1. まとめトップ

中学歴史教科書7冊を総チェック!人名さくいんでわかったそれぞれの芸風

新しい教科書が出るたび一部の教科書だけが話題になりますが、他の教科書にはどんな特色があるのか?人名さくいんから見える傾向や特色をまとめました。

更新日: 2015年05月17日

mitimasuさん

  • このまとめをはてなブックマークに追加
1 お気に入り 3956 view
お気に入り追加

人名さくいんから見える各社のオリジナリティー

・それぞれの人名さくいんを比べて「その教科書だけが扱ってる人物」と「その教科書だけが扱っていない人物」を抽出しました。

・抽出された人物から、その教科書が重視している分野と重視していない分野を明らかにしました。

・調査に使用した教科書は平成22年度(2010)の教科書検定を通った、平成24~27年度(2012~2015)で使用された教科書です。

・人名さくいんにしぼり、事項さくいんを使わなかったのは、事項は各社で用語に微妙な差異があり、算出に不適だったためです。

・人物の説明はまとめ主によるものです。

・このまとめ中の画像は教科書に掲載されているものではありません

・発音違いにより二ヶ所にわたって載っている人物(例:孫文《スンウェン》)はひとりとカウントしました。

・このまとめの並びは出版社の五十音順です。

・集計まちがいは発見次第、随時修正します

育鵬社『新しい日本の歴史』(教科書改善の会)

『新しい日本の歴史』だけに載っている人物(116名)

