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国際標準は八角形の「止まれ(一時停止)」の道路標識 なぜ日本では逆三角形になった?

東京五輪を控え、外国人のために「止まれ(一時停止)」標識のデザインを世界で広く採用されている八角形に変更することを、警察庁が検討。では、なぜ日本では「一時停止」の標識が逆三角形のデザインになったのでしょうか。

更新日: 2016年01月21日

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雨男さん

警察庁が「一時停止」の道路標識のデザイン変更を検討

1月20日の共同通信社の記事によれば、2020年の東京五輪を控え、外国人に交通標識がわかりやすいものになるように、「止まれ(一時停止)」標識のデザインを変更することを、警察庁が検討しているそうです。

共同通信の記事によれば、現在使用されている逆三角形の「一時停止」の標識は1963年から使用されていますが、国際的には「一時停止」には八角形のデザインを採用している国が多いとのこと。

日本も以前は八角形を採用していましたが、1963年にデザインが逆三角形へ変更されました。今回はそれを元に戻そうという動きです。

標識変更検討へのきっかけとなった国会での質疑

国会議事録を検索してみると、昨年4月16日に維新の党(現・おおさか維新)の江口克彦議員が「一時停止」のデザイン変更を、警察庁を所管する山谷えり子国家公安委員長に提案していました。

○江口克彦君  次に移ります。
 それから、お手元の日本、アメリカ、国際連合の道路標識の概要という一枚物の、これを見ながら聞いていただきたいんですけどね。
 我が国の道路標識においては、アメリカや国際連合の道路標識と形状を異なるものが、これは幾つかあるわけです。例えば、道路標識の止まれというのがありますよね、三角形の止まれについては、日本のものは三角形ですけど、アメリカとかあるいはまた国際連合の交通標識では六角形になっているんですね。これがもう形として六角形になっていますよね。(発言する者あり)まあ後でまたお答えくださいよ。

質疑では「六角形」と間違えて発言してしまい野次を飛ばされていますが、八角形です。

「国際連合の道路標識」とは、1968年に国際連合経済社会理事会で決められた「道路標識及び信号に関する条約(ウィーン標識条約)」で定められた道路標識のことで、ここで「一時停止」の標識は八角形か、円形に逆三角形を入れたマークのどちらかを採用すべきとなりました。多くの国では八角形を採用していますが、日本はこの条約を参考にはしつつも批准はしていません。

○江口克彦君   道路標識においては、私は識別性が極めて重要だというふうに思っているんです。グローバル化が進む中において、増加するであろう外国人ドライバーのことも考えなきゃいけない。そのためにも国際標準化について検討すべき時期が来ているんじゃないだろうかというふうに思っているわけです。
 また、日本語、英語の併記についても検討すべきではないだろうか。特に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国際標準化を迅速に進めるべきではないかというふうに思うんですけど、山谷大臣、どういうふうにお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。

八角形の一時停止標識は、アメリカだけでなく、ヨーロッパや多くの国で採用されています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Stop_sign

そこで江口議員は、道路標識の国際標準化を迅速に進めるべきだと提案しています。

それに対し、山谷国家公安委員長の答弁です。

○国務大臣(山谷えり子君) 我が国の道路標識に用いる記号や形状、色彩等については、道路標識の国際的な基準を示した国際連合道路標識の形状や色彩等を参考に定めてきたところでございます。来日した外国人運転者などもこうした形状等から標識が指し示す意味を理解することは可能だと考えております。また、警察においては、免許の切替えやレンタカーを借りる機会などを活用し、関係機関、団体等と連携しながら外国人運転者に対する交通ルールの周知に努めているところでございます。
 今委員おっしゃられたこの止まれの例えば標識等でありますけれども、これから訪日外国人旅行者数、増えてまいると思いますし、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催などの諸情勢もあることから、この止まれだけではなくて、一般的に道路標識の在り方について英語を併記することも含めて検討していくように警察を指導してまいりたいと考えております。

山谷大臣は、日本の標識は国際基準を満たしているから外国人にも理解できるだろうとしながら、こと「一時停止」標識を例示し、そのあり方を検討するとしました。

「止まれ」の逆三角形だけは国際基準ではないと分かっているようです。

なぜ日本では「一時停止」に逆三角形が採用されたのか

では、なぜ日本では「一時停止」の標識が逆三角形のデザインに変更されたのでしょうか。

1963年に変更されるまで八角形デザインだったにも関わらずです。

そのことに関して、KICTECのサイトに、全国道路標識・標示業協会発行の『道路標識ハンドブック』を参照した答えが掲載されていました。

「一時停止」の標識については、検討の結果、その重要性から特に他の標識と区別するため、ドイツで採用している最も視認性が高いと認められて いる不安定な形状の頂点を下に向けた逆正三角形とされた。

「参考文献:(社)全国道路標識・標示業協会発行 道路標識ハンドブック」

なんとドイツの道路標識を参考に逆三角形が採用されたといいます。(当時は西ドイツ)
しかし、あれ?ヨーロッパの道路標識はドイツも含めて八角形ではなかったか?

WikipediaをGoogle翻訳したもののキャプチャー画像です。


昔は、ドイツも逆三角形だったんです!

ドイツは1938年から、逆三角形の一時停止標識を正式採用。

しかし、このデザインは1970年まで。

ドイツは1968年に決まったウィーン標識条約を元に、1971年から八角形を採用することになりました。

画像一番下の二つは、条約で決まった2種類の一時停止標識デザインです。批准国は、どちらかを選べばいいのですが、ほとんどの国で八角形を採用しています。

タイミングが悪かった日本の「一時停止」標識変更の時期

もともとアメリカに合わせて、八角形に日本語・英語が併記されていた日本の「一時停止」標識のデザイン。

それを、1963年にドイツ式の逆三角形の方が「視認性が高い」と変更。

しかし、1968年にウィーン標識条約で、昔の八角形デザインのほうが国際基準に。ドイツもそれに合わせて逆三角形から八角形に変更。

こうして日本だけが取り残されてしまったみたいです。

標識を逆三角形から八角形に変更する費用は255億円

日本の一時停止標識全部を逆三角形から八角形に変更するとなると、その費用は255億円にも登るそうです。

警察庁によると、一時停止標識は全国で約170万カ所あり、全て八角形に取り換えると費用は約255億円。

警察庁は費用に配慮した、「現在の標識に「STOP」と併記する案」なども検討しているようですが、今の逆三角形のデザインに「STOP」というシール等を貼り付けるスペースがあるのだろうか…

いろいろと2020年までの変更は前途多難になりそうです。

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