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親子共倒れなど負の連鎖もある「下流老人」 その特徴とは?ならないためには?

生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者のことを指す下流老人。しかし早くもそんな未来が確定しつつある30~50代も増えているという。収入が著しく少ない、十分な貯蓄がない、頼れる人間がいないという共通点があると下流老人予備軍ということです。

更新日: 2016年07月10日

egawomsieteさん

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■老後破産したらためらうことなく生活保護を受けるべき

NHKスペシャル『“介護殺人”当事者たちの告白』は衝撃的な内容だった。介護のために精神的・経済的に追い詰められ、長年連れ添った妻や夫を、あるいは親を手にかけてしまう。事件の加害者たちを追い詰めた生活環境と精神状態は、「自分には起こり得ない」と決めつけることはできない。「老後破産」と「介護殺人」は紙一重なのだ。淑徳大学総合福祉学部教授・結城康博氏が警鐘を鳴らす。

「高齢者が増える中、高齢者間の貧富の差が激しくなっている。いま、年金受給者の4割が年155万円以下の低所得者ですが、これでは生活は相当苦しい。実は貧しいことと人間関係の孤立化は深く関係していて、ある程度お金のある人は人間関係を保つことができる。友人と喫茶店でお茶を飲むのにもお金が必要ですから」

 そのわずかな年金で無職や非正規雇用の子供の生活まで面倒を見なければならないとしたら、ますます老後破産は避けられない。

「老後破産に陥ってしまったら、ためらうことなく生活保護を受けることです。生活保護を受給できれば介護保険料もタダになり、自己負担はゼロですから」(結城氏)

 年金生活の親と非正規雇用の子供が同居している場合、世帯分離という方法で生活保護を分けてもらうこともできる。まずは相談窓口に連絡することだ。

だが、昨年11月21日、埼玉県深谷市を流れる利根川で、両親の面倒を見ていた三女(47)が一家心中を図った“利根川心中”事件では、生活保護受給が「将来への悲観」につながり、介護殺人に至る要因のひとつになってしまった。日本福祉大学の湯原悦子・准教授(司法福祉論)は社会のサポート体制が必要だと訴える。

「心中事件の場合、介護者がうつであることが多い。周囲が早めに気づいてサポートするだけで介護殺人はかなり減少すると思います」

 将来、自分が介護殺人を招かないためにも、いまから老後破産を回避するべく、老後に備えることが必須である。

■7割の高齢者世帯が「老後破産リスク」の衝撃データ

最近、「下流老人」という言葉がすっかり定着し、社会問題となりつつあります。一般的には預貯金などの金融資産500万円未満の高齢者世帯が下流とされていますが、いったいどれほどいるのか。データを見てみましょう。

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世帯調査〕(2015年)」によると、60代以上で金融資産500万円未満の世帯は実に4割を超え、半数近くが下流老人であることが見て取れます。

 そうしたなか、「金融資産がなくても年金でなんとか暮らしていける」などと思うのは早計です。

私はいまから10年前に著書『サラリーマンは2度破産する』(朝日新書)で老後破産に警鐘を鳴らしました。その時はかなり厳しい見方をしたつもりですが、いまや当時の予測よりもはるかに悪化しているのが現実なのです。

 この10年で「下流老人」への転落リスクは着実に高まりました。年金収入があっても月5.6万円の赤字ということは年間で67.2万円。もし90歳まで生きるならば、65歳からの25年間で累計赤字額は1680万円になる計算です。これが10年前なら同じ25年間で780万円の赤字となり、退職金や貯蓄でどうにか賄える水準でした。

 しかし、前述の金融広報中央委員会の調査では、60歳以上の高齢者世帯で老後破産を防ぐために望ましい金融資産(1500万円以上)を保有しているのは約30%にすぎないのが現状です。しかも、その中央値は60代で770万円、70代以上で590万円と明らかに貯蓄不足の世帯が多く、貯蓄なし世帯も約30%にも上ります。

私はいまから10年前に著書『サラリーマンは2度破産する』(朝日新書)で老後破産に警鐘を鳴らしました。その時はかなり厳しい見方をしたつもりですが、いまや当時の予測よりもはるかに悪化しているのが現実なのです。

 この10年で「下流老人」への転落リスクは着実に高まりました。年金収入があっても月5.6万円の赤字ということは年間で67.2万円。もし90歳まで生きるならば、65歳からの25年間で累計赤字額は1680万円になる計算です。これが10年前なら同じ25年間で780万円の赤字となり、退職金や貯蓄でどうにか賄える水準でした。

