そこからその話は始まった。



Aは幼少の頃の話を聞かせてくれた。そこは普通の田舎町で、これから話す不可思議な事件が起こりそうな場所ではなかったらしい。

Aの実家の近くには、子供心に相手にしたくない家があったそうだ。ただ単純に、その家のおばさんの見てくれがもの凄く怖かった、というのが理由だそうだ。

野球をしているときに、たまたまボールがその家の庭先に入ってしまい、しかたなく挨拶をしてボールを取ろうとした時に、そのおばさんに鎌を持って怒鳴られたそうだ。

そんなこともあり、その家は子供にとっては恐怖の対象でしかなかった。

小学2年の頃、夜中に我慢が出来なくなりトイレに起きた時の話では「ザク、ザク」と物音が聞こえてきて、トイレの小さな窓から覗くと、そこには鎌を庭にある大きな木に向かって、何度も突き立てるおばさんの姿があった。

とにかく、その光景があまりにも怖すぎて、その晩は寝ることも出来なかったらしい。

翌日、学校に向かう途中で恐る恐るその木を確認すると、確かに無数の傷と大きな釘が一本刺さっていたそうだ。

子供の頃は、ただ単純に怖かっただけなんだけど、今思えばあのおばさんには同情するところはかなりある。

その家の主人はもの凄い酒乱で、毎晩のように飲んでは暴れていた。あの当時は精神的にかなりまいっていたんだろう。

Aはそう言いながら話を続けた。

それから数ヶ月が過ぎ、最初の事件が起こった。下校途中にAと3人の子供達が、あの家の大きな木の下に、人が倒れているのを発見した。

4人で最初は寝てるのかとも思ったらしい。それでも気になって、他の子が親を呼んで確認させたところ、すぐに救急車が呼ばれた。

倒れていたのは、その家の主人だったそうだ。すでに息はなく、死因は心臓発作との事だった。近所の人の知らせで、農作業に出かけていたおばさんも呼び出され、すぐに病院に向かっていった。

子供だったAは震えていたそうだ。死体を見た恐怖と、あの晩のおばさんの奇妙な行動が重なって、余計に怖かったらしい。

それから、おばさんは人が変わったように明るくなっていた。前とは比べられない程に。でも、おばさんの笑顔は長くは続かなかった。

その家には二人の息子がいたが、二人ともその家にはいなかった。次男は人柄もよく真面目で、結婚をして家を構えていたのだが、長男は父親に似て酒乱がたたり、定職にもつけなかった。

父親が死に、母親の面倒を見るという名目で、長男は家に戻ってきた。おばさんにとっては、今まで以上に辛い日々になっていったのだそうだ。

昼間から酒を飲んでは母親に暴力を振るい、近所から何度注意されても直る事は無かった。母親に対する暴力に、次男も何度も抗議に来ていたようだ。

数日が過ぎた晩、Aは家族で食事をしていた。

すると玄関を激しく叩き、父親を呼ぶ声がする。声の主は、隣に住むお姉さんだった。

「向こうの木の下に人が倒れている」

そう言ってお姉さんが震えていた。すぐに父親が確認に向かった。

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