その事故は、片側2車線の道路で起こった。現場検証では、Aの兄が反対車線に入り走行した事が原因とされていた。

トラックの運転手の話では、よける間も無いくらいの出来事だったらしい。Aの言う妙な事とは、突然車線を変えたのもそうだし、ブレーキペダルとフロアの間に、猫が入り込んでいた事だそうだ。

当然その猫も生きてはいなかった。

「ぶつかる寸前にブレーキをかけたんだろうけど、間に猫がいて効きが悪かったのかもしれない。効いてても回避する事は出来なかったんだろうけどさ」

「猫なんか飼ってなかったのに」

それを聞いて俺は

「途中で拾ったのかもしれない」

そうAに言うと、

「それは絶対にない。猫嫌いだもん」

しばらくAは黙っていた。俺は少し気を紛らわせてやろうと思い、買い物に行きビールなどを調達してきた。買い物から戻りAにビールを渡し、話の続きを聞いた。

「俺これで天涯孤独になっちゃった」

Aはそう呟いた。Aの母親は幼稚園の頃に亡くなり、父親は4年前に亡くなっていた。

もう家族で残されたのはA一人だった。Aの表情はとても寂しげに映った。その表情が突然変わり、Aは俺に聞いてきた。

「なー呪いって信じる?」

思わず呆気にとられてしまった。

「たまにテレビでやってる、木とかにこんこん釘打ったりするやつ?」

俺はあり得ないという表情で答えてやった。俺のそんな答えに動ずることなくAは喋り始めた。

「兄貴二人。そして父親も、呪いで死んだのかもしれない」

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