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枕草子【全文】【原文・現代語訳あり】清少納言

有名な古典「まくらのそうし」の古文・現文を掲載しました。

更新日: 2016年03月19日

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oriorinoutaさん

▼有名部分のみ抜粋したまとめはこちら

▼枕草子の全文は以下

春は

春は曙(あけぼの)。

やうやう白くなりゆく、山際(やまぎわ)すこし明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

春は夜明け。

だんだん空が白くなり、山際がほのかに明るくなって、紫がかった雲が細くたなびくの。

夏は

夏は夜。

月の頃はさらなり。

闇もなほ、螢(ほたる)の多く飛びちがひたる。

また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。

雨など降るも、をかし。

夏は夜。

月夜はもちろん。

闇夜に飛び交うたくさんの蛍。

1、2匹の蛍ほのかに光りながら飛んでいくのも素敵。

雨の夜も素敵。

秋は

秋は夕暮(ゆうぐれ)。

夕日のさして、山の端(やまのは)いと近うなりたるに、烏(からす)の寝所(ねどころ)へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。

まいて、雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。

日入り果てて、風の音(おと)、虫の音(ね)など、はた、言ふべきにあらず。

秋は夕暮れ。

夕日が差して、山み沈みかける頃、家路を急ぐカラスが、3つ4つ2つと飛ぶのも素敵。

ましてや、雁なんかが連なって、すごく小さく見えるまで飛んでいく姿は、すごく素敵。

日が落ちて、風の音、虫の声などが聞こえるのは、もう言うまでもない。

冬は

冬はつとめて。

雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。

霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭(すみ)持てわたるも、いとつきづきし。

昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひおけ)の火も白き灰がちになりぬるはわろし。

冬は早朝。

雪が降っいてるの言うまでもない。

霜が真っ白に下りているのも、またそうでなくても、とても寒い朝、火を急いで起こして、炭を持って御殿を渡るのも、冬の朝らしくて素晴らしい。

昼になり、気温が上がって暖かくなると、炭櫃・火桶の火も白い灰がちになってダメ。

頃は

頃は、正月、三月、四月、五月、七・八・九月、十一、二月。

すべて、をりにつけつつ、一年ながら、をかし。

時候は、正月、三月、四月、五月、七・八・九月、十一月、二月。

すべて、その時々に応じて、一年中素敵。

正月一日は

正月一日は、まいて空の景色もうらうらと珍しう、霞みこめたるに、世にありとある人は皆、姿、かたち、心ことにつくろひ、君をも我をも祝ひなどしたるさま、殊(こと)にをかし。

正月一日は、空の景色もいっそううららかで新鮮で、霞がかった中で、どの人も皆、衣装もメイクも格別にキメて、主君も自分も末永くとお祝いしているのは、特別に素敵。

七日

七日、雪間の若菜摘み、青やかにて、例はさしもさるもの目近からぬ所にもて、騒ぎたるこそ、をかしけれ。

白馬見んとて、里人は、車きよげにしたてて見に行く。

中の御門の閾(とじきみ)引き過ぐるほど、頭、一所にゆるぎあひ、刺櫛(さしぐし)も落ち、用意せねば折れなどして笑ふも、またをかし。

七日、雪の間で若菜を摘んできて、青々とした若菜を、普段はそんなものを近くで見ることもない御殿の中で見て騒いでいるのが、とても素敵だ。

白馬節会(あおうまのせちえ・天皇が白馬を見て一年の邪気を祓う儀式)を見ようとして、女性たちは、車を綺麗に飾り立てて宮中へ出掛ける。

待賢門の敷居を通過する時、車が揺れて乗っている人たちの頭がぶつかり、飾り櫛も落ちて気をつけていないと櫛が折れたりもして、みんなで笑うのもまた素敵。

左衛門の陣のもとに、殿上人などあまた立ちて、舎人の弓ども取りて、馬ども驚かし笑ふを、僅(はつか)に見入れたれば、立蔀(たてじとみ)などの見ゆるに、主殿司(とのもりづか)、女官などの行き違ひたるこそ、をかしけれ。

建春門の左衛門府のあたりに殿上人などが大勢立っていて、舎人の弓を取り上げて馬を驚かせて笑う様子を、車の中から少し覗き見ると、奥の宣陽門の向こうに立蔀が見えて、そこを主殿司や女官などが行ったり来たりしているのも、本当に素敵。

いかばかりなる人、九重(ここのえ)をならすらんなど、思ひやらるるに、内裏(うち)にも見るは、いと狭きほどにて、舎人が顔のきぬもあらはれ、誠に黒きに、白きものいきつかぬ所は、雪のむらむら消え残りたる心地して、いと見ぐるしく、馬のあがり騒ぎなどもいと恐しう見ゆれば、引き入られてよくも見えず。

