因に、このニコルは、終盤でこの、主人公のリズム音痴のガキが、ジャガジャガうるさいばかりの不快なドラミングに人生を捧げる為に捨てられますが、「主人公は、こんなに可愛い女の子を、にべもなく振ってしまうほど、ドラムに妄執しているのだ」という意味を示唆するだけの、重要度10ぐらいの存在です(どういう数値なのか基準が全然解りませんが&そういう脚本なので、その事自体が悪いと言っているのではありませんが)。
 繰り返し強調しますが、彼女は、女性である綾戸氏をして一緒にピザデートをしたいと思わせしめるほどにキュートです。そして、主人公である、リズム感の悪いお祭り騒ぎ太鼓しか叩けないガキは、苦悩の果て、逡巡の終わりとして決然と彼女を捨てるのではなく、もう、妄執に突き動かされて、繰り返しますが、にべもなくポイと振ってしまうのです。
 その後、映画の終盤、早く手を動かせば偉いと思っている、バカ以下のガキは、ニコルに振られ返されますが、映画は「確かにあそこはちょっと痛かった。しかし、もうそれどころではないのだ」という本作を駆動する妄執というベクトルによって、ぐいぐい進んで行きます。

出典<ビュロ菊だより>No.60『「セッション!」~<パンチドランク・ラヴ(レス)>に打ちのめされる、「危険ドラッグ」を貪る人々~』:ビュロ菊だより:ビュロー菊地チャンネル(菊地成孔)

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2015年 第87回 アカデミー賞「編集賞」「録音賞」「助演男優賞」受賞映画「セッション」についてジャズミュージシャンの菊地成孔さんが長文酷評を公開。映画評論家の町山智浩さんがそれを批判しYahoo!ニューストップに掲載され炎上!時系列で本人同士のブログをソースの軸にして経緯を詳細にまとめました。

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