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なぜ「一人あたりGDP」世界1位がルクセンブルクなのか?

ヨーロッパの小国にすぎないルクセンブルクがなぜ「一人あたりGDP」世界1位になれたのか、その理由のまとめです。大きなカギを握っていたのは...ある産業でした。

更新日: 2019年12月14日

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moshi88さん

ヨーロッパの小国・ルクセンブルクがなぜ「一人あたりGDP」世界1位になれたのか

一人当たりGDPランキングの世界1位はルクセンブルクという小さい国です。

IMFの統計(記事末のリンク先参照)によると、2010年のルクセンブルクのGDPは524億ドル。
これは日本の青森県とほぼ同じ経済規模で国として大きいとは言えません。

ところが1992年以降、2015年現在にいたるまで、一人当たりのGDPにおいてルクセンブルクは世界首位の座を維持し続けています。

一体この小国がなぜ世界1位になれたのでしょうか。

このまとめではその疑問についての解答をまとめてみました。

まず、一人当たりGDPとは何なのか、
次に、ルクセンブルクとはどのような国なのか、
最後に、そのルクセンブルクがなぜ一人当たりGDP世界一なのか、
といった順番でまとめていきます。

▼まず「一人当たりGDP」とは?

「一人当たりGDP」とはGDPの総額をその国の人口で割った数です。

一般にGDPが大きいほど、経済的に豊かであるとされ、
一人当たりGDPが1万ドルを超えるとおおむね先進国といわれるようです。

1位 アメリカ、2位 中国、3位 日本という順位ですよね。

でもこのGDPはあくまで国単位の値なので、
世界ランキングの高い国の国民が皆裕福かといえばそうとはいえないのが現状です。

国民の裕福度を図るには、国のGDPを人口で割った一人あたりのGDPの値の方が近いといわれています。

というのも、GDPは国民の数が多い国と少ない国とを比べれば自ずと格差がでやすい傾向があるからです。

一人当たりのGDPが大きいほど「たくさん稼いで、たくさんお金を使う」国といえます。

それは単純に経済が活発に循環しているためです。

その国の豊かさを考える上では国民一人当たりGDPは重要といわれています。
国民の生活水準などを示す指標となっています。



(※「定期預金の金利の比較 脱・低金利預金!次は外貨or他の金融商品?」の「一人当たりGDPとは? 」より引用、一部挿入)

ちなみに日本の一人当たりGDPは、2015年現在で3万6230ドル。
一人当たりGDPはOECD加盟国34か国で20位です。

円安も影響した形ですが、残念ながら1970年以降最も低い順位になってしまいました。

(2015年12月26日のNHKニュースより)

▼次に、ルクセンブルクってどんな国?

一人あたりGDPについてなんとなくわかったところで、ルクセンブルクがどんな国かについて見ていきます。

まず場所についてです。
どこに位置しているのか...
あまり日本人にとって親しみのある国とは言えないので、なかなかイメージが湧きません。

ルクセンブルクはこの地図の赤いところにあります。
小さくて見にくいですね…。

拡大するとここです。
ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれている小さな内陸国です。

面積は神奈川県と同じくらいで、人口は50万人弱(神奈川は約870万人)しかいません。
50万人というと千葉県松戸市くらいの人口。

規模で言うと「国」というよりも「市」のようなイメージの方が近いかもしれません。

ルクセンブルクに住む人間の45%超が外国人です。
(ちなみに外国人参政権は認められていません。)
外国人のうち8~9割はEU出身者で、中でも多いのは
ポルトガル人、フランス人、イタリア人、ベルギー人、ドイツ人など。

出典ルクセンブルク生活便利帖 Life in Luxembourg

ルクセンブルクは伝統的に諸外国から多くの移民を受け入れています。近隣諸国の同言語圏からの移民が多いとのことで、その点ではアメリカのような多言語の移民国家とは事情が異なります。
ルクセンブルクにおける外国出身者の失業率は他の欧州各国と比較して低く、外国人に対する差別意識もさほど強くありません。寛容な移民政策を採用しています。