有島武郎……日本の小説家。クリスチャン。作品に『或る女』ほか

明石元二郎…… 明治~大正期の日本の陸軍軍人。日露戦争において諜報活動などで活躍

アタテュルク……トルコ革命とトルコ独立を指導した軍人。トルコ共和国初代大統領

安部公房……日本の小説家。戦後派。作品に『壁』ほか

池禅尼《いけの ぜんに》……平清盛の継母。夫や子を支え平氏分裂の危機を救った良妻賢母として知られる

石原裕次郎……昭和期の俳優・歌手・タレント。出演作に『嵐を呼ぶ男』ほか。小説家・政治家の石原慎太郎の実弟。

今村昌平……日本の映画監督。作品に『楢山節考』ほか

岩崎弥太郎……日本の実業家。三菱財閥の創始者。坂本龍馬とも交流があった

ウィッテ……セルゲイ・ヴィッテ。帝政ロシア末期の政治家。日露戦争の講和交渉を担当した

浦上玉堂……江戸時代の文人画家。作品に『凍雲篩雪《とううんしせつ》図』(国宝)ほか

江藤新平……維新志士のひとり。明治維新後に下野して「佐賀の乱」を起こし処刑された

榎本武揚《たけあき》……元幕臣。(明治)新政府と戦った。特赦後に外交官・官僚・政治家として活躍

大岡昇平……日本の小説家。日本軍が大敗北した戦いを書いた『レイテ島戦記』で知られる

大田道灌《どうかん》……室町時代の関東の武将。江戸城を築いた

大田実……日本の海軍軍人。沖縄戦を指揮。米軍に包囲され自殺

大野規周《のりちか》……幕府御用時計師の家に生まれた精密機械技術者。幕末~明治期に活躍

大野規行《よりゆき》……幕府御用時計師。規周の父。伊能忠敬の測量に協力

大野弥五郎《やごろう》……幕府御用時計師。規行の父。伊能忠敬の測量に協力

大原幽学……江戸時代の農民指導者

大村益次郎……幕末の長州藩医師・洋学者・兵学者。日本陸軍の祖とされる

大山巌《いわお》……明治期の日本陸軍軍人。陸軍大将。西郷隆盛の従兄弟

大佛次郎《おさらぎ じろう》……日本の小説家。『鞍馬天狗』などで知られる

太安万呂《おおの やすまろ》……奈良時代の文官。古事記や日本書紀の編纂に関わったとされる

加賀千代(女)《かがの ちよ(じょ)》……江戸時代の俳人。「朝顔につるべとられてもらい水」の句が有名

春日局《かすがの つぼね》……徳川家光の乳母。将軍世継ぎ問題に関与したと言われる

和宮《かずのみや》……徳川家茂の正室。仁孝天皇の第八皇女。維新後は徳川家への恩赦を嘆願した。

加藤友三郎……明治~大正期の日本の海軍軍人。日露戦争で活躍し海軍大将を歴任した。

金子堅太郎……明治~大正期の政治家。ポーツマス会議での講和の成立に貢献

北村季吟《きぎん》……江戸時代の歌人。古歌の研究で業績を残した。

欽明《きんめい》天皇……第29代天皇。このころ百済より仏教が伝わった

久坂玄瑞《くさか げんずい》……長州藩の尊皇攘夷志士の中心人物。禁門の変で自刃

国木田独歩《くにきだ どっぽ》……明治期の小説家・ジャーナリスト。自然主義運動の中心人物。日露戦争の戦況を伝える『戦時画報』の編集長。作品に『武蔵野』ほか

国中連公麻呂《くになかの きみまろ》……百済系渡来人の仏師。奈良時代に東大寺の大仏像立を指揮した

久米邦武……明治期の日本の歴史学者。近代日本の歴史学の先駆者

鞍作鳥《くらのつくりの とり》……飛鳥時代の渡来系仏師。作品に『釈迦三尊像』ほか

景行《けいこう》天皇……先史時代の第12代天皇。ヤマトタケルの父

光格《こうかく》天皇……江戸時代の第119代天皇

孝謙《こうけん》天皇……奈良時代の第46代天皇。女帝。のちに重祚し第48代称徳天皇となった

香淳皇后《こうじゅん》……昭和天皇の皇后

高台院(北政所)……豊臣秀吉正室

後藤象二郎……幕末~明治期の武士・政治家・実業家。坂本龍馬らの大政奉還策を藩主に取り次いだ。のちに下野して自由民権運動を支えた

後藤新平……明治・大正期に活躍した医師・官僚・政治家。台湾総督府民政長官。満鉄初代総裁。

小林秀雄……日本の文芸評論家・翻訳家。多くの作家・文人に支持され、影響を与えた。保守派文化人であり、日中戦争を支持していた

ゴローウニン……江戸時代の国後島で幕府の役人に捕縛されたロシア人探検家

西郷従道《じゅうどう》……西郷隆盛の弟。西南戦争では政府に残り、のちに日清・日露戦争で活躍した

坂口安吾《あんご》……戦前・戦後にかけて活躍した小説家・随筆家

重光葵《まもる》……戦前の政治家・外交官。協調路線の外交に尽力していたが東条政権下で外相だったためA級戦犯(禁固 7 年)となった

志筑忠雄《しづき ただお》……江戸時代の通詞(通訳)・蘭学者・翻訳家。『鎖国論』を翻訳した

シュリーマン……ドイツの考古学者。神話だと考えられていたギリシャのトロイア遺跡を発見・発掘した

将軍万福《まんぷく》……奈良時代の仏師。興福寺八部衆像(国宝)などの作者のひとりと伝わる

定慶……鎌倉初期の仏師。運慶の次男

定朝……平安後期の仏師。寄木作りの完成者とされる。作品に平等院本尊の木造阿弥陀如来坐像(国宝)

ジョン万次郎……幕末の漂流者。帰国した彼のもたらした海外の知識が維新へつながっていった

崇峻《すしゅん》天皇……古墳時代の第32代天皇。蘇我馬子らに暗殺されたとされる

調所広郷《ずしょ ひろさと》……幕末の薩摩藩家老。薩摩藩の膨大な借金を解決するため奔走した。後年、御家騒動で失脚し急死(自殺ともいわれる)

鈴木貫太郎……昭和期の日本の海軍軍人・政治家。徹底抗戦を主張する陸軍をおさえ太平洋戦争の終戦工作に尽力した

清和天皇……平安時代の第56代天皇。清和源氏の始祖

醍醐《だいご》天皇……平安時代の第60代天皇。菅原道真を大宰府に左遷した

大正天皇……第123代天皇。昭和天皇の父

高橋是清《これきよ》……明治~戦前の官僚・政治家。世界恐慌からの経済建て直しで手腕を発揮した

太宰治……昭和期に活躍した小説家。作品に『走れメロス』 『人間失格』ほか

田中義一…明治から昭和初期にかけての陸軍軍人・政治家。第一回普通選挙を実施し、同時に社会主義者・共産主義者を検挙した(三・一五事件)

