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同じ国に生まれながらここまで不平等! 全国に1万人以上いる無戸籍者の過酷な実態

アパートやマンションの賃貸契約は結べず、選挙権はなく、健康保険に加入できないなど身分証明が一切作れない。そして今話題のマイナンバーも無戸籍者には届かない。同じように生まれながらここまで法律の壁によって冷遇される無戸籍者は1万人以上いると言われます。

更新日: 2017年08月20日

egawomsieteさん

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■「無戸籍」なお700人…煩雑な手続き足かせか

親が出生届を出さずに「無戸籍」となっている人が、2014年以降の法務省の調査で1403人確認され、このうち約半数が今年7月時点でも無戸籍のままであることが分かった。

 救済手続きの煩雑さや周知不足が無戸籍解消の足かせになっているようだ。行政が把握できていない例も含めると、無戸籍の人はさらに多数に上るとみられている。

 法務省は14年から無戸籍の実態調査を行っている。これまでに把握した無戸籍の人のうち、7月10日時点で701人が無戸籍のままだった。このうち132人は成人だ。

 戸籍は、人の出生から死亡までの親族関係などを示すもので、日本国籍の証明にもなる。戸籍がなければ、原則として住民票やパスポートを取得できない。身分が証明できないため、本人名義で部屋を借りたり、携帯電話を持ったりすることも困難だ。義務教育を受けていなかった例もある。

■不明児童、全国に25人=前回調査から大幅減-厚労省

自治体に住民登録しながら居住実態が把握できない所在不明の18歳未満の子どもは今月28日時点で25人だったことが29日、厚生労働省の調査で分かった。2014年10月時点の前回調査の141人から大幅に減少しており、厚労省は市町村間の連携や警察、児童相談所による支援が進んだことが原因とみている。
 調査は全国の1741市町村を対象に昨年6月から4月までの期間を対象に実施した。
 調査結果によると、市町村が昨年6月1日時点で所在確認が必要と判断した児童数は全国で1878人。このうち、自治体職員による訪問調査や東京入国管理局への照会などにより1853人は所在が把握できたが残り25人が所在不明で、厚労省と市町村で引き続き実態把握を進める。 
 所在不明の児童の構成を見ると就学前が4人、小学生が7人、中学生が6人、中学卒業以上が8人。都道府県別では東京が5人で最も多く、以下栃木、埼玉がそれぞれ3人などとなっている。

■推定1万人!? 「存在しない子」として育った若者たちの人生を追った『無戸籍の日本人』

『無戸籍の日本人』(集英社)には、20代から40代の今を生きる、“成年無戸籍者”が登場する。例えば、ホストの近藤雅樹さん(27歳)。生まれてすぐに母親が亡くなり、義母に育てられた。16歳から働きに出たが、ある日、義母が火事に巻き込まれて死亡。自分の存在を証明するものが何もなくなってしまった。

また、佐々木百合さん(32歳)は、両親が出産費用を工面できず、病院が出生証明書を預かったまま無戸籍で育った。その後、時がたち、病院は閉院。ある男性との婚姻届を提出したが受理されず、妊娠4カ月を迎えていた。西成のドヤ街で肉体労働をしている白石明さん(40歳)の母親は、売春婦だった。父親は誰かわからない。19歳の誕生日の夜、母親と大ゲンカし、20年以上会っていない。ほかにも、複雑な家族のもとに生まれた性同一性障害を抱える「彼」ヒロミさん(32歳)、DV夫を恐れる母親が出生届を出さず、無戸籍のまま2児の母となった藤田春香さん(31歳)など、誰もがそれぞれに過酷な人生を送っている。

戸籍がないということは、住民票が作れないので、就学通知が届かず、義務教育を受けられない。さらには、家を借りたり、銀行口座を作ることもできないし、携帯電話の契約もできない。健康保険証がないので、医療費はすべて自己負担になる。就職はどう考えても極めて困難で、働くことができる場所は限られている。では、無戸籍者はいったい、どうやって生き抜いているのか? 

 そんな彼らを追ったのは、著者で経済ジャーナリストの井戸まさえ氏。自身の子どもが約1年間、無戸籍となったことがきっかけで、13年間にわたり、無戸籍者への支援を続けている。井戸氏の子どもが無戸籍になった理由は「離婚後300日以内に生まれた子は、前夫の子と推定する」という、約120年前に誕生した法律・民法772条(嫡出の推定)にある。

井戸氏は、長期間におよぶ別居と離婚調停の末、前夫と離婚。その後、まもなく交際相手との間に子どもを授かるが、離婚後265日という、早産だった。離婚後に妊娠しているし、なんの落ち度もない。ところが、300日という日数に阻まれ、父親は前夫としなければ、戸籍を取得することができなかった。再婚相手の男性を父親にするためには、前夫に協力してもらうほかない。それは大変な重荷だった。当時、役所からこの法律を知らされ、驚いた井戸氏が「なぜ離婚しているのに、前夫が父親になるのですか?」と当然の疑問を役所に投げかけると、担当者は「離婚のペナルティです」と言い放った。

