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北総線が高い理由は?【設立の経緯から】

北総線は首都圏の他路線と比べるととても高い運賃の路線です。その高さから、一部の市民団体などは運賃を巡っては裁判を起こしたり、対抗バスの「生活バス ちばにう」を運行することなどをしてきました。ではそもそもどうして北総線の運賃が高くなってしまったのでしょう?

更新日: 2017年09月09日

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この記事は私がまとめました

あめぴよさん

北総線が開通するまで

北総鉄道は京成電鉄と県が出資してできた第三セクターですが、かなり複雑な経緯を辿っています。

しかし、経済不況やオイルショックなどがあり、千葉ニュータウン事業自体が縮小されてしまいます。そこで北千葉線の小室~印旛松虫間は廃案となってしました。

そして京成電鉄の経営状況の悪化や県営鉄道が行き詰まっていながらも、鉄道事業に参画したい県の思惑などから北総開発鉄道は県が出資する第三セクターとなります。

その後、小室~印旛松虫(印旛日本医大)の区間は鉄道事業への参画をもくろんだ宅地開発公団が免許を取得します。

こうして小室~印旛日本医大間は宅地開発公団が鉄道と駅を保有する第三種鉄道事業者となり、北総開発鉄道が列車の運行・管理を行う第二種鉄道事業者となります。(上下分離方式)

2004年には都市基盤整備公団(宅地開発公団の後継組織)の改組に伴い、鉄道事業から撤退しました。

そのため、小室~印旛日本医大間の鉄道と駅と公団保有の車両は京成電鉄が100%出資して設立した千葉ニュータウン鉄道に引き継がれ、引き続き北総鉄道が第二種鉄道事業者となります。

 そして長い間、計画されてはいたものの実現されなかった北千葉線の小室~本八幡間も2013年に廃案となってしまいました。

北総線の運賃が高くなってしまった原因は?

上の北総鉄道の設立の経緯もかなり複雑になってしまったことも原因の一端となってしまっています。

けれど千葉ニュータウン事業と北総線を造るための土地収用にも問題があったようです。

元々の建設コストが高くついたことと千葉ニュータウン事業計画の遅れによる利用の少なさに由来

出典bund.jp

京成電鉄は、成田空港への乗り入れを狙って成田空港駅(現在の東成田駅)まで延伸しました。
けれども成田空港の開港は、中核派による成田闘争のせいで遅れてしまいました。そのせいで空港新線が開業できず、そうしてている内にオイルショックの時期がやってきました。

その時の地価の暴落で、当時京成は積極的に不動産投資を行っていたのが裏目に出て、経営危機に陥ってしまいました。

そのような状況と、千葉県側も不景気の煽りを受けて財政が悪化していたことと、成田闘争の影響で計画していた県営鉄道の土地収用がうまくいかなかったことにより、上で書いたように、北総開発鉄道は京成と県が出資する第三セクターとなりました。

成田空港建設問題で紛糾した時期、暴力によって千葉県収用委員会は完全に機能不全に陥ったようです。

1988年に千葉県収用委員会会長襲撃事件が起きて、その時から収用委員会が千葉県内では全く機能しなくなってしまいました。

そのため北総線の一部区間及び東葉高速線の用地取得のための金額がかなり多額になりました。2004年に再び土地収用委員会が再建されたものの、成田空港関連の土地収用には適用されていません。

全国で鉄道運賃が高いと有名な北総線鉄道も、任意取得の手段しかなかったがために用地取得に多額の補償金額が必要であったことが原因

京成高砂〜新鎌ヶ谷駅間の土地収用がこの時期にあたります。同じ理由で千葉県内にある東葉高速鉄道の運賃も高額となってしまっていました。

千葉ニュータウンは当初、高度経済成長期における人口の増加と住宅の需要に対応して計画されていました。
そのため、その後の不況などに対応したものではありませんでしま。

