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高専についてまとめ

オフィス・宮島です。今回は私の母校である「高専」について解説してみようと思います。学校の先生もよく知らない「高専」の実態を知ったうえで、興味ある方は受験してみてくださいね。

更新日: 2016年03月09日

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高専とは?

高専とは「高等専門学校」の略で、5年制の「大学に次ぐ高等教育機関※1」です。
2014年現在全国に57校存在し、51校が国立、3校が公立、3校が私立です。

高等専門学校は「工業高等専門学校」「商船高等専門学校」「電波高等専門学校」の3種類が存在します。それぞれどのようなものかというと…

工業高等専門学校…工業の第一線で働く中級技術者を養成する
         機械工学科・物質工学科・建築工学科・電気工学科など「理系」の学部しか
         存在しない※2

商船高等専門学校…工業の第一線で働く中級技術者の養成および船舶関連の業務従事者を養成
         する
         商船学科(航海コース・機関コース)プラス工業高等専門学校の学部が存在
         する※3

電波高等専門学校…工業、特に電気・電子工学を駆使する分野で活躍する中級技術者を養成する
         電気工学科・電子制御工学科・電気情報工学科など※4


※1
5年間の「本科」と2年間の「専攻科」に分けられ、最長7年間教育を受けることができる
5年で卒業すると準学士の称号が得られ、7年で卒業すると学士の学位が得られる

※2
福島高専にはコミュニケーション情報学科、宇部高専には経営情報学科という文系の学部が存在する

※3
富山商船高等専門学校(現・富山高等専門学校射水キャンパス)には、文系の学部である国際ビジネス学科(旧国際流通学科)が存在する

※4
仙台電波・詫間電波・熊本電波高専は再編により廃止されたため、2016年現在「電波高専」は存在しない

…というものです。

高専のメリット・デメリット

よく聞かれるのが、「高専に進学するとどのようなメリットがあるの?」という質問です。
その質問について答えてゆこうと思います。

メリット①:大学入試がない!

高校に進学すると、3年後に就職するか進学するかを選択しなければなりません。そのため、進学校では大学受験に向けた勉強を行います。

2年の後半~3年にかけて、非常に張り詰めた空気が教室を覆うようになり、ピリピリした雰囲気になります。そして、3年次の1月にセンター試験(2020年に廃止)を受け、2月に二次試験を受けます。

3年の夏休みを過ぎると「受験モード」に突入し、高校入試の時に味わった厳しい戦いをもう一度行わなければならない…ということになります。

このように高校3年生がヒーコラ言って受験勉強しているとき、高専3年生は受験を気にせずのほほんと学校の勉強に没頭することができます。

3年から4年に進級すると、自動的に大学課程に切り替わるので、内部の試験で「進学」することができます。

メリット②:就職に強い!

ここ最近、40社~50社の会社を回ってようやく1社の内定を取る大学生がいる反面、一人でいくつもの会社から内定をもらう大学生がいるという、「就職(内定)格差」が広がりつつあります。
(2016年12月1日時点で内定率80%)

                     ◇

高専の場合はというと…「あっ」という間に内定が出ます。就職率は驚異の99.5%!
一人に必ずといっていいほど1社内定がもらえます。大学生より高専生のほうが就職率が高いのは
なぜでしょうか?

それは、次に示す理由だからです。

①長年の実績がある
 高専が設置された当時、倍率は数十倍の「狭き門」でした。そこに集まってくるのは、全国の
 中学校でトップクラスの人物ばかりでした。ということは、当然授業の質も高く、そこを卒業
 した人物は「ひとかどの人物」ということになります。
 
 そのような人々が多くの企業に就職し、その企業の中核として働いてきたという実績があり
 ます。それが「高専生=大学生より優秀」という評価を生み出しているわけです。
 だから、高専生は大学生より就職率が高いのです。

 また、知識は大学生に匹敵するにも拘わらず、「大卒」ではないので、大卒より安い賃金で
 済む…という特徴があります。人件費を抑えたい企業にとって高専生は「金の卵」なのです。

                       ◇

②厳しい学生生活を乗り越えているため、タフである
 留年率が高校の100倍、退学率が高校の6倍である高専の厳しい競争を潜り抜けて卒業して
 います。ゆえに非常に精神的にタフ(なはず)です。

