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【クルマのウンチク】 エアバッグは安全か

人の生命を守ることに貢献してきたエアバッグが、殺人エアバッグと言われている様は、さすがに、聞くに耐えないところがある。エアバッグとは、果たしてどのようなものなのか、あらためて確認しておこう。編者の個人的見解は末尾にて。

更新日: 2016年12月29日

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出典carnny.jp

エアバッグの正しい名称にはSRS、すなわちサプラメンタル・リストレイント・システム(補助拘束装置)の略語がつく。補助である理由は、シートベルトを着用していることが前提で、安全さを達成するところにある。基本的には、衝突を察知してから0.040秒後に展開が完了する。したがって、衝突感知センサーとガス発生装置が円滑に起動してこそ成り立つ仕組みでもある。

エアバッグの仕組みは、まず、車体前部に装備されているサテライトセンサー(衝突検知センサー)が衝突を検知し、ECU(エンジンコントロールユニット)の衝突診断回路に信号を送ることから始まる。そして衝突判定がなされ、エアバッグを膨らませる判断が出た場合、インフレータ(ガス発生装置)に点火指示がいく。エアバッグは、その燃焼による化学反応で得られるガスで膨らむ。エアバッグは人間の瞬き速度(100~200ms)以上の速さで展開される。

▼知っていました?エアバッグの正式名称につく「SRS」の意味。

【SRS】
「Supplemental(補助) Restraint(拘束) System(装置)」の頭文字から取られた略語。乗員を拘束するシートベルトを補助する装置という位置付けになる。シートベルトが100%の仕事をしても補い切れない部分を、エアバッグがフォローしている。

すなわち、エアバッグが単独で機能して、乗員の安全を守っているわけではないことに注意。シートベルトとの一体的な仕組みである。両者の仕組みが、一定の時間差を置いて、普及し出したため、この点がなかなか理解されていない。繰り返すが、「SRS」の補助という部分を理解することで、エアバッグの位置づけや機能の仕方を正しく学ぶことができる。

エアバッグが1987年に実用化されたのは、アメリカの法規制により「1987年までにシートベルトに変わる安全装備の発売」が求められたからだ。エアバッグの効果を発揮するにはシートベルトとのセット装着が必要であると主張したのはボルボだという。これが、現在のSRS(補助拘束装置)エアバッグの名称にもつながった。

現在日本国内で使われているエアバッグは、メーカーが決めた条件で前面衝突した時に膨らみ、シートベルトの働きを補助して乗員に重大な傷害が発生しないように作られている。エアバッグはシートベルトを着用しないと十分な効果が期待できず、エアバッグが作動した事故ではシートベルトを着用していなかった場合に死亡率が約8倍も高くなっていることに注意しよう。

▼エアバッグの歴史。

小堀保三郎、1964年(昭和39年)には独創的なアイデアのもと、自動車の安全ネットの開発を手始めとしてエアバッグの開発に着手した。1899年生まれの同氏はこの時、65歳だった。同氏は特許も世界に出している。衝突時の乗員保護のシステムと称し、衝撃加速度検出装置、エアバッグ(弾性防御袋)、気化ガス発生装置などをもって構成されていた。1967年にはNHKのドキュメンタリーにも登場している。

エアバッグの考案者は、日本の小堀保三郎氏。航空機事故などの衝撃を緩和させ、生存率を高める装置として1963年に考案した。その後、イートン社が1967年に自動車用乗員保護装置への応用をし、1973年にアメリカのGMがオプションとして初採用した。日本で最初に採用した車種は、1985年のホンダ・レジェンドとなる。今日、車のエアバッグを構成する要素は、バッグ、インフレーター(ガス発生装置)を含む展開装置、センサ、制御ユニット。意外と見落とされやすいのは、エアバッグを素早く、正確に展開させるために、バッグの折りたたみ方、展開口に対してどのように格納するか、といった点である。

エアバッグの歴史は意外に古く、イートン社が衝突時の救命装置として発表した1967年までさかのぼる。1974年にはGMから発売されている。今日普及が急拡大した背景には、アメリカでの安全装備に関する法制化の動きがあげられる。ただし、ハンドルやインストルメントパネルに取り付けられたエアバッグの効果は前面衝突に対してのみ有効である。ゆえに、側面や後面衝突への対策が必要とされるようになった。エアバッグの特殊性としては、電気系統以外は機能チェックができない点、またかなり幅広い技術や素材が使われている点、さらに終生使われることのない可能性が高い部品であることだ。

1987年、日本で初めてエアバッグを搭載したのがホンダのレジェンド。1971年にエアバッグの基礎研究をスタートさせてから実用化まで16年の年月をかけて開発した。ホンダのエアバッグは搭載する車種に最適なつくりにするために、開発者自らミシンを操り開発に取り組んでいると言う。開発者はいわばミシンの達人だとか。今回の新型エアバッグ(2008年)も、開発者がミシンを操り、うずまき状の縫い方や縫い目の長さを決めていった。ミシンの達人だからこそ、実現できた技術とも言える。

