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カナベーロ氏は、手術が18時間に及んだと指摘。手術では背骨、神経、血管を「つなげる」ことに成功した。

エリンとアビーのデレイニー姉妹
© 写真: THE CHILDREN’S HOSPITAL OF PHILADELPHIA
頭部が結合した双生児 米で分離成功【動画】
カナベーロ氏によると、頭部移植手術が中国で行われたのは、欧米の医師の支持を受けられなかったためだ。
2015年カナベーロ氏は、希望者の頭部をドナーの胴体に移植し、「ジェミニ」と名づけた神経結合方法で脳と神経をつなげるプロジェクトの開始を宣言。

人類初の実験を受けることに同意したのは、筋ジストロフィーのため車椅子を用いるロシア人プログラミストのバレリー・スピリドノフ氏だ。

世界初の人間の頭部移植手術を準備中のイタリアの神経外科医、セルジオ・カナヴェロ医師

世界初の人間の頭部移植を行おうとしているのは、イタリア人の医師、セルジオ・カナベーロ(Sergio Canavero)氏。

『メタルギアソリッドV ファントムペイン(MGS5)』に登場する医師にそっくり

さて、カナヴェロ博士は、自身の構想する頭部移植手術を「Head Anastomosis Venture(頭部吻合事業)」、略して"HEAVEN"と名付け、「現代の医療技術で十分に可能なことである」と主張している。その驚愕の手順とは、次のようなものだ。

 まず、健康体のまま死んだドナー(身体の提供者)と、スピリドノフ氏の2人を、同時に頭部と胴体に切り離す。そして「ポリエチレングリコール」という化合物を接着剤のように用いて、スピリドノフ氏の頭部とドナーの身体を結合。さらに脊髄・筋肉・血管を縫合するという。その後、頭部と身体がしっかりと結合して傷が癒えるまでの4週間程度、スピリドノフ氏は昏睡状態に置かれる上、拒絶反応を抑えるために強力な免疫抑制剤も投与される。しかし目覚めると、新しい身体を自由に動かせるようになり、自らの声を失うこともないのだとか。

なお、手術時間は36時間、費用は1,000万ドル(約12億円)、サポートに当たる医師や看護師は150人程度が必要になると見込まれている

ヴァレリー・スピリドノフ

スピリドノフさんは、筋肉や脊髄神経が次第に委縮していくウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffmann)病を患っており、幼児期より車椅子での生活を余儀なくされている。通常、この病気の罹患者は、20年以上、生きられない。スピリドノフさんは、現在、32歳だが、携帯電話より重いものを持つことができない

ロシアのプログラマーのヴァレリー・スピリドノフさんの頭部移植手術が、2017年12月に行われる。本人によると、それにはロシアのテクノロジーも用いられる。

スピリドノフ氏は、脊髄性筋萎縮症という遺伝性疾患を抱えている。これは、全身の筋力低下が起きるとともに様々な障害を併発し、患者の多くが20歳を迎える前に死亡するという不治の病だ。今から2年前、スピリドノフ氏は、以前から頭部移植手術について研究してきたカナヴェロ博士と連絡を取り始めた。自らに残された時間が少ないことを悟り、「たとえ大きなリスクがあろうとも、健康な新しい身体を手に入れたい」と、最後の望みに託すことにしたのだ。

出血を補うための「青い血」

カナヴェロ氏によれば、手術の成功は、ほぼ100%ロシアの薬剤「ペルフトラン」にかかっている。この血液の代用品があれば、頭部を人体から切り離す際の大量出血の問題をクリアーできる。

 「ペルフトラン」は、ロシア科学アカデミー理論実験生物物理学研究所の生物物理学者フェリクス・ベロヤルツェフによって1980年代に生みだされ、その色から「青い血」とも呼ばれた。この薬剤は、すぐれた血液ガス運搬機能および末端の毛細血管への高い浸透性をそなえている。

 イタリアの外科医に「ペルフトラン」の利用を勧めたのは、それを開発した研究所の職員たちで、現在、研究者らは、動物への頭部移植でこの薬剤をテストしている。

血管のドナー

血管移植外科医アナトリー・トローシン氏は、手術がうまくいかなかった際にスピリドノフさんの命を救う新たな方法を提案した。現在、トローシン氏を個人的に知るスピリドノフさんとカナヴェロ氏は、その利用の可能性を検討している。

 トローシン氏は、人体から切り離される頭部を宇宙服に似た特殊な容器に収めてからスピリドノフさんの親族かもしれないドナーの循環系へそれを接続することを、提案した。同氏は、「外形上、この容器は、血液の自発的ドナーにとって身につけやすく常に装着していられるものとなる」と記している。

 シャム双生児の効果に似たものが、得られる。特殊なセンサーが、頭部保護のための免疫抑制薬を血液に送ることを可能とする。頭部を通った血液は、ドナーへ戻るまえにフィルターによって浄化される。

トローシン氏は、自身のメソッドを学術論文の形で発表するばかりでなく、移植に関するすでに3作目のSF小説「頭部移植は可能そして必要か?」を上梓してもいる。
 トローシン氏は、こう語る。「頭部間の心理的な不適合性の推移を予見することは、不可能だ。問題は、ドナーの交換を何度も繰り返すことによってのみ解決でき、今のところ、心理的に最も適合するペアは見いだされていない」

移植後のリハビリ

N.N.プリオロフ名称外傷学整形外科中央研究所(CITO)は、磁性ナノ粒子を用いて損傷した脊髄の機能を回復させる実験を行っている。磁性ナノ粒子を体内に取り込んで磁場へ導くなら、それらは、損傷した軸策(神経突起)の癒着を速める。

 現在、脊髄が部分的に損傷したマウスは、ナノ粒子が体内に取り込まれると、数週間後には可動性を回復する、ということが判っている。

 また、同研究所(CITO)の外傷学整形外科の教授ゲオルギー・ステパノフ氏は、患者自身の血管および別の組織の神経を移植の際に用いることを提案している。同氏によれば、これは、ドナーの生体の拒絶の問題を払拭する。同教授の研究グループは、特許を取得し、162人の患者の手術を成功させている。

 しかし、ヴァレリー・スピリドノフさんによれば、今のところ、同研究所は、協力に関する決定を行っていない。

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