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VW事件の技術的な問題とマツダSKYACTIVのアドバンテージ

世界中で大騒ぎになった フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正事件。その技術的な背景をまとめました。

更新日: 2016年01月16日

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この記事は私がまとめました

ガソリンエンジンに比べて、排ガス的に苦しいディーゼル。

CO2は有利だが、NOx、PM(粒状物質=スス)が不利になってします構造なのです。

なぜディーゼルが排ガス的に苦しいのかと言えば、一言でいうと空気と燃料の混ざり合い方が不均衡だからだ。考えてみて欲しい。高温高圧の空気の中に燃料を噴射したら、空気に接触した途端燃え始める。だから噴射ノズルの周りでは燃料が濃いまま燃えて、正常に燃えた分がCO2になり、酸素が足りない分はくすぶってPMになる。一方で、ノズルから遠いところでは燃料が来ないのに高温になって酸素が窒素と化合してNOxになる。3つの化学反応が同時に起こっているのだ。

クリーンディーゼルに使われる主な排ガス対策技術

PMについても、さまざまなカタチで対策が取られて来ています。最もベーシックなスタイルは、酸化触媒の後方に「DPF(Diesel Particulate Filter)と呼ばれる装置を装着することです。

尿素添加は尿素水の補充が必須になるし、プラチナを使った触媒は高価になってしまう
=ディーゼルの高コスト化の原因

なぜ、欧州ではクリーンディーゼルが主流なのか?

そもそお欧州では、車文化が大きく違います。

1、オートマではなく、ミッション車が主流
2、日本に比べて、車の使用期間が長期
3、アウトバーン等の高速巡行も多い
4、排気量ではなく、二酸化炭素の排出量で自動車税(罰金)が異なる

低速トルクが高いので、ギアチェンジが楽
ガソリンエンジンより耐久性が高い
高速巡行での燃費がいい

そして、CO2排出量が少ないディーゼルはエコなだけではなく、
経済的なエンジンとして支持を得ています。

ヨーロッパではディーゼルエンジンの比率が50%を超えます。
つまり、過半数以上の人たちがディーゼル車に乗っているということです。
フランスやスペインでは実に約7割の人たちがディーゼル車を所有しています。

ヨーロッパ車はガソリン車の燃費改善が日本ほど進んでおらず、クリーンディーゼルとの燃費差が大きい。
また新車価格も10万から20万円程度の差しかない。

日本よりも1台の車に長く乗る傾向のあるヨーロッパの人々から見たら、コストメリットはディーゼル車の圧勝なのである。

まずCO2排出量が少ないということは、つまり燃費がいいということになる。しかも低回転で大トルクを発生するディーゼルの特性は、乗りやすさにもつながる。ヨーロッパで広く普及しているマニュアルトランスミッション車に乗るとなれば、ギアチェンジの回数は半分以下になるのだ。

欧州メーカーは、ディーゼル車を二酸化炭素削減のための戦略車として考えていて車体価格を低く設定しています。

欧州ではメーカー全体でのCO2の排出量を下げないと高額の罰金

長期的目標設定
2020年までに、新車の1キロメートル当たりの平均CO2排出量を95グラムとすることを目標とする。

目標達成のフェーズ分け
1キロメートル当たりの平均CO2排出量120グラムの達成を、2012年1月までに65%、2013年1月までに75%、2014年1月までに80%、2015年から100%と段階的に実施する。

超過罰金の引き下げ
2012年から2018年までの目標値未達成の場合、新車一台あたり1グラム超過で5ユーロ、2グラム超過で15ユーロ、3グラム超過で25ユーロ、4グラム以上は95ユーロの罰金を自動車メーカーは支払わねばならない。さらに2019年以降は1グラム超過する毎に罰金は95ユーロとなる。

VWの行った不正とは?

VWが、車が排ガス検査していると判断すると排ガス浄化機能をフル活動させ、そうでない通常走行時には浄化機能を弱めるプログラムを組んで量産車に搭載し、アメリカ・欧州の排ガス基準検査をパスし、世界で1100万台ほど販売していた。
・これはアメリカの法律で禁じられた行為で、「不正」どころか明確に「違法」。

コスト低減のための尿素水溶液噴射装置の不採用が原因?

開発担当技術者は、米国の窒素酸化物(NOx)排出基準に適合するために、「尿素水溶液」の噴射が必要だと指摘していたが、コスト(数万円レベル)が小型車に見合わないために見送られ、その結果、不正につながったとされている。

SKYACTIV TECHNOLOGYを信じれた理由

すごく簡単に言うと SKYACTIVディーゼルは 一番の課題である NOx対策を 触媒や尿素噴射という後処理に頼るのではなく、低圧縮による燃焼そのものでクリアしていること、

また、アメリカへのディーゼル投入をまだ行っていなかったのも、逆に言えば、不正をしてまで投入しない信頼性につながったともいえる。

従来のディーゼルエンジン車の場合、日本のポスト新長期規制、米国のTier2Bin5、欧州のEuro6といった排気ガス規制に対応するには、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction:選択還元触媒)システムやリーンNOxトラップ(LNT)などの高価なNOx後処理装置が必要でした。SKYACTIV-Dを搭載するCX-5は、これらのNOx後処理装置を使わずに、先述した排気ガス規制をクリアした世界初の車両なのです。なお、全ての排気ガス処理装置が不要なわけではなく、炭化水素や一酸化炭素を処理する三元触媒と、ススを処理するDPF(Diesel Particulate Filter)は搭載しています。

「後処理」ではなく燃焼時にNOxを減らす

高価なプラチナを使うNOx吸蔵触媒やユーザーが尿素水を補給する手間をかけなくてはならない尿素SCR装置を使わないことで、コストと保守労力の低減を図ることにも繋がる。

後処理装置を持たないマツダのディーゼルエンジンでは、NOx吸蔵触媒の加温と尿素SCRの噴射量を増やすという最も簡単で効果がある方法が使えない。構造上、不正がしにくいシステムなのだ。

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