いったいどのような幸運な人が、宮中で権勢を振るっていられるのだろうかと気になったけど、宮中からでも車から見えるのはすごく狭い範囲だし、舎人の顔は(化粧がはがれて)地肌が見えて真っ黒で、白粉(おしろい)がはげた所は雪がまだらに消え残っているみたいですごく見苦しくて、馬が跳ねて騒いでいる姿もすごく怖いので、自然と身体が車の奥に引き籠ってしまって、よく見えない。

八日

八日、人のよろこびして走らする車の音、異(こと)に聞こえて、をかし。

八日、昇進した人が喜んで挨拶回りに走らせている車の音が、いつもとは違って聞こえるのが素敵。

十五日

十五日、もちかゆの節供まゐる。

粥(かゆ)の木ひき隱して、家の御達(ごたち)、女房などのうかがふを、打たれじと用意して、常に後を心づかひしたる景色も、いとをかしきに、いかにしたるにかあらむ、打ちあてたるは、いみじう興ありてうち笑ひたるは、いと栄々(はえばえ)し。

ねたしと思ひたるもことわりなり。

十五日、望粥(もちの日に食べる小豆粥)をご用意する。

粥の木(小豆粥を煮た時の燃えさしの木を削って作った杖。これで女性の腰を叩くと男子を出産するという言い伝えがある)を隠し持ち、お家の方々や女房が隙を伺っているのを、打たれまいと用心して、常に自分の後ろに気をつけている様子も、とても素敵なのだが、どのようにして隙を見つけたのだろうか、上手く打ち当てた時には、本当におかしくて皆で笑い合うのは、とても賑やかだ。

打たれて悔しいと思うのも道理である。

新しう通ふ婿の君などの、内裏(うち)へ参るほどをも心もとなう、所につけて我はと思ひたる女房の、のぞき、けしきばみ、奧の方にたたずまふを、前にゐたる人は心得て笑ふを、『あなかま』と、招き制すれども、君見知らず顏にて、おほどかにて居給へり。

新たに家に通うようになった婿が出仕の身支度をしているときでさえ、待ち切れずに我こそはと隙を狙う女房が、覗き込み、そわそわして奥のほうでウロウロしているのを、婿君の前にいる女房が気付いて笑っているのを、『静かに』と手真似で制止するのだけれど、姫君は何も知らない顔をして、おっとりした感じで座っていらっしゃる。

『ここなる物、取り侍らむ』など言ひ寄りて、走り打ちて逃ぐれば、ある限り、笑ふ。男君も、にくからずうち笑みたるに、ことに驚かず、顔少し赤みて居たるこそ、をかしけれ。また、かたみに打ちて、男をさへぞ打つめる。

いかなる心にかあらむ、泣き腹立ちつつ、人を呪ひ、まがまがしく言ふもあるこそ、をかしけれ。内裏わたりなどのやむごとなきも、今日は皆乱れて、かしこまりなし。

『ここにある物を取りましょう』などと言いながら、走って近づいていって姫君の腰を木で打ってから逃げると、みんなこぞって笑う。婿君もまんざらではない感じで微笑んでいるのに、姫君は特に驚かず、少し赤面して恥ずかしそうに座っているのも、素敵。また女房同士でお互いに打ち合ったり、男の人を打ったりもするみたい。

どういう心境なのか、打たれて泣いたり腹を立てたり、打った人を呪ったり、不吉な言葉を話す女房もいたりするのがおかしい。宮中にいる高貴な方々も、今日は無礼講で楽しんでいる。

除目(じもく)の頃など

除目(じもく)の頃など、内裏わたり、いとをかし。雪降り、いみじうこほりたるに、申文(もうしぶみ)持てありく。

四位、五位、若やかに心地よげなるは、いとたのもしげなり。

老いて頭白きなどが、人に案内言ひ、女房の局などによりて、おのが身のかしこきよしなど、心一つをやりて説き聞かするを、若き人々は真似をし笑へど、いかでか知らむ。

『よきに奏し給へ、啓し給へ』など言ひても、得たるはいとよし、得ずなりぬるこそ、いとあはれなれ。

春の除目(人事)の頃の宮中は、とても素敵。雪が降ったり氷が張っていたりするのに、人々は申文を持ってあちこちを行ったり来たりする。

位階が四位や五位の若くて気力のある人たちは、とても頼もしげ。

老いて髪の毛が白くなっている人が、女房に取次ぎを頼んだり、また女房の局に立ち寄ったりして、自分が有能で賢い人間なのだと必死で主張するのを、若い女房がモノマネをして笑っているのけれど、本人はそんなことは知らない。

『どうかよろしくお伝え下さい。帝にも中宮様にも』などと頭を下げて頼んでも、官位を得られた人は良いが、手に入れられなかった人は非常に気の毒なものである。

三月三日は

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