田山花袋《たやま かたい》……明治から昭和初期にかけての小説家。作品に『蒲団』ほか。従軍記者としておもむいた日露戦争の従軍記も執筆した

ダライ・ラマ……(14世)世界的に有名な仏教指導者。ノーベル平和賞を受賞している

チャンドラ・ボース……20世紀前半のインド独立運動家。ガンディーの非暴力主義を批判し、武力闘争による独立を図った。日本は大東亜共栄圏思想に利すると見てボースに接近した

天璋院《てんしょういん》(篤姫)……徳川家定の正室。和宮の姑になる。大政奉還後は和宮とともに徳川家の恩赦を求め嘆願した

トインビー……二十世紀最大のとも賞されるイギリスの歴史学者。西洋中心史観から離れ世界的視野にたった歴史観を示した

道鏡……奈良時代の怪僧。皇室にとりいり、虚偽の神託で自ら天皇になろうとしたが、嘘があばかれ失敗した

ドガ……19世紀フランスの画家。スナップ写真のような躍動感のある絵を得意とした。浮世絵から影響を受けたジャポニズムの画家のひとりでもある。

徳川家定……江戸時代後期の第13代将軍。天璋院(篤姫)の夫

徳川家斉《いえなり》……江戸時代後期の第11代将軍。田沼意次を罷免し松平定信に寛政の改革を行わせた。子沢山で数多くの大名と政略結婚させた

富岡鉄斎……明治・大正期の文人画家・儒学者。「最後の文人画家」と呼ばれる

ナウマン……19世紀のドイツ人地質学者。明治政府の依頼で日本の地質を調査し絶滅したゾウ(ナウマンゾウ)の化石やフォッサ・マグナを発見した

中村正直《まさなお》……明治期の教育者・啓蒙思想家。封建思想からの脱却と個人の自由を訴え、S.スマイルズの『自助論』を翻訳した『西国立志編』を刊行した

仁徳《にんとく》天皇……古墳時代の第16代天皇。大阪府堺市の大仙古墳が陵墓だと考えられている

野間宏……昭和期の小説家。社会主義運動や共産党に参加。部落問題を扱った作品で評価を受けた

パーマー……明治政府にやとわれたイギリス人工兵の少将。日本の近代水道を技術指導した

橋本左内……幕末の蘭方医・洋学者。松平春嶽のブレーンとして一橋慶喜を将軍に擁立しようとしたが、安政の大獄で獄死

秦佐八郎《はた さはちろう》……明治~昭和期の細菌学者。ドイツへ留学しパウル・エールリヒと共に梅毒の特効薬を開発し多くの患者を救った

稗田阿礼《ひえだの あれ》……古事記編纂者のひとり

敏達《びだつ》天皇……古墳時代の第30代天皇。推古天皇(額田部皇女)の夫

藤田嗣治《つぐはる》……レオナール藤田の名でも知られる洋画家。大正・昭和期に活躍した。戦前に陸軍報道部の依頼で戦争記録画を制作したことを戦後に非難され、日本画壇と決別し渡仏した

