当代も言い辛かっただろうが、話した内容はこうだった。父に当たる先代は、乱暴で狡猾な人物だったそうで、若い頃から問題ばかり起こしていたそうだ。

それでも、先々代が存命の内はまだマシな方で、先々代が亡くなると、素行に歯止めが効かなくなった。

多くの村人を巧妙に利害で巻き込みながら悪事を繰り返し、村では誰も逆らうことが出来なくなってしまったそうだ。

祟っている3名の死にも、先代は関わっているらしい。それから先代は、3年前に実の妹に殺害された。

多分これが、最初の祟りじゃないかとのこと。そして祟りで死ぬ前に、あの3名の女性と関わりのある男に罪を着せて殺している。もちろん私刑だ。それ以来村では、身内や血縁者を殺してしまう事件が時々起こるようになった。

曾爺ちゃんはこの話を聞いて、その殺された男をまず供養しないとこの祟りは収まらないと思ったらしく、墓の場所を訪ねた。

当代の答えは「墓はない。埋めただけになっている」と話し、埋めた場所に次の日に行くことになった。

曾爺ちゃんは、その晩は屋敷には泊まらなかった。明日の事を考えたら、ここで気力を消耗したくないって気持ちになったらしい。



次の日、当代と村の男数名に案内されて、その男の埋まっている場所に出かけると、そこは村はずれの藪の中だった。

ジメジメと腐った枯れ草が覆い被さり、枯れ草の隙間から育ちが悪い感じの雑草が生えている。

そこに高さの余りない盛り土があり、近くには申し訳程度の供え物が朽ちていた。

曾爺ちゃんは「ちゃんと埋葬し直して供養しなといけない」と当代に言って、掘り返させた。

大して掘り返さないうちに死体は現れ、出てきた死体はやはり普通の状態ではなく、無惨に切り刻まれていて、五体ばらばらどころか、肉片がいくつも出てきたらしい。

ただ不思議な事に、3年前に死んだはずの死体は、腐敗せずに湿り気を帯びていたそうで、曾爺ちゃんは『呪物になっているな』と感じたそうだ。

この辺の詳しい理屈は、爺ちゃんには分からないらしいが、多分殺された男は3名の女性を弔っていた者で、そのことで3名の霊的な干渉を良くも悪くも受けていた。

しかし殺された後は、本人の無念も重なって、3名の祟りの呪物化したのではないか、という感じの話をしていた。

とにかく曾爺ちゃんは、男の遺体から頭髪の一部を切り取った後は、全てカメに詰めて埋め直し、経をあげて供養した。

供養といっても、成仏させた訳ではないらしいが、成仏させる訳にもいかなかったので、その地で安息できるように色々したようだ。

頭髪の一部を切り取ったのは、業が深すぎる件なので、関わった自分への祟りも有ると思い『この男を、自分も供養しないと危ない』と思ったかららしい。

曾爺ちゃんは、当代にこんな注意をして別れたそうだ。

・あなたの直系は、子々孫々まで男の命日の供養を欠かさないこと

・3名の墓を除いた墓地にある他の墓を、村の近くに移すこと

・墓を移したら、誰も3名の墓に近づかないこと

・祟りや3名の霊が現れることがあったら、男の墓に供物を捧げ助命の願をかけること

曾爺ちゃんは村にはあまり長居したくなかったそうで、旅費位にしかならない報酬を貰った後は、来た時と同じように地元の議員さんやら有力者に挨拶を済ませてから、一人で家に帰った。

そして、家族に男の髪が入った箱を見せて、この話をしたそうだ。もし自分が祟りで倒れた場合に、この髪の供養を続けて貰わなければならないから。

この件で、曾爺ちゃんが坊主を辞めなくてはならなかった理由は、曾爺ちゃんがやった方法は、呪い返しに近い方法であって、それがお偉いさんに知れた時に、世話になった上司の立場をかなり悪くしてしまったからだそうだ。

何か歴史物では、お偉い坊さんが権力者に頼まれて呪ったりする話があったりするが、下端の坊主が何かすると厳しいのかな?

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