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「英国を取り戻す」が標語の英極右集団、Britain Firstと、BBC3の人種主義特集

「特権的な移民によるわが国の乗っ取りを許すな」みたいな感じの主張をする極右集団。2011年、元BNPの主要メンバーたちによって創設されたこの集団は、現在の英国の極右の中心といえる存在。2015年10月、BBCが「人種主義検証」のシリーズで彼らに密着したドキュメンタリーを放映。

更新日: 2015年10月07日

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nofrillsさん

Britain First (ブリテン・ファースト) という集団

英国に「ブリテン・ファースト(ブリテンが第一)」という政党がある。英国の法律のもとで政党登録されているので「政党」と呼ぶが、日本語では「政治団体」と言ったほうがしっくりくるかもしれない。国政レベルはもちろん、地方政治のレベルでも1人も議員を出していない「政党」だ。

主張は「多文化主義に反対」、「移民に反対」という典型的な極右ナショナリストのそれであるが、この集団に特徴的なのは「英国がイスラム化している」ということを《事実》として認識しているという点である。

その彼らが、党のシンボルマークに書き込んでいるモットーが、Taking Our Country Back (わが国を取り戻す) だ。

写真は「ブリテン・ファースト (BF)」の街頭行動。英国の極右ウォッチのHope Not Hateより。

BFのロゴは当初、この写真にあるように、王冠をあしらい、Rule Britanniaという文言を書き込んでいたが、王室のシンボルを使うことについては内閣府から通達があり、ロゴは現行のものに変更された。

BFは2011年に、その頃には既に瓦解しつつあったBNP (British National Party) の党員だったことがある人々によって結成された。

BF発足時のリーダーは、ジム・ダウソン (Jim Dowson) というスコットランド人のユニオニスト(連合維持を主張する人々。スコットランドの独立には反対する立場)。スコットランド出身だが、主な活動の場は北アイルランドで(北アイルランドのユニオニストはスコットランドがルーツ)、活動の内容は政治的というよりは宗教的というか(本人、元々宗教家である)、北アイルランドにはよくある「反カトリック」で、「聖書は絶対」の原理主義が基本。特に女性の妊娠中絶反対でデモを展開するなどしていた。

北アイルランドの例の「旗騒動」(2012年~13年)にも参加している。

ジム・ダウソンはかつてBNPの有力メンバーで、2007年からは党の資金集めを担当していた。この頃には既にスコットランドから北アイルランドのベルファスト郊外に引っ越していた彼は、スコットランドに設立した会社の名前を使って、ベルファスト郊外のビジネス・センターにBNPのコール・センターを開設し、そこを運営していた。

BNPではそのころいろいろあって、党はぐだぐだになっていたのだが、2010年、ダウソンはBNPを離党し、「反イスラムのキリスト教の団体」を立ち上げると宣言していた。

以上、via https://en.wikipedia.org/wiki/Jim_Dowson

ダウソンのもとには、そのころBNPを抜けた活動家たちが集まった。2011年5月に「ブリティッシュ・レジスタンス」という極右のウェブサイトを通じて彼らが設立を宣言したのがBFである。写真を見ると北アイルランドのロイヤリスト組織にそっくりだが、ロイヤリストと英極右はずっと前からつながってる。

BFは、2014年の欧州議会選挙を前に政党登録したが、同年7月に設立者のジム・ダウソンが「疲労」などを理由に離脱し、現在は、やはり元BNPの主要メンバーだったポール・ゴールディングという人物がリーダーとなっている。

Hope Not Hate (HNH) では、設立者のジム・ダウソンに直接話を聞いて、詳しい記事をアップしている。彼によると、ざっくりと、世の中の悪いことはすべて「左翼(マルクス主義のリベラル)」のせいらしい。

来年、2016年5月に行なわれるロンドン市長選挙では、確実に「泡沫候補」になるのだが、BFのリーダーのポール・ゴールディングが立候補している。BFは「EU支持でイスラミストが大好きな他政党」と真っ向勝負だ、と鼻息が荒いようだが、正直、独り相撲である。ただし、この集団、ネットでのプレゼンスは非常に高く、つまり「ネット上だけで見てると一大勢力」なので、「FBでしか情報が入ってこない」ような支持者たちの間では盛り上がっているのだろう。