藤原てい……日本の小説家。満州引き揚げの実体験を元に書いた小説『流れる星は生きている』がベストセラーになった

藤原時平……平安時代の公家。讒言を用いて菅原道真を失脚させ権力の座についた

北条氏康《うじやす》……戦国大名。本拠地の相模から南関東一帯まで後北条氏の勢力を伸ばした

前島密《ひそか》……明治期の官僚。政治家。日本の郵便の父。教育のための漢字廃止論を唱えた

三島通庸《みちつね》……明治期の官僚。開国後の重要なインフラとなる土木工事を進めた。工事に反対する農民を弾圧したことでも知られる

三井高利《たかとし》……江戸時代の商人。のちの三井財閥の祖

源範頼《みなもとの のりより》……鎌倉初期の武将。頼朝の異母弟。義経追討にも参加。のちに謀反の疑いをかけられ殺された

宮崎滔天《とうてん》……明治・大正期の革命家・浪曲師。孫文の辛亥革命を支援した

棟方志功《むなかた しこう》……20 世紀を代表する版画家のひとり

最上徳内《もがみ とくない》……江戸時代の幕府役人。探検家。蝦夷島(北海道)を調査した。アイヌ人の風俗やアイヌ語の記録も残した

モネ……19世紀フランスの画家。印象派。作品に『日傘を差す女』ほか

文武《もんむ》天皇……飛鳥時代の第42代天皇。在位中に大宝律令が公布された

柳沢吉保《よしやす》……江戸時代前期の幕臣。徳川綱吉の側用人として重用され権勢をふるった

山岡荘八《そうはち》……昭和期の小説家。作品に『徳川家康』ほか

山鹿素行《そこう》……江戸時代前期の儒学者・軍学者。後世の吉田松陰は山鹿流軍学が時代遅れになっていることを痛感し九州や江戸で西洋の兵学を学んだ

山部赤人《やまべのあかひと》……奈良時代の歌人。三十六歌仙のひとり。作品に「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」ほか

山本権兵衛《やまもと ごんのひょうえ》……明治・大正期に活躍した海軍軍人・政治家。日露戦争において東郷平八郎を連合艦隊司令長官に任命した

用明《ようめい》天皇……古墳時代の第31代天皇。聖徳太子の父

横光利一《よこみつ りいち》……大正~昭和に活躍した小説家。新感覚派として時代の寵児となったが、国粋主義的な作風のため戦後に糾弾された。作品に『機械』ほか

与謝野鉄幹《よさの てっかん》……歌人。与謝野晶子の夫。北原白秋や石川啄木を見出した

頼山陽《らい さんよう》……江戸時代後期の歴史家・思想家。著書『日本外史』はベストセラーになり尊王思想に影響を与えた

李鴻章《リ ホンチャン》……清朝の官僚。日清戦争講和交渉における清国側の全権大使

ルーズベルト……セオドア・ルーズベルト。20世紀アメリカの政治家・軍人。第26代アメリカ合衆国大統領のとき日露戦争講和の斡旋を行った。親日派だったが日露戦争後は日本を脅威と見るようになった

ルノアール……19世紀フランスの画家。初期印象派のひとり。作品に『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』ほか

和気清麻呂《わけの きよまろ》……奈良時代末期の貴族。怪僧・道鏡による神託のうそを暴き、天皇になろうとした道鏡のたくらみを防いだ

王仁《わに》……古墳時代の百済系渡来人。漢字と儒学を日本に伝えたとされる

『新しい日本の歴史』だけに載っていない人物

育鵬社『新しい日本の歴史』 感想

・50 音順なので、いちばん独特なのがいちばん最初に来る事態に。目を通した方、おつかれさまでした。

・まず人物の総数が他社の倍ほど。人を学べば歴史がわかる…という考え方だろうか

・予想通りとはいえ天皇と日本帝国軍人が他社の教科書より圧倒的に多かった

・他社の扱わない画家や仏師が多かった。国宝製作者やジャポニズムの画家、戦争に協力した画家が多い

・歌人・俳人が多い

・小説家・評論家も戦後に「文壇の戦犯」と批判された人が多かった。ただし"敗戦に向き合った"作家として社会主義者の野間宏を取り上げているのは興味深い

・"『新しい日本の歴史』だけに載っていない人物"は無し。小林多喜二なんかもちゃんと取り上げられていた

・コペルニクスを7社の中で唯一とりあげた点は個人的に評価したい

・とにかく、高校日本史でもお目にかかれないようなマイナーな人物が目白押し。もうこれマジ無理ゲー

教育出版『中学社会 歴史 未来をひらく』

1 2 3 4 5





桝田道也。マンガ家。『日本全国 波瀾万城』発売中