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反転授業について

オフィス・宮島です。弊社が作成した100本目のまとめになります。現在都道府県や学校間での教育格差が大きな問題となっています。そこで、近年注目されているのが「反転授業」というものです。この長所・短所、課題についてまとめてみました。

更新日: 2015年11月28日

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反転授業とは?

「反転授業」…聞きなれない言葉だと思います。しかし、これが「次世代の教育」として非常に多くの先生・教育家の間で注目を集めています。また、実際にいくつかの教育現場では実際に導入され成果も上がっています。

ものすごーく簡単に言うと、「学校で行う授業をビデオや動画を通じて家で先に受け、学校に行って家で勉強したことを生かした応用課題を用いて見識を深める」というものです。

これはアメリカで生まれ、大学をはじめ小中学校の初等・中等教育機関で導入されています。

反転授業はスマホやタブレット、パソコンを使って先生の授業を、学校に行くまでに見て予習します。

学校に着いたら、予習で学んだことをベースにした応用問題を解く「演習」を行います。
問題演習だけでなく、それを生かして実際に問題を解決する「アクティブラーニング」を行い、見識や問題解決能力等を高めてゆきます。

我々は「授業」という言葉を聞くと②を行って①を行う…ことを想像すると思います。今回提唱された「授業」は②と①の順序が反対になっています。だから「反転授業」というのです。

反転授業のスケジュール

反転授業のこのようになっています。「普通の授業」と比較してみましょう。

左が「普通の授業」、右が反転授業のスケジュールです。反転授業は宿題の確認と新しい分野の説明に割く時間をすべて演習時間に振ることができます。これは事前に家で動画を見て行っているからです。

ここで1つこのような疑問が生まれると思います。
「家での予習を忘れた時、どこでフォローするの?」と。

これは、筆者が加入しているインターネットサークル「反転授業の研究」というところで、質問したところ、実際に反転授業を導入している中学校の先生が、「授業開始5分でクラスメート全員で教え合う」ことで、予習できなかった生徒のフォローを行っているとのことです。

反転授業はここで生まれた

反転授業は、2000年代のアメリカで生まれました。大学の教員であるベーカー氏はインターネット上に学生同士が討論・質問できる掲示板や講義開始前の確認テストをすべてオンラインで行いました。これを終えたのち、講義中で学んだ知識を実地で応用し見識を深めてゆく「アクティブラーニング」を実施しました。

ベーカー氏はこれを「Classroom Flip」(反転教室)と名付けました。これが反転授業が産声を上げた瞬間です。

これに触発されて、2007年にジョナサン・バーグマン氏とアーロン・サムズ氏は、彼ら自身で自分の講義を録画し、それを授業を受ける前の生徒たちに見せました。さらに、生徒一人一人の進捗度をコンピュータで管理し、授業中に行われた到達度テストの結果を踏まえて一人一人に合った授業を行うシステムを作り上げました。

彼らはこれを「Flipped Classroom」(反転授業)と名付けました。彼らの実践がマスコミに大きく取り上げられたため、このような形態を持つ授業形式をすべて「反転授業」と呼ぶようになりました。

サルマン・カーン氏の登場

1976年10月11日ルイジアナ州生まれ。
「ネットを通して高水準の教育を、誰にでも無償で、どこでも受けられるようにする」という理念で生まれたカーンアカデミーの創始者。

YouTubeにアップされた「the Khan Academy channel(カーンアカデミーチャンネル)」のチャンネル登録者は220万人に達する。

2012年の雑誌TIMEで、「もっと影響力のある100人(100 most influential people)」の1人に選ばれる。

カーンアカデミーの創始者であるサルマン・カーン氏は、証券マンだったころ、自分のいとこの家庭教師をしていました。「勉強の足しになればよい」と思い、動画をYouTubeにアップしていました。そのとき、彼のいとこは「直接習うよりYouTubeにアップされた動画のほうがいい」と答えました。(本人は苦笑いしていましたが)

それを聞いたカーン氏は「ずっと昔に習ったことを貴重なカーン氏の時間を割いてまですまなさそうに聞くより、自分のペースで動画を何度も何度も見て復習する方が非常に能率的ではないか」と考えました。

これをきっかけに本格的にYouTubeにカーン氏本人の授業をアップし、世界中の人々から多くの感謝のコメントをもらいました。それがカーンアカデミーを立ち上げるきっかけになったようです。詳しくは彼のTED※動画を見てください。

※Technology Entertainment Design:「テド」と呼ぶ。様々な分野の人が約20分のプレゼンテーションを行い、その様子をインターネットを通じて世界中に配信するサービスのこと。

高等教育での反転授業

先ほども書きましたが、反転授業が最初に導入されたのは大学などの高等教育機関です。スタンフォード大学医学部では、2012年度より一部を除き知識習得部分(座学)をすべてオンライン授業に切り替え、対面授業は臨床事例や生理学的知識の応用など実技を伴う授業のみに変更しました。

これと同時期にオンラインで大学並みの授業を無償で提供するMOOC(Massive Open Online Coursesの頭文字をとったもので、「ムーク」と呼ぶ)が活動を開始しました。