彼らBFの副リーダー(副党首)は、Jayda Fransenという女性(写真左)。

2014年のロチェスターの補選(保守党を離党した下院議員が、UKIP所属として出直しの補選で当選した)で、立候補するだけして、実はUKIPを応援してたBFの候補が彼女。
http://matome.naver.jp/odai/2141752716877725401/2141794824593272903

▲▲▲以上、前置き▲▲▲    ▼▼▼以下、本題▼▼▼

2015年10月6日深夜(現地時間。日本時間では7日の朝7時台)。UKのTwitterのTrendsのトップが、We Want Our Country Backのハッシュタグだ。

なぜ極右の標語が……と見てみると……

"We Want Our Country Back" などという物騒なハッシュタグがUKで1番にトレンドしているので何かと思ったら、BBCで極右集団Britain Firstのドキュメンタリー。

BBCとはいってもBBC Threeでの放送。(Newsnightなどではなく。)

Tonight we meet Britain First. RT if you're watching #WeWantOurCountryBack pic.twitter.com/WBUn9zQxOz

※動画です。画像クリックでご確認を。

ネット上でのプレゼンスだけは異様に高いけれど、リアル世界では数としては「無視してればいい」程度の勢力に過ぎない彼らについて、こういう「密着番組」を作って放映するのが「公器」の仕事。

「出羽の守」にはなりたくないが、ネット上で「なぜデモについてニュースでやらないのか」と言うと(「マスコミの中の人」たちからさえも)「症候群」扱いのようなことをされるこの言語圏とは、懐の深さ、リーチの範囲、層の厚さ、そういったものが全然違うと思う。

Britain Firstは、アンジェム・チョーダリーらのイスラム過激派の「禁酒デモ」に対する対抗というか、「自警団」気取りの集団として目立つようになったが、あらゆる意味で単なる極右。おととしくらいにVICEで密着ビデオ・レポートがあった。検索すればウィキペディアがすぐに出てくる

Halal food funds ISIS?!! You what?!! Bit like saying eating at BBC canteen funds paedophiles. #WeWantOurCountryBack

「ハラール・フードがISISの資金源だとか、何言ってんの。BBCの食堂を利用したらペドの資金源になると言うようなものだ」

We have halal sandwiches at the hospital, I wonder if the NHS knows its funding terrorism? *rolls eyes* #WeWantOurCountryBack

「(健保の)病院でハラールのサンドイッチが提供されているのですが、ということはNHS(健保)はテロリズムの資金源だとでもいうのでしょうか(目を白黒)」

「ハラール・フードがテロのなんちゃら」というばかばかしい主張 twitter.com/nofrills/statu… を、Britain Firstもしている。 twitter.com/TheMightySteve…

このBBCドキュメンタリーが放映されたタイミングがまたすごい。「人権法」を廃止しようと画策している保守党の党大会の会期中で、テレサ(テリーザ)・メイ内務大臣が「移民は英国にとって望ましくない」という方向の発言をしたところ。 pic.twitter.com/sLkCZzF6J8

※10月8日正午過ぎ追記: 「日本の自民党が、英国の極右のフリンジ集団と同じことを言ってる!」という衝撃ゆえ、ここまで読んでもこのツイートは目に入らないか頭に残らないのかもしれないけど、目を留めてもらうためにこういううっとうしい追記をしておきます。

「日本の自民党」と対置すべきは「英国の保守党」です。英国の保守党の中にも極右の主義主張は入ってきています。それが2010年代のリアルな政治です。テレサ・メイの発言にいたっては、第二次大戦での http://is.gd/CIEDAG にあったような自国の価値観の否定とも言える内容、すさまじいですよ。

一番いいタイミング(テレサ・メイ内相のスピーチ直後)にキャプチャ取れてればよかったんですが、ちょっと遅れたので。。。

これはBBC Newsの政治コーナー。保守党党大会の話でもちきりだけど、ピンクの枠で囲んだところが「移民、入国管理」関連の話題。
http://www.bbc.com/news/politics

