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蛭子能収(えびすよしかず)

1947年生まれ。
長崎県長崎市育ち。

1973年『ガロ』デビュー。
以来、特異な作風で注目を集め、
ヘタウマ漫画家としての地位を確立する。

1980年代後半からはタレントとして
数多くのテレビ番組に出演している。

まず、始めに言っておきたい。

蛭子能収は天才である。
蛭子能収は悪魔である。

一頃、世間では蛭子能収は人畜無害でつまらない漫画ばかり描いている人だと、勘違いされている時期があった。

最近は、根本敬や浅草キッドによって蛭子能収の悪魔伝説が広められたおかげで、人畜無害だとか、いい人だとかいう間違ったイメージはある程度薄れつつあるのではないかと思う。しかし、天才作家であるという事実は、なかなか認識されていない。

蛭子能収の漫画とは、生活の不満と日頃の欲望と異常な想像力と不気味な絵と、これら全てがぶち込まれた狂気の塊なのだ。

蛭子能収とは、宇宙の真理そのものなのである。真理とか言ったところでその正体について俺たちは何も知らないが、とてつもなく恐ろしいものである様な気がしてならない。

徹底して無意味で残酷な作品ばかり
悩みなんかぶっ飛ぶほどの無意味とえげつなさ。

逆の意味で人生解毒剤。
癒し本より癒される異常と無意味。
みなさんもうちょっと、この人の価値を認めてあげてください。
「クール・ジャパン」て、こーゆうの言わへんの?

蛭子さんが漫画家だっていうのは知っていたけど、あんな壮絶なものを描いているとは知りませんでした。描かれた時代的に言っても元祖ヘタウマっていう世代ではないでしょうか。

──どんな漫画を投稿されたか覚えてらっしゃいます?

蛭子「狂気が彷徨うというタイトルなんですけど、内容はなんだったけなぁ、男と女が同棲していて、男が相手の女を殺すっていう(笑)」

──ストーリーはまったく伝わってきませんけど、ヤバさだけはビンビンに感じますね(苦笑)

蛭子「たしか理由もなく何か相手がうっとおしくなっちゃって『目の前のこの人がいなければ自由だ』と思い始めて殺してしまうという、そんな漫画でした」

──たったそれだけですか?

蛭子「それだけです(笑)」

──どんな惨殺シーンを描いたんですか?

蛭子「電気コタツのコードで首を絞めて、絞めてるコードの布がビリビリに破れて、段々と中の銅線だけになっていって、その銅線がグーッと首に食い込んでいくんです。快感ですねぇ(満面の笑みで)」

──うわぁ……ちなみに総ページ数とその惨殺シーンに割いたページ数は?

蛭子「総ページ数は18ページで惨殺シーンが10ページだったかな…」

── どこかで願望みたいなのがあるとか?

蛭子「願望もあると思いますね。上京したての頃に勤めていた看板店の寮が相部屋で同僚の男と二人で住んでたんですけど……」

── まさかその男性を作品中の惨殺される女性に見立てて?

蛭子「二人で住んでると一人でいるのと比べると自由がないんですからね。そのとき一番許せなかったのは、その相部屋の男が優しかったんですよ」

── 優しさが許せなかった?

蛭子「優しいから何の文句も言えないですし、こっちも優しいふりしなきゃならないし、それがすごい窮屈で窮屈でめんどくさくて」

── 殺したいくらいに?

蛭子「まぁ、そうですね(サラリと)」

蛭子能収は蛭子能収という宇宙に住む蛭子能収という宇宙人だ。たかが漫画如きが、つまる、つまらないといった次元の話など蛭子宇宙の内部では全く問題にならない。

出典「お前は黙ってろ!―あとがきにかえて―」 根本敬『人生解毒波止場』(洋泉社)

以下の話が収録されています。

地獄に堕ちた教師ども
勝手にしやがれ
仕事風景
疲れる社員たち
愛の嵐
超能力
真夜中のパーティ
仁義なき戦い
地獄のサラリーマン

…以上です。

抗う事もできず、ただ受け入れる事しかできない不条理な世界。はっきり言って、これは悪魔が見せる悪夢だと思う。もしくは狂人が見る幻覚か。

しかし、悪夢であれ、狂人の幻覚であれ
これが最高に面白くて魅力的なのは間違いない。

それは、この漫画が人間の内に潜む得体の知れない部分を鋭く突いて刺激してくれるからではないかと思う。

根本敬は蛭子能収を「狂気を内側から描いている人」と言っていたが、この頃の作者はまさに、気ちがいであり天才だったのだ。

もし、この頃のブチ切れた蛭子能収を知らない方がいたら、絶対に読んだ方が良いと思う。

おそらくは、今までもこれからも、
こんな作家、こんな漫画は他にないだろうから。

漫画のひとりセックスピストルズ!
破壊せよ、とエビスが叫ぶ!

出典青林工藝舎『地獄に堕ちた教師ども』都築響一の帯コメントより

( ×H×)y-~~そういえばボクは蛭子能収氏をマンガ家として先に知っていた…ので、テレビで見たときびっくりしたよ。 目を血走らせたガリガリの男がシャブきめながら全裸で描いているようなイメージだったから。

文春で立花隆が蛭子さんの本をほめていました。キチガイという言葉で。

あの精神分裂漫画の作者である異形の親父がよくぞここまで茶の間に浸透したもんだ。しかもキチガイじゃなくって、人畜無害のお人好しってことでだから驚く。だが、そういうもんをすべて取っ払ったうえでも、これだけは絶対に言える。

うわべの素朴でお人好しなキャラクターとは裏腹に、その無意識、深層、いや存在の根源においてこれほどしたたかな奴は世界中探してもいないってことを。

出典別冊宝島250 『トンデモ悪趣味の本』(宝島社 1996年) 「蛭子能収インタビュー 茶の間のピンヘッドは無意識の殺人者!?」文&画=根本敬(特殊漫画家)

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鬼畜系/電波系/特殊漫画/面白主義/快楽主義者

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