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難民問題・民族紛争を考える上で観ておきたい。クルド人監督『バフマン・ゴバディ』とその作品について

難民問題・民族紛争を考える上で観ておきたい。亡命を余儀なくされたクルド人監督バフマン・ゴバディとその作品についての紹介です。

更新日: 2015年12月10日

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バフマン・ゴバディ監督

1969年2月1日、イラクの国境に近い、イランのコルデスターン州バーネに生まれる。 7人兄弟の長男で、12歳までバーネで育ったが、内戦により州都サナンダジへ移住。高校卒業後、1992年、テヘランで写真業界でアーティストとしてのキャリアをスタート。イラン放送大学へ入学するも中退。映画の制作技術を身につけるには、正式なカリキュラムに沿うよりも、粘り強く短編映画を作り続けることだと考え、8ミリフィルムで短篇ドキュメンタリー映画のシリーズを撮りはじめた。短編『Life in a Fog』(99)で評価され、その後、イラン史上初のクルド長編映画『酔っぱらった馬の時間』(00)を製作。

「今、インディペンデント映画の終焉が近づいている。あなたが映画を愛しているなら、私の映画だけでなく、芸術性の高いインディペンデント映画を守ってください。あなたのサポートを必要としています」と、監督たちがどんなに素晴らしい作品を作っても、世界中で上映できる機会が減っている現状を説明。

2009年、テヘランにおけるアンダーグラウンドのインディーミュージックシーンについてのセミドキュメンタリー映画『ペルシャ猫を誰も知らない』(09)をゲリラ撮影で作り上げる。そのためイランを去らなければならなくなり、現在もなお国外亡命を続けている。

作品紹介

国家を持たない“世界最大の少数民族”クルド人にスポットを当てた作品。イラン=イラクの国境地帯に住むクルド人の村。この村は密輸業で生計を立てている。地雷で父親が死んでしまい残された12歳の少年アヨブは家族を支えるため、難病に冒されたマディの手術代を稼ぐため危険な密輸のキャラバンに加わる。このキャラバンは、あまりの寒さに凍える馬(ラバ)に酒を飲ませて酔わせることで密輸品の大きく重いタイヤを担がせ山越えをする過酷なもの。その道中には無数の地雷と武装した国境警備隊が待ち受けている。

イランのクルド人監督、バフマン・ゴバディが初めて故郷クルドを離れ、大都市テヘランを舞台に描く青春音楽映画。ポップ音楽の規制の厳しいイランで、さまざまな苦労をしながら音楽活動に情熱を傾ける若者たちの日常をゲリラ撮影で切り取る。主演の二人をはじめ、出演者には実在のミュージシャンたちが名を連ねている。ロックやフォーク、ヘビーメタルにラップなどの素晴らしい才能が眠るイランの多様な音楽シーンに驚嘆する。

政治犯として収監された実在のクルド人詩人サデッグ・キャマンガールの体験をもとに描かれた作品。イスラム革命時、ある男の企みによって不当に逮捕された詩人サヘル。30 年後に釈放され、生き別れとなった最愛の妻ミナの行方を捜し始めるが、政府の嘘によって彼はすでに「死んだ」ことにされていた。一方、夫の死を信じ込まされ、悲嘆にくれるミナにはある男の影がまとわりつく。その人物こそがサヘルを監獄送りにし、ミナとの間を引き裂いた男アクバルだった。

国家を持たず故郷を追われた人々、 スンニ派イスラム国と対立を強めるクルド人たちの現状を知ることは、今ヨーロッパで溢れている難民問題を考える上で知っておかなければいけない、対岸の問題として無視はできない問題と言える。

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