 この“ペナルティ”は、本当に必要なのだろうか? 本書によれば、戸籍がない日本人は推定1万人。この法律の裏で、戸籍を手に入れることができないまま、常にどこかうしろめたさを抱えながら生きている犠牲者たちが、これだけ多く存在しているのだ。彼らがいったい何をしたというのだろうか? 「存在しない子」として育ち、大人になった無戸籍者たちは、声を上げることもできず、いまもどこかで身を隠すように生きている。

■戸籍上「存在しない」子供たちの現実

元衆議院議員としてこの問題に取り組み、これまでに1000人以上の無戸籍者を支援、書籍『無戸籍の日本人』に彼らの現状をまとめた井戸まさえ氏に聞いた。

「親の虐待によってそもそも出生届が出されていなかったり、貧困のために出産費用が払えず、病院から出生証明書を受け取っていなかったりと、無戸籍の子供たちが生まれてしまう原因はさまざまですが、なかでも多いのは、夫のDVから逃げ出した女性が、籍を抜けられないままに別の男性の子供を妊娠するケースです。現在の法律では、離婚が成立しないうちに出生届を出すと、血のつながりとは関係なく、夫の戸籍に入れられてしまいます。しかし離婚の協議をしようにも、女性はDV夫に居場所が知られるのを恐れ、行動を起こせない。そのため、無戸籍のまま育てることになってしまうケースがあるのです」

 こうして生まれた無戸籍者たちは現在、推定で1万人以上いると井戸氏は言う。

自宅で学習、友人はゼロ。文字が書けない子供も

無戸籍の子供をめぐる大きな問題は、教育を満足に受けられないことだろう。無戸籍でも小中学校に入学することはできるが、親がその制度を知らず、自宅学習で育てられる子が少なくないのだ。

「そのため友人が一人もできず、コミュニケーション力に乏しいまま成長してしまうのです。これまで支援してきた人の中には、成人でも文字が書けない人もいました」

もし小中学校に通えても、高校にまで進学できる無戸籍者はほとんどいない。そのため若くして働きに出る人が多いが、職探しにも困難が待ち構える。

「公的な証明書がなければアパートも携帯電話も契約できず、銀行口座も開けない。だから、身元の証明を求められない水商売やアルバイト、もしくは日雇い労働者くらいしか、働き口がないのです」

 しかも国民健康保険に加入できないため、病気をしたら医療費はすべて自己負担。予防接種や健康診断などの行政サービスも受けられない。常に不安と隣り合わせのまま生きていくことになるのだ。

さらに、マイナンバー制度の運用が始まることで、水商売やアルバイトでも、雇用先にマイナンバーの登録が求められる。だがそもそも、無戸籍者にマイナンバーは届かない。今後、彼らは限られた働き口さえなくしてしまう可能性があるのだ。「そうなれば、ただでさえ苦しい生活を強いられているのに、無戸籍者はますます困窮する」と井戸氏。

 成人の無戸籍者には子供がいる人もおり、恵まれた環境でなくとも必死に育てている。しかしこのままでは、無戸籍者たちはますます追い込まれ、貧困の連鎖が続いていくことになりかねない。それを防ぐためにも、戸籍制度の根本的な見直しが急務だ。

■約3割が貧困世帯 無戸籍の子142人

文科省は、法務省による調査で明らかになった、離婚後300日問題などを理由に無戸籍となった義務教育段階の子どもたち142人について生活実態を調査し、7月8日にその結果を明らかにした。それによれば、約3割が貧困世帯だった。学力に問題があったり、虐待が疑われたりする子どももいた。

 文科省は同日、無戸籍の子どもがいた場合、就学などの対応を取るよう各都道府県・指定都市教委に通知した。無戸籍の子どもたちの生活状況などを各教委を通じて把握した調査は、今回が初めて。

法務省調査では、今年3月時点で、無戸籍者が567人いることが分かっている。このうち6歳から15歳までの学齢期の子どもたちは142人で、小学生が116人、中学生が26人だった。この中には、未就学者1人と未就学期間があった6人も含まれている。

 未就学期間があった6人のうち半数が学習上の課題があると回答。基本的な生活習慣や体力面、習得するべき知識に問題があることが示された。

 経済状況では、生活保護を受給している要保護児童生徒は17人(12・1%)であった。市区町村が貧困状態であると認めた準要保護児童生徒は32人(22・7%)いた。全国の児童生徒の平均(要保護1・5%、準要保護14・1%)と比べると大幅に高い割合だった。

 また学習や家庭での養育に問題がある児童生徒は23人(16・3%)。具体的には、足し算や引き算ができない、漢字が書けないなど。このほか、虐待や食事を与えないなどのネグレクトも報告された。

子どもが無戸籍になる原因の多くは、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子として推定される」との民法規定だ。このため、出生届を出さない場合があったと思われる。

