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parumさん

光文社文庫

凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり…。(「蝿男」)先の読めない展開と思いがけない結末―短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。

若竹作品というと、どちらかというとコージー系やコミカルなお話という印象だが、本作はちょっとそれとは一線を画す。
全編を通し、なんというのか、人間が心の奥底に持つ仄暗い悪意、というのか、謎を解くたびにそういうものをえぐりだす。
本書に限っては、読んでいて気持ちがほんわかする、というような話を期待してはいけない。(タイトルからして、そういうものは期待しないかもしれませんが

戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫び―悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

介護の問題なんて当事者にならなければリアリティ感じられないけど、この本はそれを現実の物として提示してくれる。長生きって本当に幸せなことなのか。そういうことを深く考えさせられる話だ。

期待の大型新人が紡ぐ、ひとりの女の壮絶な物語。

平凡な女、鈴木陽子が死んだ。誰にも知られずに何カ月も経って……。
猫に喰われた死体となって見つかった女は、どんな人生を辿ってきたのだろうか?
社会から棄てられた女が、凶悪な犯罪に手を染め堕ちていく生き地獄、魂の叫びを描く!

生活環境が悪化し、生存のギリギリのところまで追い込まれる描写は、サスペンスとしては異例なほどである。
これこそが筆者が描きたいことなのであろう。
結果、サスペンスなのに、社会問題を取り扱った、秀逸なルポルタージュのような読後感である。

集英社

望、妬み……、ふとしたきっかけで、自分の中に潜む闇が表出し、人生が思わぬ方向に転がりはじめる。日常を突き詰めて、あぶり出される恐怖、奇妙さ、甘美を多彩に紡ぐ短編集。不況のあおりをうけて、引越した団地での人間関係の濃さに戸惑う家族を描く表題作「コミュニティ」、大人の恋愛の切なさを美しく綴る「夜のジンファンデル」などデビュー当時から約10年間に発表された秀作を収録。

人の中にある妬みやしたたかさをとてもわかりやすく書いています。短編だからすごく読みやすい。皆自分の事しか考えてない。ずる賢い人々です。実際世の中そんな人間が多いからリアルに恐い。不倫女の恐ろしい心情やプラトニックラブな既婚者男女どうしの自己中な考えかたがとてもうまく表現されています。
団地妻達の恐ろしい話も実際あるんじゃない?と思える作品でした。人間の悪の部分をみたいならお勧めです。

きっかけはパワハラだった!トップセールスマンのエリート課長を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下だった。そして役員会が下した不可解な人事。いったい二人の間に何があったのか。今、会社で何が起きているのか。事態の収拾を命じられた原島は、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫る。ありふれた中堅メーカーを舞台に繰り広げられる迫真の物語。傑作クライム・ノベル。

双葉社

3つの「点」が繋がったとき、真実の「形」が浮かび上がる!東京、埼玉、愛知。日を違えて起きた殺人事件。巧みに姿を隠す犯人に捜査は膠着する。だが、ひとりの捜査員は気がついた―。これぞ、警察捜査小説!

「贖い(あがない)」とは、一般的に「罪のつぐないをすること」という意味。
ただ、宗教的には、例えば「犠牲の代償を捧げることで、罪のつぐないをすること」等、もっと深い倫理観があるようです。
本書は警察小説のスタイルを取りながら、本質はこれをテーマにしています。
点が散在するがごとく、各地で事件が発生し、未解決な状態が続き、やがて集約していきます。
上段下段で472頁あり、どっぷりとディープに、ミステリアスで、サスペンスなゾーンが展開していきます。
そのうえで、「贖い」に主眼を置き、現代社会に見受けられる陰湿な見えない苦しみに対して、一石を投じています。
後半、特に結末あたりでは、その倫理感が重くのしかかってきます。

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。あの子さえいなければ。私さえいなければ…。凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。衝撃の母子小説。

女性は特に、「自分と似ている」「わかりあえそう」と思った時に、心を開く。
しかし、それはある意味幻想なのだ。

自分と全く同じ経験をしてきた人はいない。
自分と全く同じ感じ方をし、また同じ考え方をする人はいない。
それなのに、ほんの少しの違和感を許さない、徹底的に同質化しようとするところに、女性同士の友情にありがちな「閉塞感」が生まれるのではないだろうか。

子供が同じ年で、近所に住んでいる、それだけの共通項しかないのに、「自分たちは似ている。きっと自分の全てをわかってもらえる」と思い込んでしまったところに、彼女たちの悲劇の入り口がぽっかりと開いていたのではないだろうか。
角田光代さんの筆は、登場人物それぞれの女性の心の闇を、恐ろしい力量で書き込んでいく。
終盤、本が手放せなくなり、悪夢にうなされた。やはり、恐ろしい作家だと、つくづく思う。

