよりも上に、彼女について何かをわめき立てている「サンディ・フック事件はなかった論」を書き立てている陰謀論過激派サイトの記事が表示される。10

続)そのサイト(リンクはしない)は、見た目は「ちゃんとしたニュースサイト」の体裁で、いかにも大手がやっていそうな印象を受けるが、WordPressか何かのテンプレートに過ぎない。例: bestwordpressbusinessthemes.com/local-news-wor… tripwiremagazine.com/2013/06/wordpr… 11

当該のサイトのスクリーンショット。(サイト名などはマスクしてあります。広めたくないので)

画面上部のメニューの一番右に「サンディ・フック」があります。

並んでいるのは「9/11」や「フクシマ」(←「そういう意味」があってカタカナにしています。「当局は情報を隠している」という方向での主張なので)など。

続)だがそういうことを知らない人が見たら、「素人っぽくない」し「きちっと作ってる」ので「信用できそう」と思うかもしれない。Google検索したところ、日本語圏にも「英語だけは読める(が情報は読めない)」人たちによって多少は導入されているようだ。内容はすさまじい陰謀論である。12

続)人々が「まともそう」と思うような見た目のサイトで、人が殺されている事件や事故について、「本当はそんなことは起きていなかった」、「死んだと言われている人はどこかで生きている」、「そもそもそんな人は実在していない」などと書かれることは、ご遺族にとってどれほどつらかろう。13

続)グレイニーさんは、ソーシャルメディアからご遺族についてのひどい内容の虚偽の投稿を除去するために活動している。ヴィクトリアさんの偽のFBのページは一時は158件もあり、グレイニーさんは削除要請をしたが、2ヶ月かかってもまだ4件残っていたという。14

続)ヴィクトリアさんの名前で呼びかけられている募金詐欺のサイトもあれば、単に嫌がらせのため開設されているサイトもある。FBIは通報があった何件かの偽アカウントについて調べているが、家族が受け取るアビューズは数が膨大で、投稿に用いられているSNS運営母体に通報するのがやっとだ。15

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