計画当初は2,912haを開発して計画人口34万人を見込んでいたが、1970年代のオイルショックや1990年代のバブル崩壊などで縮小を余儀なくされ、2015年11月時点の開発面積は約1,930haで、計画人口は45,600戸/143,300人となっている。

実際の人口は、2015年11月末時点で94,397人に留まっている。このため、千葉県企業庁の2013年度決算ではニュータウン事業は1150億円の赤字となっている(ニュータウン事業費収入は2809億円、支出は3959億円)。

十分な客を集められなかった北総鉄道(北総開発鉄道)は多額の負債を抱え、年数億単位の利子により経営が圧迫。開通時の高額運賃のまま現在に至ります。

当時はバブル経済で金利が高かったとも負債が膨らむ原因となってしまいました。
そして、乗客を集められなかったことにより有利子負債はさらに膨らみ、さらに運賃が値上がりし、さらに北総線の運賃が高いこと自体が沿線人口を増やすための弊害となる悪循環に陥っています。

このページはもう10年以上前のものになりますが、北総線の利用客が伸びない理由について書いてありました。

そこで書いてあるものの中で現在でも通じそうなものとしては北総線は千葉ニュータウンが独占地域である分、値下げをしても競合路線から潜在的な利用客を取り込めないということが挙げられていました。

例えば同じく運賃の高い東葉高速線の場合、もともと沿線の人口が多く都心への利便性が高いために京成や新京成を乗り換えてくる客がでてくるので、値下げをすれば他の競合路線に逸走した客を取り込むことができる可能性が極めて高いです。

けれども北総線の場合、当初の計画よりも人口が少なく、東松戸や新鎌ヶ谷を除いて決定的な競合路線がなく、他の路線から北総線に乗り換えてくる客もいないため、値下げをしても取り込める客が少ないので、乗客を増やすには千葉ニュータウンの人口を増やすか定期客が集まるような施設をつくることしかないと書かれています。(成田スカイアクセス線開業前なので現在とは一部状況が違います。)

つまり、北総線は千葉ニュータウン地域が独占区間ではあるものの、逆に言えば沿線外からの需要があまり望めない環境ということになります。

北総鉄道の現在の経営状況

2012年の中間決算で債務超過を脱したものの2016年上期時点で有利子負債が768億1400万円(前年比10億9900万円減)、繰越損失が121億3400万円(前年比11億1100万円減)あります。

営業収支自体は黒字で、高い収益を上げていたとしても利子をつけて返さなくてはいけない、有利子負債が大きく圧し掛かっています。

興味のある方向けに
誰でもわかる貸借対照表と損益計算書の読み方http://setsuzeinoki.com/how-to-know-blpl-402

平成12年度から最終損益は黒字が定着し、債務削減も数字が読める状況になっていましたが、その一方で、資金収支(キャッシュフロー)の赤字状態は継続したままでした。

たとえ損益が黒字であってもキャッシュフローがマイナスであれば、お金のやりくりがつかなくなり、いわゆる黒字倒産になりえます。

「勘定合って銭足らず」という数値上は利益が出ているのに、手元にお金が残っていないという状態です。

会計上は黒字でも、支払うための現金が底をついている場合は「黒字倒産」になりえます。

北総鉄道の場合は、金融機関からの融資を受けることは全く不可能な状態なわけで、倒産させないために実態としては、親会社である京成電鉄が北総鉄道の資金繰りを一手に引き受けているのです。

北総鉄道は債務超過状態では無いにしろ、負債が資産の合計に対してとても大きいために金融機関から借り入れることができません。

平成22年度鉄道統計年報のデーターを元にした
調査報告書の記述によれば、北総鉄道の職員一人当たりの
人件費は京成グループよりも低く、営業キロ当たりの職員数、
一駅あたりの駅職員数は東葉高速、埼玉高速、
京成グループの中でもっとも少なく、運転手一人当たりの
年間走行距離は他社の2倍以上、車両あたりの年間輸送量は
他社より高くなっている。

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