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「千と千尋の神隠し」解説【宮﨑駿】

宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」は、文明論を語るアニメです。全体の構造を見ればそれは明らかです。作品というものは、全体の構造を見なければいけないのです。

更新日: 2018年07月04日

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この記事は私がまとめました

1、全体の構成

冒頭のワンシーンに、この作品の構造は明示されています。

そして上の部分が切れた大きな木

三つのアイテムがまとめて示されます。このシーン、なにか意味があると思った方多いと思います。

さてところで、この作品は、ちょうど三日間分の出来事を描いています。

昼間引っ越しをしようとして道に迷い、赤い門をくぐります。
その日の夜、千尋は湯婆婆と契約します。

翌日千尋は建物の中で働きます。

三日目千尋は昼ごろ建物を抜けて電車に乗り、
銭婆のところにゆきます。

四日目の朝、油屋に戻って開放されますが、
両親と車はまだそこにあります。

一日目の昼から四日目の昼までですから、ちょうど丸三日分の時間がながれています。もうおわかりですね。

そして上が切れた木が、

電車の乗って移動した世界です。

だから釜爺は言ったのです。
「電車は昔は帰りがあったんだが、40年前から一方通行になって」と。

おそらく大木に40年前に雷が落ちたのです。
だから樹木は、根から養分を吸い上げることは出来ても、
光合成がほとんどできなくなって、
電車も一方通行になったのです。

そうあの電車は、
大きな木の維管束なのです。

電車の中の荷物を運んでいる人は、
大木の根から幹へ養分を運んでいる人なのです。

素晴らしいイマジネーションですね。

トトロの木、あるいはラピュタを支える大きな木、そのような世界を象徴する大きな木を「世界樹」と言います。神話世界の定番アイテムです。この作品では、上が切れている、その中を電車で移動する、というところが新しい点です。
神話世界では、世界樹がなくなると世界が滅亡するのですが、「千と千尋の神隠し」では「上が切れているけど、まだ世界はなくならないよ、まだやり直しが出来るよ」という意味を含んでいます。

2、音読み訓読み、周辺と中心

湯(訓読み)婆婆(音読み)
銭(訓読み)婆(音読み)
釜(訓読み)爺(音読み)
饒速日(訓読み)琥珀(音読み)主命

全て訓読み+音読みの組み合わせになっています。

ですから
荻野千尋(訓読み)が千(音読み)になるのです。

訓読みとはつまり、中国世界の中心ではなく、周辺(たとえば日本)での、漢字の読み方です。
中国世界の中心では、もちろん音読みします。


これは周辺民族が文明の中心部分に行った時の物語なのです。

ちなみに周辺の部族のことを、
東夷
南蛮
西戎
北狄
と呼んでいました。
西戎は別名犬戎と云います。

油屋の世界は、東夷、南蛮が西戎、北狄と交わる、
まさに中華の土地なのです。

千尋の名字は荻野ですが、
荻の草冠を取ると狄になります。

契約の時、何故か漢字が犬になっていますが、
これは西戎(=犬戎)でもあり、北狄でもある、という意味だと思われます。

ちなみに西戎北狄は騎馬民族です。そして千尋の父は「この車は四駆だぞ」と自慢してぶっ飛ばします。

一方オクサレ=名の有る川の神様や、
ハクは龍になります。
龍は東夷や南蛮の神です。

ちなみに大きな門の近くに立っている石人は、

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