▼エアバッグに関する注意事項。

エアバッグの展開にかかる時間は一瞬で、時速に換算すると100km/hから300km/hに達する。運転席と助手席のエアバッグは、車速が30km/h程度以上のスピードで前面からぶつかった場合に衝撃をセンサーが感知して展開する。ただし、縁石や路肩に乗り上げた際に衝撃をセンサーが感知してしまうこともあるという。エアバッグ自体は膨らんでも、すぐに収縮するように作られており、視界が遮られてさらなる事故(二次被害)につながることはない。

▼エアバッグが車内に広がっています。

日産は、日本で初めて運転席SRSエアバッグシステムの標準装備を開始したほか、高級車のための装備と考えられていたSRSカーテンエアバッグシステム(前後席の乗員頭部を保護)を日本で2002年に発売したマーチにも採用するなど、一貫して積極的に取り組んできた。車が衝突される方向は、前方ばかりとは限らず、特に死者数の数で比較した場合、側面に近いところでもかなりの数になることが分かる(図の統計数字参照)。

パッシブセーフティ(衝突安全)は、「SRSエアバッグ」で、日本車では1990年から採用が始まった。ただ、あくまでもこの流れは、3点式シートベルトから来ており、SRSはその補助的役割である。最近のシートベルトは、緊急時に固定されるELR(緊急ロック式巻き取り装置)付き、また衝突時にシートベルトのゆるみを巻き取るプリテンショナーが装備されている。さらに、エアバッグ自体も進化し、その数が増えていく(リンク先参照)。

欧米では、ほぼ標準装備化されたサイドエアバッグ。しかし、日本では一部を除きほとんどオプション設定である。また、欧州の自動車アセスメントであるEURO NCAPには、側突試験の他にサイドポールと呼ばれる試験が取り入れられているが、日本のJNCAPは、安全装備の標準装備化が評価の対象になっていない。ゆえに、安全装備の選択はユーザー側に任されているのだ。とは言え、カーテンエアバッグやサイドエアバッグの標準装備化は、当然の流れだとも言える。日本では、2018年6月15日以降の発売分から適用となりそうだ。

エアバッグが車両に標準装備され始めた当初は、運転席のみに搭載されていたが、今はその対象部位が広がっている。たとえば、サイドエアバッグは、横方向からの衝撃に対して乗員の胸部への衝撃を緩和するためのものだ。本体はいずれもナイロン製の織物で作られており、内部はゴムでコーティングされている。電子制御によって、火薬が着火し、本体が開く仕組みだ。ただし、開く開かないの判断やその速度は、様々なセンサーが調整している。こうして見ると、エアバッグの仕組みは必ず複雑で、かつ高度だ。逆に言えば、「よくここまで普及した」ものだ(まとめ編者の実感)。

「インフレータ」とは、自動車のエアバッグシステムの中にあり、バッグを膨らませるためのガスを発生させる装置だ。目をまばたきする時間よりも短い時間(約0.02秒)でバッグの中にガスを供給する高度な技術が必要で、ダイセルが培ってきた火薬燃焼に関するノウハウがそれを実現させたという。意外なのは、着火方式にいくつかあり、同社の記述によると、火薬に着火してガスを発生させる「パイロ」方式、高圧ガスを放出させる「ストアードガス」方式、そしてその合わせ技である。

【新型Golf】9個のエアバッグを標準装備するとともに、音響センサーの導入によって衝撃に対する反応時間の短縮も実現。運転席/助手席の「フロントエアバッグ」、前席/後席の「サイドエアバッグ」、サイドウインドー全体を覆う「カーテンエアバッグ」に加え、運転席には「ニーエアバッグ」を採用し、クラストップレベルの乗員保護性能を備えている。エアバッグを含む同車の安全機能は、欧州の公的自動車安全評価であるユーロNCAPにおいて、最高レベルの5スターを獲得している。

▼素朴な疑問。エアバッグは世界で同一の扱いを受けているのでしょうか。

普及が進んだ安全装備の代表的なものとして、衝突安全ボディ、エアバッグ、ABS、横滑り防止機構などが挙げられる。前席エアバッグは軽自動車も含めて100%標準装備となっている。しかし機能によっては標準とされていない(リンク先参照)。最大の理由は、日本では「そこまではユーザーが望んでいないから」だ。たとえば、ドイツでは標準装備化が進んでいても、日本ではそうならないのは車の走らせ方が違うからでもある。

▼さて、そんなエアバッグが、タカタのリコールで大変なことになってしまいました。

日本の「タカタ」社製造のエアバックの不具合による米国での死者数が11人に達した。
(2016年10月20日、米国の国家道路交通安全局;NHTSAの発表)

英語の説明ですが、タカタのエアバッグ問題の解説がなされています。

エアバッグを膨らませているのは、ガスを発生させるための火薬である。初期のエアバッグではアジ化ナトリウム系の火薬が使われ、ガス発生剤として、タカタは硝酸アンモニウムを、日本のダイセルやスウェーデンのオートリブは硝酸グアニジンを、火薬として使っている。記事当時のタカタの回答要旨:硝酸アンモニウム自体が危ないということはない。しかし、「転移」という欠点がある。これを相安定化という技術で解決してきた。多湿地域での吸湿によって相安定化に悪影響を与えた可能性はある。(詳細はリンク先参照)

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