 また、15歳~20歳まで年の離れた学生がいるため、厳しい上下関係を否応なくさらされることに
 なります。そこでもまれるので、礼儀作法やコミュニケーション能力が身に付き(付くだろう)
 ます。

 コミュニケーション能力を重視するここ最近の採用者には、このような人物が「魅力的」に
 見えるのです。

                       ◇

③現場と開発をつなぐ「接着剤」となる
 基本的に高卒の社員は「現場作業」を行い、大卒・院卒の社員は「開発」を行います。
 高専卒の学生は、現場の勉強と開発の勉強を行ってるため、両方の環境を知っている高専生は
 現場と開発環境をつなぐ「接着剤」としての役割を求められます。

 大きな組織ほどその役割が強くなるため、高専卒の学生に求人が殺到するのです。

                       ◇

④即戦力になる
 これは私が社会人の時に同僚から「高専生はつぶしが効くよね」と言われたことがあります。
 「つぶしが効く」というのは、「どんな所でも使える」という意味です。
 なぜかというと…工学に限って言えば、一通り勉強しているため、短期間の社員研修を経て
 すぐ実践投入できるからです。

 http://高専.com/merit/shushoku/ によると、何らかの都合で労働者不足の企業が秋以降にも、
 高専に直接求人を出す場合がある。この時、就職試験に何度も落ちた学生でも大手企業に受かっ
 たりする…とのことです。

メリット③:国立大学への進学が簡単

高専に進学するメリットの3番目として、国立大学への進学が非常に簡単である…というものがあります。

メリット①にも書きましたが、高校→大学というコースを通った場合、センター試験を受けてから二次試験を受験し、ようやく合格…となります。

センター試験を受ける際、必ず国語、地理歴史、公民、数学、生物、化学、物理、地学、外国語
の中から文系の場合は6教科7科目、理系の場合は5教科7科目を受験しなければなりません。

                     ◇

高専の場合は「3年次編入」という方法をとるので、センター試験が存在しません。
しかも、編入試験は数学・英語・化学・物理・(高専で習った)専門科目だけが出題され、
地理・歴史・公民および国語は出題されません。ゆえに、勉強する教科は高校生より少なくて済みます。

さらに、編入試験は大学入試より難易度が低くとても受かりやすい…という特徴があります。
そのため、高専から東大・京大といった旧帝大に「入試」を受けずに入ることができます。
(ただし、旧帝大に進学した場合は2年次編入となるのと、「入試」を潜り抜けてきた学生に「学歴ロンダ※(ロンダリング)のくせに」と陰口をたたかれる場合があるので、注意が必要)

※マネーロンダリング(資金洗浄)にひっかけて、下位校から上位校に進学して学歴を「きれいに」
 する行為。


また、長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学といった「技科大」、金沢大学や富山大学などの「地方国立大学」への編入するとき…

推薦入試の場合は書類選考と面接、学力選抜の場合は簡単な筆記試験と面接が受験生に課されます。(筆者が長岡技術科学大学に進学したときは、選抜試験は書類選考のみだった)

                     ◇

書類選考の場合、5年間すべての成績が進学する大学に送られるため、5年間常に上位10%に入っていないと推薦は非常に厳しくなります。

推薦を行っているのは、長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学、富山大学、金沢大学などです。
東大・京大などの旧帝大では、推薦は一切行っていません。

メリット④:授業料が安い

高専の授業料は年間23万4600円となります。一方、私立大学の工学部に進学すると、授業料は130万~180万円となります。
(http://www.daigaku-gakuhi.com/ より、2012年度のデータ)

また、授業料免除や奨学金制度も整っており、経済的に厳しいご家庭の子息でも高等教育を受けることができます。

ちなみに、高専の授業料「23万4600円」は国立大学の授業料の「ちょうど半分」となっております。卒業するまでこの金額であるため、同年代で私立大学の工学部に進学した学生より安く済みます。

メリット⑤:塾が不要

高校から大学に進学する際、進学塾に通う必要があります。そのとき、授業料は年間100万円近くかかります。3年間指導を受けるとすると、高校の授業料+塾の授業料で360万~600万円近くかかります。