※10月8日正午ごろ追記: 自民党との類似をまじめに考察するのなら、BFではなく保守党見なきゃだめです。キャメロンの前のハワード党首のころからの流れ、IDSやマイケル・ゴーヴの発言など含めて。

ガーディアン。
http://www.theguardian.com/politics/conservative-conference-2015

見出しだけでうんざりしてしまって記事は1本も読んでません。10年前にキャメロンが党首になる前に、保守党はこの路線で「移民制限は人種差別ではない」というスローガンを出して、選挙でボロ負けしてたんですよね。だからキャメロンは「ソフト」なイメージを出して「新しい保守党」を印象付ける戦略をとった。それでも5年前、2010年の総選挙では保守党は勝てなかった(勝てなかったけど、LDと連立することで政権は取った)。

▼BBCのドキュメンタリーの内容と、人々の感想ツイート

話題のドキュメンタリー(BBC 3で放映)、We Want Our Country Backは: bbc.co.uk/programmes/b06… 英国内からの接続なら全編見られる。英国外からの接続でも、ページ後半にあるClipsの欄にクリップがアップされれば、それは見られるはず。

"We get all sorts of labels thrown at us - we're fascists, we're bigots, we're racists." #WeWantOurCountryBack pic.twitter.com/2cniVQac8m

BFの副リーダー、ジェイダの街頭スピーチ。「私たちには、ありとあらゆるレッテルが貼られています。ファシストだ、ビゴットだ、レイシストだと」(それを「レッテル」と呼ぶのなら、「ジェイダは女性だ」も「レッテル」になるのでは。「ファシスト」は、まあ、実態としては簡便な罵倒の言葉として用いられることが多いけれど、「ビゴット」、「レイシスト」は実際にそうだから)

写真の中の言葉は「ムスリムがいる場所には、過激化が生じる」。

これのどこが「ビゴット、レイシスト」ではないというのか。

What do Britain First look like to you so far? #WeWantOurCountryBack pic.twitter.com/VUYVG1kGbr

番組始まって20分くらいのところで「ここまで、どう見えているでしょうか」という質問の文面に、番組内での誰かの言葉。「ファシストのような歩き方をし、ファシストのような行動を取るのは、ファシストの組織」。

BBCがこの番組で取材したと思われるデモ(今年6月、ルートン)の映像。BFのメンバーか支持者がYTにアップしているもの。センスがいい・悪いはあると思うけど、かなりしっかり作られてる。

デモ隊は、年齢としては20代から60代といったところか。「この白人の国で、白人がマイノリティになっている」云々と演説してるっぽい(全部は見てません。時間の無駄なので)。

上記映像から、デモ隊の掲げる旗、また旗。

一番多いのはユニオン・フラッグとイングランドの旗だけど、このキャプチャにあるように北アイルランド(アルスター6州)の旗(アルスター・バナー。手前の王冠と赤い手の入った聖ジョージ十字)、ウェールズの旗(画面左に端っこだけ写ってる)もある。スコットランドの聖アンドルー十字(青地に白のナナメ十字)は見当たらない。

現在では「反イスラム、反共産主義」のシンボルとしておなじみのテンプル騎士団の旗はある(これはEDLも使ってた)。

アルスター・バナーがさかさまだ。王冠がついてるんだから、どっちが上かくらいは見ればわかるだろうに。

#WeWantOurCountryBack something nations affected by colonisation should say. Not the the imperialist nation itself bbc.co.uk/programmes/b06…

「『わが国を取り戻す』などというのは、植民地主義の被害にあった国が言うことであって、帝国主義国が言うことではない」

For the record. Britain First don't represent all Christians, just like terrorists don't represent all Muslims #WeWantOurCountryBack #scum

「念のために書いておくが、BFはキリスト教徒全体の代表ではない。テロリストたちがムスリム全体の代表ではないのと同じ」

「スカム」とも書き添えて嫌悪感を表明。

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