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世界の公的医療保険事情(シンガポール・ブラジル・ベトナム)

公的医療保険は国によってさまざまで、制度も内容も異なります。そして、日本は「国民皆保険」で世界的にリードしてもおりますが、制度のほころびも見えてきています。世界の保険制度から学ぶ点も多くあります。強制貯蓄方式で有名なシンガポールを中心に一部外国の制度をまとめました。

更新日: 2018年02月15日

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orihoanさん

世界と聞いて皆さんはどのようなイメージを頭に描かれるでしょうか。海外に出たことがない方にとっては地図や知識の世界が広がることと思います。旅行や滞在の経験がある方は、そこで生活する人たちの顔、街並みや彩り、音や匂いなどを思い出されるかもしれません。その記憶はその時点での真実です。一方で、世界では常に新しいことが起こり状況は変化しています。

シンガポールにおける社会保障・医療保障制度改革 〜高齢化社会に対応して~

シンガポールの社会保障制度は、CPF(中央積立基金拠出金/Central Provident Fund)と呼ばれる、事業主と労働者からの拠出金によってまかなわれています。給与額の一定割合を使用者及び労働者が労働者個人の口座に積み立て、その積立金が労働者の年金・医療費・住宅購入費等として管理されます。 しかし、加入義務のある者はシンガポール国民と永住権保有者となっており、原則日本からの赴任者に加入義務はありません。そのため、日本からの海外赴任者は民間保険・海外赴任者保険等に加入します。

シンガポールでは、高齢化が急速に進んでおり、医療費の増大に対応し、かつ、高齢化に伴う国民の将来への不安を緩和するため、様々な措置を打ち出しています。2014 年に入り、次々と社会保障・医療保障制度に関する改正が発表されました。

CPF(Central Provident Fund:中央積立基金)は、全てのシンガポール国民及び永住権取得者、及びその雇用者が、給与の中から政府が定める拠出率に従って CPF 専用口座に強制的に貯めていく仕組みになっています。積み立てられた拠出金は、加入者が 55 歳になるまで、特定の理由がない限り引き出しできません。拠出金は①普通口座(住宅・保険・投資・教育資金)、②特別口座(老後の資金)、③メディセイブ(入院費・医療保険)、という3種の口座に分けて積み立てられます。普通口座には年間 2.5%、特別口座及びメディセイブには年間 4.0%以上の利息がつきます。積み立てられた拠出金は、加入者が 55 歳になれば、最低維持残高 155,000S ドル(約 1,400万円)を残して引き出すことが出来ます。老後の経済的な保障の他、住宅・医療・大学ローンの支払いなどにも利用が可能で、総合的な社会保障制度として機能しています。

シンガポールでは、上述のメディセイブを中心に、それを補完するメディシールド、メディファンドといった医療保障制度を整備しています。

メディセイブ

CPF 制度による強制貯蓄で、55 歳までに 43,500S ドル(約 4,000 万円)の積立が義務づけられています。一般外来診療や外来処方箋は対象外で、入院費や慢性疾患、高度医療といった特定の外来診療などの医療費に利用できます。

メディシールド

加入は任意ですが、メディセイブを補完する制度として国民の 8 割以上が加入している医療保険です。メディセイブ同様、通常外来診療は適用外ですが、公立病院における入院治療や高額検査、一部の外来診療に適用できます。90 歳以上の高齢者は適用対象外です。
シンガポール政府は、今後メディシールドの制度を大幅に見直し、2015 年末にはメディシールド・ライフという新制度へ移行することを発表しています。新制度では、適用年齢制限の撤廃により一生涯保障となり、給付対象外だった既往症にも適用範囲が拡大されます。また、従来は任意加入だったものが今後は強制加入となり、保険料が引上げられ、個人の負担も増えることになります。低所得者層には保険料補助制度が創設される予定です。

メディファンド

医療費を支払えない低所得者に対する医療費補助を目的とした基金で、セーフティーネットとして位置づけられています。公立病院の医療費の支払いにおける補助で、メディセイブやメディシールドを使用しても不足する場合にのみに適用されます。

※ シンガポールでは、通常外来診療は各種医療保険からは対象外ですが、一般外来診療の多くは公立病院で行われており、診療費は処方箋を含め 1 回の受診で 20〜30S ドル程度(約 1,800 円〜2,700 円)におさえられています。

↓↓わかりやすかった厚労省のページリンクです。

今後、現在の日本と同様に超高齢化社会に進んでいくシンガポールですが、着々と制度改革が行われており、今後も目が離せません。

無償で医療を受けられるブラジルの実情

たとえばブラジルでは統一保健医療システムが導入され、国民は無償で医療を受けられることになっています。すばらしいシステムに聞こえます。しかし人口2億40万人に対し、認定病院は6100施設。その施設数は公的医療保険をカバーするには充分といえないため、認定施設では多くの受診者が長時間待たされる状態のようです。

医療支出の内訳をみても、日本の公的医療支出の割合が82%であるのに対し、ブラジルの公的医療支出の割合が48.2%に留まっており、この点からもブラジルの公的保険制度の使いにくさが垣間見えます。

公的医療保険の普及を目指すベトナムの課題

ベトナムは、公的医療保険制度の普及を目指す国のひとつです。健康保険法により国民の健康保険登録が可能で、その加入率は2012年9月時点で68%を達成。2020年までに80%の保険加入を目指しています。(JETORO)

日本と異なる点として、この健康保険を適用できるのは、登録時に指定した1か所の医療機関で医療をうける場合のみとなります。

そのため他の医療機関を受診したいときは、登録した医療機関による紹介が必要で、それが面倒な場合は健康保険に頼ることなく自己負担での診察を選択するケースもあるようです。

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