“第二は、太平洋の防備制限の問題、これには初めからかなり反対があった。
しかしヒューズ氏は、加藤全権の熱意に動かされて、首脳部の若干に相談しただけで、急いで承諾してしまった。
ところでその案が公表されると、アメリカ海軍部内に猛烈な反対が起った。今でも機会あるごとに、アメリカに取ってあんな不利な制限はない。あの条約はなるべく早く廃棄すべきだという議論がある。
それでヒューズ氏自身も、こんなに反対があるとは、自分も予知しなかったと言ったそうである。
しかし要するに、こういう風に、アメリカの海軍にも不満があり、日本の海軍にも不満があるということは、結局この条約が公平であったという結論になるのではないか。双方都合のいいようなものは、とても出来るものではないと、しんみり小ルーズベルトは話していた。”

出典名分話 第329回 ハルとグルー(10)|メモ垣露文

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