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小学校の必修科目にも!世界が注目する『チェス』の教育効果

世界一のボードゲーム「チェス」を小学校の義務教育に取り入れた国があります。相手に勝つために戦略を立て、臨機応変に素早く判断する必要があるチェスは、子どもたちの能力を伸ばすために有効との報告も相次いでいます。2011年にチェスを義務教育化したアルメニアの事例。

更新日: 2016年05月06日

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世界で初めて「チェス」を義務教育に取り入れた国、アルメニア

東欧、南コーカサスに位置する小国・アルメニア共和国では、世界でもっとも普及しているボードゲーム「チェス」が義務教育に取り入れられています。

日本の小学校では国語・算数を筆頭に、およそ9科目くらいを必修科目として学習が進められていますが、海外では学習形態の大きく異なる国も少なくありません。
黒海とカスピ海の間に位置するアルメニアの小学校では、なんとチェスを必須科目としたようです。

2011年から、アルメニアではボードゲーム「チェス」が義務教育として取り入れられています。

アルメニアの小学2年生〜4年生が週に2時間チェスの授業を受けています。

小学校の2年生から週に2回、30分のチェスの授業を行い、4年生の終了までに実践的な対戦ができることを目指しています。

現在までに300万ドル(約2億8450万円)以上をチェスの義務教育に費やしている

アルメニア、本気です。すげぇ…

チェスは日本では競技人口も少なく、あまり馴染みがありませんが、欧米ではもっともポピュラーなボードゲームです。
ルールは日本の将棋に似ており、高い戦略性が要求されるゲームです。

アルメニアは、トルコの東に位置し、面積は日本の13分の1という小国。世界最古のキリスト教国で治安も良いといわれています。チェス大国としても知られており、少ない人口にもかかわらず、国際チェス連盟が付与する最高位の称号、グランドマスターを多数輩出。

チェスの世界チャンピオンを除く最高位の称号は「グランドマスター(GM)」ですが、アルメニアではチェス選手29人に1人がGMという割合で、これはトルコに次ぐ世界第2位となっています。

チェスオリンピックでは、強国のロシアや中国を下し優勝した経験もあります。アルメニアでは、有名なチェス競技者は、まるでスポーツのスター選手のような人気ぶりです。

アルメニアは隔年で開催されているチェス・オリンピアードにて2006年と2008年に優勝する程の強豪国で、世界ランキングにも多数の同国出身プレイヤーが名を連ねているようです。

アルメニアでチェス選手として成功すれば名誉とともに高い給料が支払われるようで、2012年のチェスオリンピアードで金メダルを受賞したアルメニアチームの一員であるチグラン・ペトロシアン選手によると、道を歩けばファンに囲まれ、家に帰るとたくさんのEメールがファンから届いているとのこと。

過酷な歴史を持ち、経済的にはそれほど豊かでないアルメニアでチェス選手として成功することは、子供たちの憧れになっているようです。

チェス義務教育化の狙い

アルメニアはなぜ世界一の“ボードゲーム”を義務教育化したのでしょうか?

アルメニアのチェスアカデミーの会長は、この義務化に関して「チェスはごまかしが利かないゲームで、公正に戦うことを教えてくれます。7歳の子供にも考えて決断を下す、という機会を与えてくれる。長期の集中力を要する最高のゲームのひとつといえるでしょう」と語っています。

チェスを通して、リーダーシップ力、判断力、戦略的な計画を練る力やクリエイティブな発想力を育てる目的がある

チェスは「どうやったら相手に勝てるか」を突き詰めて考えるゲームです。
勝つためには自分の駒を捨てるという選択も必要になります。これは、確かに決断力の強化につながりそう。

柔軟で分別のある考え方を教えることができ、それが知能発達を促すと期待されているようです。

チェスでは戦略的な計画や先読みの精度、状況に応じた適切かつ素早い判断力などが求められます。
これが子供たちへの教育にも高い効果があると考えられています。

チェスは精神を強化し、ソーシャルスキルも成長させることができる

チェスは不利な展開を巧みな交渉によっては引き分けに持ち込めるなど情報戦・心理戦の面も持ち合わせています。
相手の気持ちを察し、自分の有利なように展開させる交渉術も磨けるのかも。

チェスを指すアルメニアの子ども。

狙いは世界的にチェス強国を目指すというもので、セルジ・サルキシャン大統領自身が熱心にチェスの試合を支持しているとのことです。

大統領自身もチェスの熱心なファンということで、子どもたちの戦略的思考を鍛える以外にも、チェス強国確立という隠れた(?)目的も見え隠れしています。
まさしく国を挙げての事業のようです。

今、チェスの高い教育効果が注目されている

チェスは、アルメニアのみならず、欧米でも教育に有効であるという研究結果が多数発表されています。

アメリカを代表する医学校のジョン・ホプキンス大学の研究では、8歳〜9歳の子供の思考力は急速に成長し、その時期においてのチェスの学習は、イメージの視覚化、分析力、論理的考察の発達において非常に有益であると発表しました。

スペインの心理学研究者らは、6歳から16歳までの子供に定期的にチェスを学習させ、チェスをしていない子供と比較。チェスを学習した子供のほうが、IQのスコアが高く、認知能力、対処能力、問題解決能力、感情表現において優れていたという結果を導き出しています。

映画や文学などでも知的なイメージの象徴として多用されるチェス。
その効果は、すでに多くの研究で実証されています。

「チェスが及ぼす子どもたちへの精神的影響」についての研究を主導している心理学者のルーベン・アグザムシトヤン博士によると、チェスが上手な子どもはクリエイティブな思考能力・反射神経・比較分析能力に長けていることがわかったそうです。

アメリカでも、近年チェス人気は高まっており、小学校でチェス大会も頻繁に開催されるなど、子供たちの教育に浸透しています。

スペインの学校では、生徒が苦手な算数や読解の力を上げるためにチェスクラブを設置する動きが広がっており、チェスを必修科目にする学校も現れている。

2015年には、スペインの学校でもチェスを必修科目にする動きが広がりました。

「考えるのが楽しい」という感覚が、とても大切

自分の頭で考え、実行した戦略が成功し相手に勝てた時の快感は、子どもたちにとって得難い経験なのではないでしょうか。

日本でより身近な将棋や囲碁でも同等の効果が

日本ではチェスよりも将棋。
どちらも同じルーツを持つゲームですが、日本ではチェスよりも将棋の方が圧倒的に競技人口も多く、対戦相手も比較的容易に見つかります。

チェスと似たルールを持ち、同じく盤と駒を使うゲームである将棋や囲碁でも、同等の効果があると考えられています。

日本の「将棋」は、チェスと同じルーツを持つボードゲームです。ルールの違いこそあれど、教育効果は同等のものがあると考えられています。

なんと、ここ数年前から、将棋は学校教育導入推進事業に入っているんです!

実は日本においても、将棋は学校教育への導入が推進されています。

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