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日本が「世界最古の国」としてギネスブックに認定されているって本当?実際に調べてみたら載っていなかった

ここ数年「日本が『世界最古の国』としてギネス認定されている」という記事がネットで話題になることが多いが、どの記事も具体的なギネス本での記述の説明がなかったので調べてみた

更新日: 2016年02月11日

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この記事は私がまとめました

雨男さん

ここ数年、「日本が『世界最古の国』としてギネス認定されている」という記事がネットで話題に

ここ数年、「日本が『世界最古の国』としてギネス認定されている」という記事がネットで話題になることが多い。2ちゃんねるコピペブログやまとめサイト、バイラルメディアを通じて、ツイッターやフェイスブック、はてなブックマークなどのSNSで拡散されている。

ただし、それらの記事は見出しに「ギネス」の文字があるものの、実際に本文を読むと具体的なギネス本の記述についての説明はなく、釣られた気分になってしまう。

ギネスにどんなふうに書かれているのか、本当に「世界最古の国」として掲載されているのか

日本青年会議所が「日本はギネスブックに認定された世界最古の国ですが…」というアンケートを実施

日本青年会議所が、2015年2月11日の建国記念日に合わせて、「日本の建国に関する意識調査」アンケートを実施。

質問の1つに、「日本は、今年で2675年の歴史を誇る、ギネスブックにも認定された世界最古の国ですが、その日本が『建国された日』はいつか知っていますか?」とある。

しかし、その具体的な出典(何年のギネスブックに掲載されているのか)まで書かれていない。

ギネスブックには、2,675年という建国世界最古の歴史を持つ自然国家として掲載されているにもかかわらず、自分の国の生い立ち、建国について知っていますかという問いに2,036人中、知っていると答えた方は37%という状態でした。

日本青年会議所九州地区協議会2015年度会長の対談記事でも同じ内容。

Wikipediaの記述は……

ギネスブックでは神武天皇の伝承を元に、日本の皇室を世界最古の王朝としている

そもそもギネス世界記録(ギネスブック)とは

ギネス世界記録(ギネスブック)とは、アイルランドのビール会社ギネス醸造所の社長が「世界で一番の記録を集めた事典があったら便利だなぁ」と思いつき、調査会社に依頼し編纂させた本のこと。

1955年にイギリスで第1巻が発売され、以来ほぼ毎年1冊、記録を更新しながら発売されている。日本では1966年から翻訳版が出版社を変更しながら発売され続けている。当初「ギネスブック」という名前だったが、2000年に親会社のギネス醸造所から独立し、名前が「ギネス世界記録」に変更され、本の形式もリニューアルされ子ども向けに内容も簡略化されたものになる。

ネットの記事を読んでギネス世界記録を確認してみた人が。→「世界最古の国」の記録は見つからなかった

先にも触れたがギネス本は1955年以来ほぼ毎年出版され続けるも、2000年の独立を前後して本の形式が名前以外にも大きく変化している。

1998年版までは新書大のサイズで項目が網羅されている事典形式だったが、2000年からはサイズが大きくなり全ページカラー化し掲載項目が読者受けの良いものに厳選された子供向けの図鑑形式になっている。

項目は基本的に毎年更新されるので、「過去のギネスブックには掲載されていた可能性」を考慮にいれ、古いギネスブックも確認する必要がある。


(画像は私物の1993年度版のギネスブック)

本当に掲載されているの?実際に調べてみた

ギネス記録の項目は基本的に毎年更新されるので、「過去のギネスブックには掲載されていた可能性」を考慮にいれ、古いギネスブックも確認する必要がある。

本当に「世界最古の国」として日本がギネス本に掲載されているのか。実際に歴代ギネスブックに当たり調べてみた。

結論を先に言うと、ギネス世界記録(ギネスブック)に「世界最古の国」という項目はない。よって、日本が「世界最古の国」としてギネス認定されていることはない。

ただし、ネット上で流布されている一部内容についてはギネスブックに記述はある。

ギネス世界記録(ギネスブック)には何が認定されているのか

「最古の王家」という項目で、

「日本の天皇家が最古で、明仁(1933年12月23日生まれ)は初代の神武天皇から数えて125代目にあたる。 神武天皇の治世は、BC660─581年とされているが、BC40─10年頃とするほうがより妥当と思われる。 」

