1. まとめトップ

楊貴妃が太っていたというのは嘘

楊貴妃がふくよかな女性であったというのが浸透していますが、整合性がとれないこと、矛盾が発生することを検証して、簡単にまとめました。

更新日: 2016年07月01日

10 お気に入り 19907 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

来栖崇良さん

楊貴妃といえば「霓裳羽衣」という踊りが得意だったことが特に有名である。


この踊りは仙女をモチーフにした軽やかな踊りであったと言われている。




こんな感じではなかった気が…

昔の中国では太っている女性が人気あったと言う人がいるが…

「昔」という表現がザックリし過ぎているが



中国の伝統的な理想体型は「柳腰」という、くびれのハッキリしている体つきである。



仏像などにもその理想が見られる。

「宋」の時代に


実際に、中国でふっくらした顔立ちが流行る時期がある。

現代から見れば


どっちも「昔」ではあるが



100年ほどの誤差がある。

最も「楊貴妃が太った女性だった」根拠にされているものは

楊貴妃と玄宗皇帝が、漢の成帝の妃である飛燕の話をしていた時に「飛燕の体があまりに華奢で、成帝が風に飛ばされるのを心配した…」というエピソードに対して、玄宗皇帝が「「お前は、大丈夫だ。」と楊貴妃をからかい、楊貴妃がスネたというものである。

そもそも、楊貴妃は玄宗皇帝に見初められる前から美人で評判だった人物なので、容姿を「からかわれる」ことも整合性がなく不自然である。



このチグハグ感の要因は、このエピソードが書かれている「楊太真外伝」が、宋時代の小説で、楊貴妃の死後から200年くらい経って書かれたものだからである。

もう一つ、楊貴妃が太った女性だった根拠に使われる代表が

楊貴妃と玄宗皇帝の寵愛を競った梅妃という女性の存在である。梅妃は楊貴妃と違い、玄宗皇帝好みの華奢な体型であった。
 
このエピソードは、作者不詳の「梅妃伝」という書物からであるが、梅妃の存在は、正史とされる旧唐書、新唐書、資治通鑑にもなく、そもそも梅妃は架空の人物である可能性がある。

もう少し楊貴妃の時代に近い記述だと

牛僧孺は「周秦行記」という小説の中で楊貴妃を


「纖腰修眸,儀容甚麗」

と表現している。


「腰は細く、目は切れ長で、容貌は整い、甚だ麗しい」というような意味である。



牛僧孺は、楊貴妃が死んだ756年より後であるが、正確な噂を聞けるくらいの時代差ではある。



*写真は1955年の映画「楊貴妃」の京マチ子

楊貴妃と同時代の記述だと

李白は、宮中に呼ばれて、楊貴妃の前で3詩をつくっている。

雲想衣裳花想容
春風払檻露華濃
若非群玉山頭見
会向瑤台月下逢

「雲を見ては君を想い、牡丹を見ては君を想う。春風は欄干を払い、露は花の上で輝いていた。これほどの美女は、もし郡玉山上(仙女西王母の住む山)で会えなかったら、きっと瑶台(仙女がいる高楼)でしか会えないだろう。」というような意味。


仙女なの?それとも仙女なの?と言っているわけである。私見だが、仙女が太った姿で表現されているのを知らない。


*写真は1999年のテレビドラマ「楊貴妃」のアンネ・ヒョン(向海嵐)

一枝濃艶露凝香 
雲雨巫山枉断腸
借問漢宮誰得似
可憐飛燕倚新粧

「妖艶な花に霞が香りを凝固させたようだ。この美しい人を知ったならば、昔、神女に恋こがれたという楚の襄王(じょうおう)は、深い迷いに落ちるだろう。漢の宮殿の美女で、誰がこの人に似ていただろうか。それは、あの可憐な飛燕が化粧したばかりの美しさとでも例えれば良いだろうか…」というような意味。


…風が吹けば飛ぶと言われた華奢な飛燕に例えられている。


*写真は2010年のドラマ「楊貴妃秘史」のイン・タオ(殷桃)

名花傾国両相歓
常得君王帯笑看
解釈春風無限恨
沈香亭北倚蘭干 

「きれいな牡丹の花と絶世の美女と、両側から御心を得て、王は笑みを含んで飽きずに眺める。この美しい花と美しい人が、春風の誘う掴みどころのない憂鬱を払い、今、沈香亭の北、手摺にもたれている。」というような意味。


三つ目は具体的なものがなくヨイショ一辺倒のようであるが「もたれる」という太ってなさそうな表現が使われているのがポイントである。


*写真は2015年の映画「王朝的女人・楊貴妃」のファン・ビンビン(范 冰冰)

「霓裳羽衣」のイメージはやっぱ

宋の時代の中国で、ふっくらした顔が流行った要因には様々な見解があるが、そのふっくら顔が流行った時代に、昔の「絶世の美女」楊貴妃を想像して表現されたものが、現代でも幅を利かせている。

きっと、それを納得したい願望が、我々の中にあるのだろう。

その方が教育上よいのかな?
美女の基準なんて曖昧さって子どもに教えられる。


いかがでしょう?

1