典型的な福祉国家ではないのにも関わらず、概して失業率が良好に推移しており、国内の所得格差が北欧諸国並みに小さいという特筆すべき特徴

出典wikipedia/ルクセンブルク

ルクセンブルクの国旗はオランダとそっくりです。

周辺にあるオランダ、ベルギーの2国とルクセンブルクを合わせて「ベネルクス三国」と呼ぶことからもわかるように、
オランダとは歴史的にも深いつながりがあり、そのことも関係しているようです。

こちらがオランダの国旗との比較。
色の濃淡と大きさ(縦横比含む)で見分けます。

左:ルクセンブルク
右:オランダ

ルクセンブルクは現在世界で唯一の大公国です。
大公国とは辞書によれば「大公あるいは女大公が支配する領土」のこと。

画像の左にいるのがパルム=リュクサンブール家(王族のようなイメージ)の現当主、アンリ大公です。

言語はフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語の3つが公用語とされています。

また、宗教はローマ・カトリックが87%、プロテスタント、ユダヤ教、イスラム教などが13%となっています。
いわゆる「キリスト教国」に分類されているようです。

公用語はフランス語・ドイツ語・ルクセンブルク語の3つ、とされていますが
公的書類となると全てフランス語になります。

出典ルクセンブルク生活便利帖 Life in Luxembourg

ルクセンブルク語はというと、
メインユースは身内同士での会話みたいです。
管理人も実際に使ったことのあるルクセンブルク語は
「Moien(=Hello)」くらいですかね…

出典ルクセンブルク生活便利帖 Life in Luxembourg

ルクセンブルクの食は、周辺のフランスや、オランダ、ベルギー、ドイツなどの影響を受けて独自に発展してきました。
画像は「ジュット・マット・ガーデボーネン」という国民食です。ソラマメ、じゃがいも、スモークハムの煮込み物。

パン、ハム、チーズ、白ワインがルクセンブルクの名物のようです。

あまり知られていないが、ルクセンブルクは隣国のフランスやベルギーにも負けぬグルメ大国だ。
高級なレストランからカジュアルな店まで食事の場所には事欠かない。
レストランはもちろん、ブラッスリーやカフェでも一日中食事が取れる。

出典エイビーロード ルクセンブルクグルメガイド

ルクセンブルク市にはミシュランの星付きレストランが数多く存在し、国民ひとりあたりの星の数は世界第一位を誇ります。
週末には食事のために国境を越えて訪れる美食家も少なくありません。
ヨーロッパ中の食通たちによる美食談義で街がにぎわうのも、ルクセンブルク市ならではの光景です。

出典ナミュール アルチザン・コンフィジュール

白ワインの伝統的な産出地であり、隣国ベルギー同様にチョコレート菓子が有名。

出典wikipedia/ルクセンブルク

ルクセンブルクには古代ローマ時代からワインの生産が盛んな地域(モーゼル川流域)があります。
良質な辛口の白ワインを産出することで知られていますが、ドイツやフランスなどのワイン生産地とは異なり、生産量が小規模なため、輸出されることは少なく希少性が高いとのことです。
チョコレートは、王家御用達の「オーバーワイス」が代表的なブランド。

と、ルクセンブルクの観光紹介のようなまとめになってしまっていますが、
ルクセンブルクが大体どんな国かわかったところで元の話に戻し、一人当たりGDPについてです。

▼ルクセンブルクの一人当たりGDPはなぜ高いのか

一人当たりGDPの推移(1980~2015)のグラフ

※経済・統計情報サイト「世界経済のネタ帳」さんから出力

ルクセンブルクの産業構造に秘密がある

かつてルクセンブルクは貧しい農業国にすぎませんでした。

ですが戦後に、グッドイヤー、デュポン、モンサントなど国際的な大企業を誘致することに成功します。

それをきっかけに一部の国内企業も成長していくことになりました。

現在、国内産業は、大別して重工業と金融の二分野における割合が大きい。

出典wikipedia/ルクセンブルク

1960年代から鉄鋼業がルクセンブルクの国内経済を牽引し、経済大国の基礎を築きました。
その中心であった企業が「アルセロール」です。

アルセロールは、鉄鋼業において世界首位の売り上げを誇る巨大企業に成長することになります。

2006年、インドの「ミタルスチール」にアルセロールは買収されてしまいましたが、とはいえ、合併後の「アルセロール・ミタル」も依然として同国に本社機能を置いている大企業でありつづけています。

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