 しかし、前述の金融広報中央委員会の調査では、60歳以上の高齢者世帯で老後破産を防ぐために望ましい金融資産(1500万円以上)を保有しているのは約30%にすぎないのが現状です。しかも、その中央値は60代で770万円、70代以上で590万円と明らかに貯蓄不足の世帯が多く、貯蓄なし世帯も約30%にも上ります。

つまり90歳まで生きるなら、半数どころか、それを上回る7割もの高齢者が老後破産リスクを抱えているわけです。

 しかもこの先、さらに問題は深刻となるでしょう。現役世代の中高年の収入は減少しているのに年金保険料はアップ。負担が増えているにもかかわらず、年金の支給開始年齢も引き上げられることが確実視され、将来もらえるはずの年金が目減りすることは必至の情勢です。

 親世代に持ち家などの資産があれば、それを売ってどうにかしのげるかもしれませんが、その後は何も残りません。自分たちの子ども、さらにその下の世代まで考えていくと、老後破産リスクは今後ますます高まっていくことが予想されます。

 もはや「下流老人」は他人事ではありません。傍目には普通に暮らしているようでも、実は下流に転落して破産してしまうリスクを7割の世帯が抱えているのです。

■生活保護の高齢世帯5割、50年で6倍に…3月

厚生労働省は1日、今年3月時点で生活保護を受けた世帯数は、前月より2447世帯多い163万5393世帯(速報値)で、過去最多だったと発表した。

保護停止中を除く162万6919世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯は、82万6656世帯(前月比1万8357世帯増)となり、全体の50・8%を占めた。高齢者世帯が半数を超えたのは統計を取り始めた1965年以来、初めて。社会全体の高齢者世帯の割合は3割に満たず、高齢者の貧困が進んでいることが浮き彫りとなった。

 厚労省の調査によると、生活保護を受給している高齢者世帯数は65年時点で全体の23%に当たる約14万世帯だったが、社会の高齢化と核家族化に伴い、50年間で約6倍に。この間、約60万世帯から約162万世帯に増えた受給世帯全体の増加率2・7倍を上回った。

■下流老人になってしまった元大手ゼネコン社員「あとは孤独死を待つだけ」  ~大阪・西成区在住の山田さん(仮名・69歳)~

「西成では生活保護受給者のことを、安定しているという意味をこめて“公務員”と呼ぶんです」

 現在の月収は生活保護費の12万7000円。転機は40代前半。離婚、リストラが重なりそのストレスでギャンブル・風俗漬けに。今もその癖が抜けず、食費を一日1000円までに抑えているが、貯金は5万円を切った。

「もともと大手ゼネコンで経理・営業畑。退職金は当時500万円以上出たよ。妻と子供と別れた後は、日払いの作業員をしては酒・風俗と散財する日々。自炊や節約の概念は一切なかった。仕事はあったし、毎日1万円以上は使っていたね」

 山田さんは40代の頃を振り返り、「変なプライドを持たずに、誰か一人でも頼ることができていれば変わっていた」という。

 飲み屋で知り合った年下の女性に熱を上げ、毎週の競馬と借金を重ねたが、誰も止めてくれる人はいなかった。トラブルも、「極力、自力で何とかしたいという性格が仇となった」と嘆く。

 今の“安定”した生活費に不満はないというが、最後に「あとは孤独死を待つだけですよ」と漏らした。

■普段の生活に現れる「下流老人になる人」の意外な共通点

・困っても人の助けは借りずになるべく自力で何とかしたい 70.5%
・健康診断は年に一度くらいだ 65.5%
・電化製品はスペックがなるべく良いものを選ぶ 64.5%
・妻が専業主婦でもいい 50.5%
・100円ショップが好き 49%
・40代まで割と波風立てずにやってきた 43%
・自炊が苦手 42%
・ジャンクフードや脂っこいものが好き 42%
・生活費の3か月分の預金を常に確保できていない 40.5%
・同年代よりもかなり年下の女性が好き 33%

・たまには自分へのご褒美はありだ 30%
・景気が良くなれば給料も上がると思う 27%
・マネープランは投資がメインである 24.5%
・月収の3割以上の借金がある 23%
・SNSを多用する 12.5%

リスクが押し寄せる40代。順風満帆だった人ほど危険?

