1. まとめトップ

差別化されたサービス(おもてなし)で稼ぐ

モノで差別化を図るのが難しい時代。どう勝ち抜くかは、マーケティングであり、サービスのあり方で決まってくる。特に、サービスの力とは、内部人材の心構え次第。社員を育て、社員に任せる、その優れた事例に学んでみよう。ここでのサービスとは、日本語での「おもてなし」に近いニュアンスのことである

更新日: 2018年02月14日

2 お気に入り 8764 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

▼サービスに対する「不快」は売上を下げ、サービスに対する「感動」は売上につながる

【まとめ編者】サービスへの不満TOP10は図表の通り。詳しくはリンク先参照。意外に「待たされる」が上位にきている。人件費を削ることに熱心な日本らしい状況だ。また、スタッフの人柄や印象などもこれに並ぶため、店舗側としては「主観が強すぎるだろう」と愚痴ってしまいかねない。しかし、お客様は主観でしか判断しない。しかも、全体的な印象が悪ければ、それでもうダメの烙印を押される。非常に厳しい言い方をすれば、スタッフの心遣いひとつでできることばかりが指摘されているとも言える

北陸は石川県にある「加賀屋」、最高級のおもてなしとホスピタリティで日本一に輝いた旅館。旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」総合部門での35年連続1位だ。また、無視できないのは、お客様に「ノー」と言わない態度と、サービスの正確性にもある。和倉温泉というハードがあり、優秀なソフトがあり、そこに継承されてきた心遣いがある。ここまでとは言わないまでも、その本質は学んでおきたいものだ(まとめ末尾にも加賀屋関連)

▼まず、サービスと聞いて思い出されるのは、「お客様は神様です」のスローガン

三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくない。しかし、三波春夫にとっての「お客様」とは、客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズである。当の本人は「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできない」と語っている。この真意が歪められ、俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけになってしまった

お金を使わない客ほどうるさい、というのは至極納得。むしろ、店側はお客さんを選んだ方がいいんじゃないかとさえ思える。本来提供すべきサービス以上のものを要求してくるお客さんは多い。確かにある側面から見ると『お客様は神様』で、それは店側のスタッフが持つべき心構えだろう。しかし、『お客様は神様』だとしても、店員は奴隷ではない。サービスの質が価格によって変わるなんて、当たり前のことだ。それが分からないお客さんには、「あなたに当店はふさわしくない」と言ってもよいかもしれない

お客様からのクレームや要望などのフィードバックを効果的に吸い上げることは、ビジネスの基本である。また、お客様を買いたい気持ちにさせることも、売上を増やすための当然のことだ。しかし、「お客様は神様」とか顧客第一主義をやたらに強調する人は、結果的にクレームゼロを目指し、すべてのお客様からの反応に対し言い訳をもれなく準備するわけだから、膨大なコストを使っていることになる。企業自身の対応コストのうち自社で吸収できない分はお客様に価格を転嫁せざるを得ないはずだ。まとめると、顧客第一主義というのは、お客様からの苦情極小化主義の罠に陥りやすいのだ

企業や商店がニーズに合ったサービスや商品を提供することでお客様の「困った」を解決し、満足してもらう、その対価としてお金を頂く。そういう意味ではイーブンな県警である。逆に客は選んでも構わない。たとえば、頑固なラーメン屋のオヤジが「客を選択する」という思考がマーケティング的には理に適っているのだ。ここでは、お客様は「神様」などではなく大切な「友達」と考えた方がいい。「お客様は神様」というよりもう少し対等な立場であるはずだ。だからこそ、日々の気遣いやお伺いを重視し、コミュニケーションを持ち続けることも大切になる

▼「サービス」精神と聞いてよく指摘されるのは日本の「おもてなし」

【まとめ編者】専門家(プロの会社)がこれに明確な定義を与えている。詳しくはリンク先参照。日本で流行っている「おもてなし」という言葉は、英語で言えば「ホスピタリティ」である。同サイトによると、ホスピタリティとおもてなしにも違いがあるという。「おもてなし」には、顧客を選ぶという前提があり、お互いが尊重し合える“相互扶助”の関係である、とのこと。礼儀正しい、親切、笑顔など、上位にくる「おもてなし」の表現とはありふれたものばかりだ。しかしそこには、受け手側にも、送り手の気遣いや心配りをプラスに“感じる”高い感受性が要求されている

