「出来たのが分かったって事は、あいつが入院する前にやったって事だよな」

本当にひどい聞き方だ。

Bは答えてくれた。

「今まではちゃんと避妊してたよ」

Bは続けた。Bの話を聞いていくと、俺は寒気を覚えた。

4ヶ月くらい前に、変な夢を見たんだそうだ。3日間、夢は続いた。最初に見た夢は、会った事もない男性で、何度も同じように

「すまない、すまない」

と言い続けていたらしい。

会ったことのない人なんだけど、何となくAに似ていたそうだ。次に見た夢は、亡くなる前に紹介されていた次男だった。

同じように

「ごめんね」

と何度も言われた。そして最後に見た夢は、A本人だった。何度も振り返りながら、手を振っていたそうだ。

その夢を見て嫌な予感がしたらしく、結婚を急がなければと感じたらしい。

以前から、結婚の話になるとAは消極的だったらしく、いきなり結婚話をしても変わらないだろうと思い、それなら妊娠してしまおうと考えたそうだ。

でも、妊娠したのが分かる前にAは入院してしまった。Bはこうも言っていた。

「あの夢は、この事を伝えたかったんだと思う。だから、子供が出来たことを知れば、必ず直ってくれるよ」

頭がおかしくなりそうだった。

「今日はもう遅いから明日また話そう」

と、Bを家に帰した。



その日は一晩中、寝ることは出来なかった。何が最良なんだろう。自問自答を繰り返して出た答えは、Bに呪いの話を告げることだった。

翌日は、Bを俺の家に呼んで話すことにした。こんな話は外では出来るわけもない。体のことも心配だったし。

Bと話をし、すべてを教えてあげた。何人もの人が死に、そしてAの家族が亡くなり続けていることも。夢の話や、細かい事もすべて話した。

Bはため息を付きながら、

「言えないよね、呪いなんて」

そう言った。

「それが結婚に踏み切れない理由だったんだね」

Bは泣いていた。

俺はBに言った。

「あいつが呪いを信じてる以上、妊娠のことが分かれば、100%堕ろせと言ってくるだろう。もしBが生む覚悟なら、絶対に言うな」

Bは、

「あの人の性格を考えれば言えないよね。でも堕ろさないよ」

涙をこらえながら言うBを見て、俺は泣けてきた。

その後に俺たち二人は、これからのことを話し合った。人の人生をこれだけ真剣に考えたのは、俺自身初めてのことだったかもしれない。Aの病が奇跡的に治ってくれれば、どれだけいいだろう。

それから俺は、暇があればAの元に見舞いに行き、Bともよく話をした。Aの病状は一向に良くはならなかった。2ヶ月も経たないうちにAは危篤状態に陥った。

持ち直すことなくAは他界してしまった。俺が駆けつけた時には、既にAの体からは温もりは消えていた。

Aは、自分が亡くなった後のことをよく考えていてくれた。Bに保険のことや遺産のこと、俺とBに葬儀のお願いや後の処分方法など。

Bに宛てた手紙。俺とBに宛てた手紙。そして俺に宛てた手紙。俺とBに宛てた手紙には、もの凄く感謝の込められたものだった。Bに宛てた手紙も、同じようなものだったらしい。

ただ、俺個人に宛てた手紙は違っていた。その手紙の内容は、Bに見せられるようなものではなかった。



Aが亡くなって半年ほど経った。もうすぐBは出産する。無事に生まれてきてほしい。何事も無く成長してほしい。

ひたすらそう願うしかない。俺は、Aの残した遺言で今も悩んでいる。なんでこんな物を残したんだ。Aの残した手紙の中には、俺とBの婚姻届が同封されていた。そしてAの残した手紙。

『Bのお腹に居る子供は俺の子供ではない。お前の子供だ。だからお前は、責任を取ってBを幸せにしろ』

Aは、子供が出来ていたことに気づいていたのだ。だからって強引に俺の子供にするなよ。お前なりに考えたことだろう。

きっと、呪いの事で頭がいっぱいになっていたんんだろう。お前の気持ちはよく解る。でもこれはないだろう。

最後にAはこう綴っていた。

『頼むからBを幸せにしてくれ。頼むからこの願いを叶えてくれ。もし叶えてくれなければお前を呪う』

Aの身の回りで起きたことは、偶然だと俺は思いたい。Aが呪われる必要は、何一つなかったはずなんだから。

もしかしたら、これは俺自身が招いたのかもしれない。今までしてきたことの罰なのかな。

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