講談社

殺人者は極刑に処すべきだ。親は子の罪の責任を負うべきだ。周囲は変調に気づくべきだ。自分の子供が人を殺してしまってもそう言えるのだろうか。読み進めるのが怖い。だけど読まずにはいられない。この小説が現実になる前に読んでほしい。デビューから10年間、少年事件を描き続けてきた薬丸岳があなたの代わりに悩み、苦しみ、書いた。この小説が、答えだ。

世間で騒がれた少年犯罪は多い。
その当事者になったとき、私は果たして吉永のように強く生きていけるのか…
しかし、子供のこととなれば、そうするしか道はない。
子供を救えるのは親しかいない。

一気に読み終えたけれど、苦しくて涙が何度も出てきた。
親も生きるのに必死なんだ。でも、それは親の言い訳なのかな。
とにかく考えさせられる作品だった。

「週に3度、他の男とセックスすることを習慣にして」いる主婦・麻美。彼女の不倫相手が、次々と身体全体に瘤のようなものを作って原因不明の死を遂げる。彼女自身の肉体にも異変が起こる。女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは……。メフィスト賞受賞作。

綺麗なコスモスのカバーですが、中味はかなりキモい!
謎の寄生虫に蝕まれた人々の話ですが、あまりにリアルすぎて、お腹がいたくなる。
しかし、一番キモいのは、その人間関係。
仲良さそうな親子、姉妹、近所の奥さん。
でも、その裏側は嫉妬と猜疑心がとぐろを巻いている…。
その黒い感情こそが、寄生虫そのものなのかもしれない。
冒頭はホラー、中盤からミステリ的な展開で、とにかく一気読みでした。

通り魔事件によって娘の命は奪われた。だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた男に近づこうとするが…。人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。

精神鑑定によって不起訴になった加害者、家族を殺された被害者と、その関係者、
といういくつもの視点で話が進んでいく。
非常によく構成されていて、混乱なく一気に読める。
加害者サイドの物語によって
刑法39条について、単純な批判をするのではなく、意味を考えさせられるのが
この小説の優れた点だろう。
伏線も張り巡らされて、ミステリーとしても成立しているし、
それがすべて「刑法39条」を考える材料になる。

夫婦にも親子にも恋人にも「裏」がある。女性4人が繰り広げる極限のサスペンス!千夏子…ブログに虚偽の「幸せな育児生活」を書くことが止められない主婦。結子…年下の夫とのセックスレスに悩む、アパレル店の店長。春花…ストレスで過食に走り、恋人との結婚だけに救いを求める保育士。柚季…優しい夫と娘に恵まれ、円満な家庭を築いているように見える主婦。それぞれの思惑が意外な形でリンクする時、絶望と希望の天秤が激しく揺れる

メフィスト賞受賞作=ミステリーの先入観で読むと、肩透かしにあいます。物語の導入部分はサスペンスの雰囲気が出てますし、4人の女性の視点や心情で構成される構図は、最後は一本の線に繋がっていくという期待感があります。確かにその流れはあり、ラスト近くはハラハラしたり、意外な展開とも言えなくもありませんが、ミステリーというよりも妻、そして母親としての葛藤のドラマという印象です。

育児、結婚そして夫婦生活等の悩みを抱える女性の心理や感情の表現は巧みで、共感を得る方もいらっしゃると思います。一方、女性たちを囲む夫や親族などは薄気味悪くうすら寒いです。問題の原因は、誤解やコミュニケーション不足、思い込み等であったりしますが、簡単なようでいてその解決や改善が、如何に難しいかも教えてくれる気がします。

ごく普通の主婦であった彼女たちがなぜ仲間の夫の死体をバラバラにしたのか!?

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点!

ヨシエをはじめとする深夜パートの女性たちの閉塞感がすごい。その息苦しさに飲み込まれ、死体の解体でも何でも応援してしまう。「何とかして幸せになってくれ。閉塞感の出口(OUT)を見つけてくれ。」と。

角川書店

母と弟の2人で暮らす小学6年生の杉原美緒。母はアルコールに依存し、親類に引き取られた美緒は心を閉ざしていく。そんな折、元検事の永瀬丈太郎という初老の男と出会う。美緒は永瀬の人柄に心を開いていくが、彼はひとり娘を誘拐されており、大きな心の傷を抱えていた。数年後、美緒は事件を調べ始め、余りにも哀しい真実を知る―。家族とは何か。赦しとは何か。今最も注目を受ける気鋭が贈る、感涙のミステリ巨編

人物たちの抱える闇にしても、事件性にしても、展開の全てが濃厚です。もちろん世の中にはより凝っている重い小説があるでしょうが、この小説も軽々しく読むと後悔する本だと思います。それに割合スローテンポなところも苦痛になるかも知れません。どのような内容でも自分の中で昇華出来る読者さん向けだと思います。

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