高専は、高校の授業と大きくかけ離れているのと内部進学のため、大学入試が不要です。ゆえに、進学塾に通う必要はありません。

しかし、数学および英語、理科(物理・化学)が心配な方は、家庭教師をつける必要があります。
筆者も4年の最初のころまで、理学部数学科出身の学生に週1回指導を受けていました。
それだけで済むので、非常に安上がりです。

デメリット①:受験による大学進学はほぼ不可能

高専3年を修了後、大学センター試験を受験する権利を与えられますが、それを使って大学に進学するのは、ほぼ「不可能」です。なぜかというと…

●地理、歴史、公民、国語はほとんど習っていない
●数学・物理などは普通の高校と習う内容が少し異なる

筆者の経験を振り返ると…
地理は1年間(高専1年のとき)しか習わなかったうえ、内容は世界地理のみで、日本地理は一切習いませんでした。

歴史は完全に学習指導要領を逸脱しており、三国志を非常に細かく勉強したり、世説新語の内容を勉強したり…と中国史に偏っていました。

公民も教官の趣味で行っていたため、マクロ経済政策やミクロ経済政策など、教官の研究テーマがそのまま授業になっていました。

国語は3年間行っていましたが、最初の1年間だけ国語の教科書を使った授業を行っていました。2年以降は、教科書が「井上ひさし」の著作でした。(これも教官の趣味)

…という具合なので、進学校の生徒が聞くと腰を抜かすレベルでした。

                      ◇

数学に関しては、数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ+大学の数学がまんべんなく入っている状態でした。
1年で文字式の割り算や対数の計算、双曲線や楕円、放物線(準線と焦点を使って書くほう)などを学び

2年で微分積分、自然対数、ネピアの数、逆三角関数、媒介変数表示、行列・行列式(4×4以上)、3次元座標空間に作る図形などを学び

3年で偏微分、重積分、陰関数、微分方程式、関数の展開、線積分、回転体の体積などを学び

4年でラプラス変換・逆ラプラス変換、コーシー・リーマンの定理、外積(3次元ベクトル)、複素関数、フーリエ変換、フーリエ級数展開などを学び、

5年は微分方程式を学んだが、教科書は「すべて英語」というものでした。

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物理・化学はというと…
1年は高校物理・化学と専門教科(主に電気回路)を学び

2年は高校物理(波動・光学)と専門教科(電気回路・工業力学)を学び

3年は応用物理(質点・剛体の力学、光学)と専門教科(電気回路・電子回路・材料力学・計測工学)を学び

4年は応用物理(電磁気学・波動・相対性理論)と専門教科(電子回路・材料力学・熱力学・流体力学・制御工学)を学び

5年は専門教科(電磁気学など)を学びました。

このように、一般的な高校とかけ離れた内容であるため、大学入試向けではありません。実際に塾講師をしているときに遭遇したのですが、筆者が1年のころに勉強した内容が高校3年生で習う内容だったリ、高校1年生で習う内容(ユークリッド互除法とか)を一切学んでいなかったり…と
いう具合でした。

もし、高専3年から「進路変更」して大学に進学するときは、独学で高校生の勉強を1からやり直さなければなりません。

デメリット②:待遇は高卒とほぼ同水準

高専を卒業し、会社に就職すると「短大卒」と同じ待遇を受けます。初任給(会社に入って始めてもらう給料)は下図のようになり、約17万円となります。

初任給は高卒より高いももの、定年まで働くと…生涯賃金は高卒と同じになってしまいます。

学歴と初任給・生涯賃金の関係をグラフにしたものです。学歴が高いほど初任給および生涯賃金が高くなります。

しかし、高専卒の場合は初任給は高卒より高いが生涯賃金は高卒と同じになってしまいます。

デメリット③:学部の変更は難しい、医学部への進学は不可能

某塾講師をしていたとき、筆者が指導していた生徒の一人が「とにかく高専に行きたい」といったため、筆者の母校の商船学科を受験することを勧めました。それを聞いていた教え子の先輩であった高校2年生の女の子が「高専に進むと将来が決まってしまうじゃないですか!」と、私に反論しました。