サンノゼ州立大学は、2012年よりマサチューセッツ工科大学(MIT)のコースを利用した反転授業を実験的に行い始めました。

日本では、2013年(平成25年)2月より東京大学で、それに続く形で慶應義塾大学ビジネススクールで試験的に始まりました。

出典wark.jp

慶應義塾大学ビジネススクールでの反転授業の風景です。

初等・中等教育での反転授業

あとで書きますが、反転授業により一定の成果が認められたため、小学校・中学校・高校といった初等中等教育機関での導入も行われています。

2013年に、宮城県富谷町立東向陽台小学校の佐藤靖泰先生のクラスで反転授業が導入されました。
その様子を動画で見ることができます。

日本で初めて初等教育に反転授業をを取り入れ、それを行った様子です。

これに続き、日本全国の小中高校で反転授業を導入し、暗中模索しながら最善の方法を見つけるため日々奮闘なさっています。

公的な教育機関のみならず、小中高生を対象にした学習塾でも反転授業を導入するところが増えてきています。そのようなサークルがインターネット上に作られ、全国からそれに興味を持つ先生や教育関係者たちが熱い議論を交わしています。

反転授業への関心は高いが導入には抵抗が大きい

e-ラーニング研究所が高校・大学の教員を対象にアンケートを行った結果、アンケートに回答した半数の教員が反転授業に強い関心を持っていました。

教員たちは、反転授業が「アクティブラーニングにつながる」「学生が受け身を脱して主体的になる」ものと考えており、学習者の自主性・思考能力・ディベート能力の向上が反転授業を通じて養うことができるのではないかと考えています。

また、グループディスカッションを行いたいが、学生の予習が足りないためディスカッションに
ならないことに不満を感じていたから導入したいという意見もありました。

                      ◇

しかし「反転授業を導入している」と答えた教員は解答者のわずか2%にしかすぎませんでした。

その理由として最も多かったのが「授業ビデオを作成する教員の負担が大きい」ことでした。
部活の顧問、テストの採点、授業・学校行事の準備、生徒指導など取り付く島もないほど忙しいにもかかわらず、これを導入するとさらに負担が増えてしまう…これが教員たちに反転授業を導入させることを躊躇わせる主因となっています。

次に多かったのが、「生徒が事前に勉強してこないから効果が期待できない」ことでした。反転授業は「自分のペース」で学習できるので、いくらでも怠けることができるのです。自分を厳しく律することができなければ自堕落になり、導入前よりひどくなってしまう危険性もはらんでいます。

また、「自宅学習をどのように定着させるのか」「家庭教育力は壊滅的なので家庭学習は期待できない」「自宅学習が自分でできるようになれば、学校の授業だけで十分」という点も懸念材料として挙げています。

3番目は、「教員が新しい指導法を勉強しなければならない」「授業運営など学校上のシステムの問題」といったハウツウやシステムの不備を指摘する声でした。
今までの授業方法と大きく変わるので、現場の教員が大混乱することを懸念しています。また、「保護者の理解が得られない」という声もありました。これは保護者の方々も反転授業をまったく知らないため、これを行うと「あの先生は無責任」というクレームがつけられる可能性があります。そこを懸念しているのだと思います。

反転授業の導入意欲についてまとめたものです。反転授業を導入したいと考えている教員は多いものの、2015年では2014年より「導入したい」と考えている教員は3割近く減少しています。
「導入したくない」と考えている教員は6割近く増加しています。

実際に反転授業を行っている教員の割合は、全体のわずか2%にしかすぎません。

昔行っていたが今は行っていないと答えた教員の割合が2015年は2014年の半分以下にとどまっています。これは、反転授業を導入したことにより、どこがダメでどこがよかったのかということが分かり、次に生かすことができるようになったからだと思います。

反転授業を行っていない教員の割合は全体の9割に達し、年を追うごとに増えています。これは反転授業に関心をもって自分で調べた結果、利点より欠点が多いのではないかと考えたからだと考えられます。

アクティブラーニングとは?

反転授業とセットで出てくるものとして、「アクティブラーニング」というものがあります。これはいったい何なのかというと…

産業能率大学教授である小林昭文氏の言葉を借りると、「一方的な知識伝達型講義を聴くという、学習を乗り越えるあらゆる能動的な学問」とのことです。

何を言っているかさっぱりわからないと思いますので、簡単にまとめると…
「100パーセント一方向(先生から生徒への知識の伝達だけ)でない授業形式」ということです。

たとえば、「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)とは何か」というテーマで授業したとしましょう。ここで、先生がパワポや電子黒板を使って生徒に「TPPとは…こういうものだ」と90分なら90分延々と一方的に話し続けると、「知識伝達型講義」となります。

そうではなく、「TPPとは何か」という大きなテーマを掲げて先生だけが一方的に話すのではなく、講義を聞いている生徒からも積極的に発言してあーでもないこーでもないと相手と議論を交わしながら、一定の結論を見つける、というのが「アクティブラーニング」となります。

社会とか数学だと分かりにくいと思いますが、技術家庭科の授業だとすごくわかりやすいと思います。実例を挙げるとこんな感じでしょうか。

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オフィス・宮島です。
個人事業主なので、社員は1人もおりません。手探り状態で進めているので経営に関してはよくわかっていません。
経営に関するアドバイスなどいろいろいただけるとありがたいです。

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