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この記事は私がまとめました

近年、発達障害に関する脳の反応に関する研究と遺伝子研究が大きく進んでいる。2011年にはMolecular Psychiatry誌で「成人ADHDに関する遺伝子」という論文が発表され、ADHDに対する関与が疑われる遺伝子が複数示された。この遺伝子研究の進展により、海外の遺伝子検査では、ADHD他自閉症スペクトラム(ASD)等の発達障害の判定・評価項目があることが普通となっており、成人の自身の治療のあり方の判断やバースコントロール判断の指標にもなっている。そんな中で、MRI/fMRI検査による発達障害の脳の機能傾向(Functional Tendency)の研究とそれを踏まえた最新治療も導入されてきている。このような遺伝子と最新治療を切り口に、発達障害を巡る脳のサイエンスのトピックをご紹介しよう。

DRD4遺伝子とDRD5遺伝子の関与

As for a genetic cause, twin and adoption studies show ADHD to be highly inheritable. Some recent research has focused on genes involved in the dopaminergic neurotransmission system of the brain. Two genes have been studied for their possible genetic links: dopamine D4 (DRD4) gene and dopamine 5 (DRD5) gene.

「ADHDの原因研究の分野における双子研究の結果、ADHDは大変強く遺伝するものであることが示された。複数の研究においてdopaminergic neurotransmission systemに着目した研究がなされてきたが、dopamine D4 (DRD4) 遺伝子および dopamine 5 (DRD5) 遺伝子が強く関与していることがわかっている。」

ADHDに関与する遺伝子群

遺伝子治療の可能性

このようにADHDには既に複数の関与遺伝子が示されているようだ。とすれば、ADHDのような発達障害にも遺伝子治療の可能性があるのではないか。日常的に遺伝子検査と癌の遺伝子治療に携わっている専門医に意見を聞いてみた(インタビュー ベテルクリニック福岡遺伝子治療専門領域の外来発達障害分野 https://asd-adhd-pdd.wixsite.com/asd-adhd-oxytocin/adhd-asd-pdd-asperger-oxytocin 、http://xn--kckg4aa8ftmo69pfkwg2b20eb24akkgl3dzy8ddxjzh1ewxva80z.co-ltd.be/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E8%A8%BA%E6%96%AD%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%B3)。

遺伝子治療専門医「たしかに関与遺伝子がわかっていれば遺伝子治療は可能です。どんな病気の遺伝子治療であれ、ベクターに関与遺伝子を乗せて導入するか関与遺伝子を機能させないようにする遺伝子を導入するかのいずれかの方法によるのですから、発達障害だからといって遺伝子治療ができないわけではありません。ただ、発達障害に関しては示唆されている関与遺伝子が複数ありすぎることが逆に問題です。癌の場合は遺伝子治療の目的となる遺伝子が絞られているので実施可能ですが、関与遺伝子のグループが共通だとしても、その遺伝子グループが5つ以上あるというのでは、現行の遺伝子治療の実施体制では対処できません。むしろこれらの関与遺伝子によって引き起こされるシグナル伝達異常、血流異常を制御するたんぱく質やホルモンによる治療の方が現実的です。ただ、現行の日本における発達障害の治療ではいずれも臨床導入されていません。」

ADHD他発達障害における遺伝子治療は理論上可能ではあるが、関与遺伝子が多すぎることが逆に障害になっているようだ。では、今回意見を聞いた遺伝子治療専門医から話しがでた関与遺伝子によって引き起こされるシグナル伝達異常、血流異常を制御するたんぱく質やホルモンによる治療というのはどのようなものなのか。これを詳しく聞いてみると、どうやら男女関係において信頼関係を築くホルモンが鍵になっているようである。

発達障害の最新治療 オキシトシンによる発達障害の中核症状の治療

ここで、オキシトシンの使用経験のある専門医に、オキシトシンとはどういう薬なのか効いてみた(インタビュー ベテルクリニック福岡発達障害外来 http://asd.bethel.clinic)。

オキシトシン使用経験のある臨床医「オキシトシンは陣痛促進剤として産婦人科でよく使われます。最近では海外の番組やドラマ等で恋人同士の関係性や経営者のリーダーシップに関する描写の場面でオキシトシンがフィーチャーされている影響で、社会的地位の高い方や富裕層の方がそのような信頼構築促進や自己評価向上の目的で処方を求められる場面が多くあります。」
https://asd-adhd-pdd.wixsite.com/asd-adhd-oxytocin
http://xn--kckg4aa8ftmo69pfkwg2b20eb24akkgl3dzy8ddxjzh1ewxva80z.co-ltd.be

「オキシトシンは信頼関係を築くホルモンだ」として言及があった海外医療ドラマ ドクターハウス

発達障害支援の取り組み 福岡県の事例

このように、ADHD他発達障害の遺伝子検査や最新治療の可能性が示唆される一方、これらの未来の治療のあり方の可能性と発達障害の現状・現行の治療体制の現実をつなぐ行政と民間の支援体制も整備される必要がある。このようなニーズに対して、福岡県は国内でも有数の発達障害支援の取り組みを行っている県として知られている。

さらに福岡県では発達障害の診断等を行っている医療機関リストも公表している。

子供の発達障害の支援と新しい制度

発達障害支援のフロントライン

このように、治療法と支援制度を巡る法整備が進む中、支援制度の最前線を担う認可事業所に話を聞いてみた。制度の運用はかなり円滑に行なわれてきているような印象を受けたが、現場でのオキシトシン療法のような最新治療についてのサポートは、まだまだこれからの課題のようだ。

編集部「児童福祉法上の放課後等デイサービス事業のあらましについて教えてください。」

放課後等デイサービス認可事業所担当者「放課後等デイサービスの事業所は、心身の発達に遅れや心配があるお子様、知的障がい・自閉症などの障がいをお持ちのお子様を対象に療育を行う通所型施設です。地方公共団体、小児科精神科といった医療機関と連携して、発達障害のお子様の託児通所のケアを提供しています。」

編集部「この制度の利用者、利用方法はどうなっているのですか?」

放課後等デイサービス認可事業所担当者「児童デイサービスの利用には「受給者証」が必要です。受給者証の受け取りには一定の手続きが必要ですので、お住まいの区役所保健福祉課にお問い合わせいただく必要があります。しかし、発達障害の一定の条件に当てはまるお子様であれば、受給者証の交付は受けられますので、ひとりで悩まずにまずは自治体でも、事業所でも、ご相談いただくことが大切です。」

編集部「現場でのオキシトシン療法に対する認識は進んでいますか?」

放課後等デイサービス認可事業所担当者「ケアを担当する事業所レベルではいまだその認識は一般的ではありません。医療機関によるオキシトシン療法の実施がもっと一般的になってくれば、ケアの現場でのお子様の投薬スケジュール等の管理の場面などでは、将来的にお手伝いできるようになるのかもしれません。」

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