                      ◇

その時、筆者は「とにかく高専に進みたいのならば、まずは一番入りやすいところに入るべき。そしてそこで一生懸命勉強すれば、それが好きになりたまらなく面白くなる。さらに、今の高専はどの学部でもコンピュータを使っているので、コンピュータに触る機会が非常に多い(その生徒は「コンピュータに触りたいから高専に行きたい」と答えたため)」と答えました。
(今考えると、かなり軽率な発言だったことをここでお詫びいたします)

彼女の言っているのは本当か?ということを確認したいため、もう一度母校のホームページを読み直したところ、それが正しいということが分かったので、指導していた生徒にもう一度説明しなおしました。

…というように、高専に入ると学部を変えるのは原則不可能です。ということは、将来進む道がはっきりと決まってしまう…ということになります。

                      ◇

筆者が在籍していたころ、転科希望を出した学生は皆無でした…というより、「そういうもんだ」と割り切っていたところがあったと思います。しかし最近は、「途中で学科を変えたい」という学生の数が増加したため、それを反映した学科編成になりつつあります。

「普通の」高専では、このような学科編成となっております。卒業まで学科を変えることは原則できません。

どうしても学科を変えたいときは、進路変更を行う必要があります。

また、5年間クラス替えがないので、同じメンツと卒業まで過ごすことになります。

留年などでいなくなると、すぐわかります。

近大高専、都立産業高専などで採用されている方式です。

高専入学時は全員「総合学科」に所属します。1年ないし2年修了時に自分の進みたい学科を選び、卒業までそのコースに進むというものです。

東京高専、釧路高専などで採用している方式です。1年次は入試の時に志望した学科に「仮配属」されます。そして、1年修了時に進みたい学科を選択します。

そして、卒業までその学科に所属します。専攻科に進学する際、もう一度学科を選択することができます。(東京高専の場合)

最近は進路選択に関し、フレキシブルになっておりますが、希望者が殺到した場合は成績で振り分けられるので、成績が低い学生は「不本意な」進路選択になる可能性があります。

なお、進路を選べるのは「最初の1回」だけなので、慎重に選択してください。

医学部・薬学部への編入はまず不可能

高専は「理系の」学校であるため、同じ理系である医学や薬学の道に進むことができるのでは?
と考えておられる人も多いと思います。

しかし、高専で勉強するのは医学・薬学と無縁な「工学」であるため、将来進む道は「技術者」か「研究者(工学)」に限定されます。また、医科大も高専からの編入を一切受け付けていないため、医学部への編入はまず不可能です。

どうしても医学部に進学したい場合は、3年で進路変更して大学の医学部を受験して合格するか、5年ないし7年で卒業したのち、もう一度大学の医学部を受験して合格するしかありません。

薬学部に関しても、医学部同様高専からの編入を受け付けていないため、編入はまず不可能です。
しかし、津山高専がアドミッションポリシーで「薬学部への進学も視野に入れる」と述べているので、いずれ高専から薬学部への編入学の道が開かれるかもしれません。

デメリット⑤:世間一般の知名度が低い

高専は、1950年代に迎えた高度経済成長に伴う急速な工業化に対応するために生まれた学校です。当時は合格倍率数十倍を誇る「狭き門」でした。しかし、時とともに知名度が下がり続け、
倍率は1.00倍~4.60倍まで低下しました。それにより、入学する学生の質も低下してゆきました。

高専が設立された当時、高専卒の学生は「エリート扱い」されておりましたが、ここ最近は、企業だと短大卒と変わらない扱い(しかも生涯賃金は高卒より下になる)だし、「高専卒」ですと答えると「高専卒ってことは専門学校卒なんだよね」というとんでもない輩もおります。

詳しくはhttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q109202015 を読んでみてください。

                     ◇

さらにひどいのは専攻科を卒業した学生で、大卒と同じ「学士」を持つにも拘わらず、企業は大卒扱いではなく高専卒と同じ扱いをしたり、合コンなどで女の子に出身学校を聞かれて「○○高専専攻科卒です」と答えると、( ´,_ゝ`)プッと言われたりすることもあります。

能力はそんじょそこらの大学生より高い(はず)なのに、知名度は大学以下…というのが「高専」なのです。

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オフィス・宮島です。
個人事業主なので、社員は1人もおりません。手探り状態で進めているので経営に関してはよくわかっていません。
経営に関するアドバイスなどいろいろいただけるとありがたいです。

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