 戸籍の有無にかかわらず、保護者には子を就学させる義務がある。だが、戸籍がなければ就学できないとの保護者の誤解が、未就学の子どもたちを生んだ。

 文科省の担当者はこの調査結果を受けて「これは氷山の一角だと思っている。関係機関と連携を図りながら、未就学の子どもたちの支援をしていきたい」と語った。

■無戸籍問題で無料電話相談=11日に全国一斉-日弁連

出生届が出されず、戸籍がない無戸籍の人がいる問題で、日弁連は11日、全国一斉の無料電話相談を実施する。電話番号はフリーダイヤル(0120)658790。各地の弁護士会につながり、午前10時から午後8時まで受け付ける。

■配偶者のDVで出生届出せぬ例も

「裁判所の決定には信じられない思いでいっぱいです。私たちの主張をまったく汲み取ってもらえませんでした。このままでは終われません」

 神奈川県在住のアキさん(仮名33才)はそう語る。小柄な体にまっすぐな瞳。真摯で丁寧な口調から、過酷な生い立ちに負けない意志の強さを感じさせる。彼女は生まれてから今年6月までの33年間、戸籍がないまま生きてきた。

 8月7日、藤沢簡易裁判所は、アキさんの出生届を提出しなかった母親に対し、「戸籍法違反」と認定。過料5万円を科す決定を下した。異議申立ては認められず、母親は横浜地裁に即時抗告した。

「血の通った判断ではない」

アキさんのこの言葉には、国と闘う覚悟と司法の無理解への絶望が同時に滲む。アキさんが生まれたのは1982年2月。母親と交際男性の間に生まれた子だった。アキさんの生まれる前、母親は九州地方で前夫と結婚生活を送っていた。しかし、前夫から日常的に激しい暴力を受けるようになり、1980年、逃げるように家を出て神奈川県に移住。アキさんの父親となる男性と同居を始めた。

 アキさんが生まれ、役所に出生届を提出しに行った母親は、窓口でこんな事実を告げられた。

「離婚が成立していないので、生まれた子供は前夫の戸籍に入ることになります」

 背景にあるのは民法772条。

《婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する》

 法律の壁に立ちすくむ母親に、役所はさらに恐ろしい事実をつきつける。

「出生届を提出すると、私の存在と居所が母の前夫に知られることになると言われたそうです。

 酒乱で酒を飲んでは母に暴力をふるい、時には包丁を持って追いかけたり、斧を投げつけることもあったと聞きました。母が家を飛び出した時も、あらゆる所に電話をかけ、しつこく探したといいます。そのため母は息を潜めて暮らしてきました。

 もし居場所が見つかってしまったら自分だけでなく娘の私まで命の危険にさらされる。やっとの思いで手に入れた平穏が、私の出生届によって壊れてしまう可能性があったんです」(アキさん)


 前夫に知られず出生届を出す方法はないか。アキさんの両親は家庭裁判所に足を運んで相談したが、「前夫への連絡は避けられない」と突き放された。母親は出生届の提出を断念せざるを得なかった。こうしてアキさんは無戸籍になった。

全国に1万人以上の無戸籍者

法務省の調べでは、現在、無戸籍の人は全国に少なくとも665人いる。アキさんの代理人を務める南裕史弁護士によれば、この数字は氷山の一角だという。

「665人というのは、あくまで行政に相談に来た件数です。アキさんの母親のように、夫のDVのために隠れて暮らすしかない人々は、相談にも行けない。そうしたケースは人数にカウントされません」(南弁護士)

 支援団体「民法772条による無戸籍児家族の会」(井戸正枝代表)によれば、全国に1万人以上の無戸籍者がいると推定している。過去にNHKが全国の県庁所在地など主要自治体118か所から回答を得たアンケートでは、9割を超える自治体に無戸籍者が存在した。法務省で確認された665人のうちおよそ7%は、アキさんの母親と同じように、配偶者のDVにより出生届が出せなかったケースだという。

2014年度のDV認知件数は過去最高の5万9072件(警察庁調べ)。配偶者の暴力等を原因とする離婚は増加の一途を辿っており、それに伴い、社会の目が届かない無戸籍の子供も増えていることが懸念されている。

 昨年、義務教育年齢にもかかわらず学校に通っていない居所不明児童、いわゆる「消えた子供」が全国で3000人に上ることが発覚し、社会問題となった。だが、無戸籍者は消えたのではなく、“最初からいない”ところに問題の根深さがある。南弁護士が語る。

「彼らは一切の身分証明がないんです。自動車の運転免許も取れないし、銀行口座を作ることも、携帯電話の契約をすることもできません。パスポートも作れず、選挙権もない」

アパートやマンションの賃貸契約は結べず、前述のように、健康保険に加入しないと病気になったら高額の医療費を全額自己負担しなければならない。今話題のマイナンバーも無戸籍者には届かない。

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