類似の概念を並べてみよう。まず「マナー」という言葉がある。これは「相手に不快感を与えないための最低限のルール 」のことだ。他方、サービスはまったく次元が異なり、主従関係が明確にされ、対価も発生する。このうち人が行うサービスを接客と呼ぶ。サービスから一歩進んだ「ホスピタリティ」とは、ビジネスにおいて、対価を求めない自発的な行為とされている。では、日本の「おもてなし」とは何だろうか。これは目配り、気配り、心配りとも表現されるが、もてなす相手に余計な気遣いをさせないことがその本質である。結果的にこれが、満足や感動につながる

▼サービスとは滅私奉公などではなく、売上を上げるための武器である

店長の力量によって客単価は変わる。従業員をきちっと訓練し、レベルの高いサービスを遂行していると、客単価は自然に上がるのだ。たとえば、中間バッシングをこまめに行い、飲み物のおかわりや料理の追加オーダーを受ける。次にトーク。そうすると、お客の心は開かれ、「何か注文してみようかな」という気持ちになる。しかし、客単価を無理に上げようとしてはいけない。最後に、客が不快になってしまっては、二度とその店に足を踏み入れなくなるからだ。また、それに見合ったサブベーシックメニューの開発も不可欠。低価格で原価が安いもの。たとえば、普通のバニラアイスに熱いチョコレートをかけて倍の値段で売っても、利益は十分あるだろう

「日本一、イタリア車を売った女!」の異名を持つ高塚氏。セールスマンでありながら、商品説明はするなと言い、セールスをやめてニーズも聞くなと言う。同氏は、共感が生まれるための様々なコミュニケーションのあり方を提示してくれている。要は、聞き手に回りながら、相手自身を誘導して、ニーズに近づいていく手法だ。しかしながら、同氏は、「売る気」もはっきり見せろと言う。実際、仲良くまではなるが、そこから踏み込めない営業マンも少なくないだろう。お客にへりくだることなく、「この機会にいかがですか」と言うために、相手の悩みや要望をつかむ手法を、サービス姿勢の中に組み込んでおく必要がある

望ましいお客様に対して施すサービスとは、相手に心底納得・感心してもらえるものでなければならない。つまり人としての気遣いを感じさせるレベルの対応のことだ。だからこそ、お客様は当のサービス事業者を支持し、引いてはファンになってくれる。時には、新しいお客を紹介してくれることもあるだろう。こうして、単純な価格の存在しないサービスは、何倍もの収益にもなって返ってくることもある。それだけに、ここで手を抜くことはできない。サービスのあり方について考えをあらためよう

情報が氾濫するこの時代にあっては、お客様に考えすぎててもらっても結論は出ない。むしろ効率的な意思決定を促す役割を誰かが務める必要がある。「希少性」「権威」「他人の行動」などが説得力をもつ。また、良いサービスを先にすることで、お客様にお礼をしたい気持ちが芽生えてくる(返報性の原理)。あるいはサービス以前に、営業マンたちと仲良くなれば、お客様の購買を後押しすることになる(好意)。こうした心理テクニックをサービスの中に盛り込んでいくことで、お客様は心を開きやすくなる

▼「サービス」を体系化して考えてみる

こちらのサービスに理解を示してくれる、満足してくれる客を選ぶべきだ。客を平等に扱う必要などない。接客などはサービスのほんの一部で、いちいち意識させることなくそれでも「うれしい」と感じさせるのがレベルの高いサービスだ。日本ではおまけをつけるのがサービスという定義もあるようだが、これは単なる値引きであって、いわゆるセールスの一環だ。サービスではない。よくよく考えると、消費者が買う意思決定をする時、商品以外の要素で決めることがある。実はそれらがサービスの正体だ。それは、有益な情報や信頼のできる相談相手(人)を指すのだ

サービス理念を作る。自分たちが本当に提供したいサービスを決める。理解を示してくれるお客様になら、寝食を惜しんでもサービスを提供したいはず。そうでないお客様には、サービスの良さを伝えて、もっとロイヤリティの高いお客様になってほしい、とする