と、ネットで流布する「最古の国」の解説とほぼ同じ内容が書かれている。ただし、「最古の国」の項目はギネスにはない。

(画像は私物の1993年度版のギネスブック)

歴代ギネスブック調査の結果

1971年から2015年までに日本国内で翻訳出版された「ギネスブック」「ギネス世界記録」を調べた。

・「最古の国家」の項目はどの巻でも確認できない。

・日本の皇室がギネス認定されているのは「最古の王家」。英語では「Oldest ruling house」の項目。(1971年の本では「皇統世界一」)

・「最古の王家」の項目は1971年版から1999年版まで確認した全てのギネスブックに書かれている。その全てに、日本の天皇家が、神武天皇から数えて最古の王家であると記述されている。(1999年版は「最古の王家」ではなく「最も古い皇族」という項目になっており、記述も簡略化されている)

・「最古の王家」の内容は、昭和天皇崩御以後と以前で更新されている。1984年版から1988年版までは、昭和天皇が「存命する在任期間世界一の君主」と認定されている。

※「ギネス世界記録 2012年版」には、「もっとも長期の帝国」として約1500年間続いたローマ帝国が掲載されている。

※現在まで続いている「最も古い家系」には、紀元前8世紀から紐解ける中国の思想家孔子の家系が掲載されてきた。

※1980年度版のギネスブックまでは「在位最長の君主」の項目に、日本の皇室から第6代孝安天皇の102年間、第11代垂仁天皇の99年間の在位記録が参考として掲載されていた。

※日本の皇室の記述について、英語の原本と日本語翻訳版で差があるかと思ったが、英語版でも「神武天皇から数えて」の伝承的記述もそのままあり、変わりなかった。

歴代ギネスブックの「最古の王家」の記述

最も古い皇族
 日本の皇族で、紀元前660年2月11日に神武天皇が皇位についてから今日に至るまで継承されている。

出典イアン・カステロ=コルテス/編 1999. 1 「ギネスブック 99 世界記録事典」きこ書房

1999年版に掲載された最後の「最古の王家」の記述。
「神武天皇の治世は、BC660─581年とされているが、BC40─10年頃とするほうがより妥当と思われる。」という文章は削られる。

最古の王家
 日本の天皇家が最古で、明仁(1933年12月23日生まれ)は初代の神武天皇から数えて125代目にあたる。 神武天皇の治世は、BC660─581年とされているが、BC40─10年頃とするほうがより妥当と思われる。

1993年版から1998年版までの記述。(1990年-1992年はギネスブックは出版されていない)

最古の王族
 日本の現在の天皇は,初代の神武天皇から数えて125代目となる。神武天皇の治世は,伝承では BC 660-581年だが,おそらく BC40-10年頃だろう。

出典ドナルド・マクファーレン/編「ギネスブックオブレコーズ 1989」エトナ出版 1989.5

1989年(平成元年)版のギネスブックの記述

最古の王族
 日本の天皇陛下、裕仁(1901・4・29生)は、初代の神武天皇から数えて124代目となる。神武天皇の治世は、伝承ではB.C.660-581年だが、おそらくB.C.40-10年頃だろう。現在の天皇は1926年12月25日に即位してからすでに60年を経ていて、現在では在位期間が世界一長い。

出典アラン・ラッセル/編「ギネスブック 88 世界記録事典」講談社 1987.12

1988年版のギネスブックの記述。1987年盤、1985年、1984年版もほぼ同じ記述。

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