消費者生活専門相談員の資格も持つファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏が挙げた15の特徴のなかで一番マズいのは「40代まで波風立てずにやってきた」人(43%)と話す。

「40代は子育てや住宅購入など支出が重なり始める時期で、ここで初めて人生に行き詰まる人が多い。選択を間違えると、下流老人まっしぐらです」

 黒田氏によると、下流老人に直結する家計の3大共通点は「生活費の3か月分の預金を常に確保できていない」(40.5%)、「月収の3割以上の借金がある」(23%)人と「病気リスクが高い」人だという。病気になると、治療費で老後の資金が一気に削られる。

「40代は高血圧・糖尿病など生活習慣病が急増します。脂っこいものやジャンクフードが好きな人(42%)は要注意ですね」

年に一度健康診断を受ける程度ではガンや重病の早期発見に繋がりにくい一方、「健康診断は年に一度くらいだ」も65.5%と多数である。

自分が倒れたときだけでなく、親の介護のリスクもあるため、親族と良好な関係を築けていないのも下流老人化しやすい。

「家族はリスクでもあるが、将来の財布の数でもあるのです」

 そうした意味では、独身よりも妻子持ちのほうが安心だが、結婚相手が落とし穴になることも。

「妻や妻にしたい人が一回り以上年下だと問題があるかもしれません。そうした女性は男性に養ってもらう願望が強い。最初はうまくいっても、50代になると収入は減り、子育てなどの資金もかさみ、離婚され慰謝料をもぎ取られた結果、下流老人になる例も多い」

同じく、「妻が専業主婦でもいい」(50.5%)が、必要に応じて働いてくれない場合は危険。また、妻に家事を丸投げした結果、「自炊が苦手」(42%)であるのも下流に直結する。

「妻と離婚か死別した場合、自炊ができない男性は食費がかさむため、一気に貧困生活に陥ります」

 70.5%と大半が該当した「困っても人の助けは借りずになるべく自力で何とかしたい」という傾向も、行政や知人の支援を受ける機会を逃す要因になり、下流化を加速させる。「100円ショップが好き」(49%)も意外であるが……。

「100円ショップでは安いからといって必要のないものまで買ってしまいますが、収入が減ってもそういう癖は変えられません」

 40代の些細な性質と事柄が、下流化に繋がっていくのだ。

■バブル崩壊で奨学金の負担が重くのしかかり……~ 肝付さん(仮名・73歳)~

妻とアルバイトの次男とアパートで3人暮らし。自身の年金と、次男の収入で何とか暮らしているが、生活は苦しい状態だ。30年前までは建設業を営んでいた。

「上の子のときまでは良かった。大学さえ出ていれば学生はいくらでも働き口があった」

 長男の大学卒業時の’90年はバブル末期ではあったが各企業による学生の青田買いがまだ盛んで、長男はすんなりと高給の職に就けた。

 そして間もなくバブルが崩壊し、歯車が狂い始めた。次男は私立高校に受かったが、事業に陰りが見えてきたため1年目にしてすでに学費を払うのが厳しくなった。

だが不景気でも長男のように大学を出れば後は何とかなると、大学入学時には奨学金を借りた。しかし次男は就職氷河期のあおりを受け現在も、派遣やアルバイトを転々としている。無職になる時期もあり自力で奨学金を返すことは困難で、連帯保証人になっていたため、家を手放し返済に充てた。

「時の運がなかった。でも奨学金に充てるくらいの貯金はしておくべきだったのかもしれない。息子がかわいそうだから、介護にだけはならないようにしたいね」

■「下流老人」になりやすい人の特徴…飲み友達が少ない、挨拶はあまりしないetc.

「40代で社会的に孤立していて、性格的には無気力、すぐに自暴自棄になる人。そして自分のアイデンティティをろくでもないところに定め、安心しているような人が下流老人になる人の典型です」

 貧しくても豊かな人間関係があれば、ある程度幸せに暮らせるが、下流老人にはそれがない。「親しい友人または飲み友達は少ない」(66%)、「冠婚葬祭は面倒なのでなるべく避ける」(41.5%)人は下流老人予備軍だ。

「その後の持ちつ持たれつの関係を考えると、長い目で見ればご祝儀代ぐらい回収できるんですよ。不義理をする人間は、いざとなっても誰も助けてくれません」

 頼れる友人がいないため「ヤフー知恵袋にガチの相談を書き込む」が4%と少数だったのがまだ救いか。中でも春日氏が特に問題視するのは、「挨拶はあまりしない」(39.5%)。かなり多いが……。

「挨拶をすればとりあえず敵をつくることはないのに、そういう損得勘定もできないから下流になる」

無気力といえば、何を飲みたいか考えるのが面倒で「居酒屋では『とりあえずビール』」(65%)、「布団はめったに干さない」(46.5%)、「意味はわからないがとりあえず横文字、流行語を使うことがある」(3.5%)など何げない言動がその表れ。「鍋からラーメンを直接食べる、キッチンで立ち食いする」(13%)も地味に危ない。些細な「面倒」という気持ちが、下流老人の素質を育んでいるのだ。

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