理念を作るのは、スタッフと気持ちを一つにするためなのだが、最終的にお客様でない人を断るところまで成長するためでもある。スタッフは徐々に、個々の底からそれを理解するようになるはずだし、何よりサービスのクォリティが上がることにもつながるものだ。サービスの中では、情報の提供の仕方で工夫をする会社も出てきている。たとえば、お客様が知りたい情報を分かりやすく伝えることや、提供者にとって都合の悪い情報も大胆に公開することなどだ

人が人のことをどれだけ尊敬し、思いやれるかが、サービスの原点。(まず)従業員教育の中で、「気づく心」を大切なテーマとして捉える。そして教育に時間とコストを投資する。

責任は取りたくないから言い訳的なものを並べるとか、あれするなこれするななど注意事項をやたらと貼りまくっているとか、相手を不快にさせることが目的かと思わせるような企業は、サービス以前に、人としても問題はないだろうか。たとえば、トイレを汚すなと書かれているより、頻繁に掃除をしてきれいなトイレは使う方も気を遣うだろう。結局、どれだけお客様の思いに、寄り添えるかが問われているのだ

平等のサービスと、公平のサービスは異なる。(公平とは)断る人は断る、優遇するべき人を優遇する。一しか求めていない人には、無理に十を提供しない。十を求めている人に対しては、十を提供する

多くの経営者が悪い噂の経つのを嫌って「平等のサービス」にしがみつく。過剰で、ことなかれ主義のサービスでもある。しかし、レベルの低い悪い噂をそれほど気にする必要があるだろうか。むしろ、質の高い良い噂を増やすことに心を砕くべきだ。どれだけの素晴らしいサービスでも、リッツ・カールトンホテルでさえ、妬みや無理筋の批判がある。それを弾き返すだけの強い評判を勝ち取るくらいのサービスこそが、将来を切り開くことができる

【クレームへの対応力こそ、サービス力の真骨頂】
(暴言クレームに対する一般的な対応方法)
1. 自分は間違っていないんだから、正論で応戦
2. 本心ではないけど、形式的に謝罪
3. 暴言だし、常識がなさそうな人だから無視
4. クレーム内容に共感し、感謝する
など。暴言の後ろに隠されているメッセージを読み取る。これを警告だと受け取ってみては?

クレームはマーケティングに切り替えて対処するチャンスでもある。指摘への感謝と、具体的な改善アクション。この二つを盛り込むカタチで対処する。また、あやまるためだけのクレーム対処では意味がない。たとえば、「目の前でえシャッターが閉められ不愉快だ」というクレームであれば、業時間を見直すことが必要だろう。もしくは「スタッフはいますので、ご遠慮なくお声がけください」と張り紙をしておくのでもいい。やり方はいくらでもある

「サービス=接客(人力)」という信仰がある。お金を出してサービスを解決するというのは安易な方法。むしろ、人力に頼るのではなく、知恵を出し、効率的で効果的なシステムに頼る(スターバックスは好例)

スターバックスはセルフ式で、客は立ったまま、コーヒーが出てくるのを待たされる。代金は先払いで、コーヒーは機械が入れる。食事メニューは貧弱で、禁煙者しか受け入れない。こうやって書き出してみると、スターバックスは大して魅力のないカフェ・ショップだ。しかし、内装・音楽・テーブル等のトータルの雰囲気、そして店員の思いのこもったサービスなどは評価が高い。つまり、お客様が必ずしも必要としないところにお金をかけ、サービスと称して押し付けていないか、自問自答してみるべきだろう

お客様は「顔を覚えてほしい」、「すべては自分のために」、さらに「ここだけの話」が大好き。「ささやかでも、得した気分」がほしい。そして(他の人に)「自慢したくなる」

お客様の心理は必ず把握しておきたい。誰でも同じ消費者なのだから、たいていは分かりそうなものだが、売る立場になった途端、それらをすべてを脇に置いてしまいがちだ。スタッフはリラックし、仕事が楽しいと感じ、かつ顧客の立場になって思いをめぐらすことができることが重要だ。顧客そっちのけで奮闘しているのが、スタッフの仕事だと思っていれば大間違いだ

▼具体的事例で考える「サービス」。余計なことはやらなくていい

1 2