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<オーストリア大統領>リラベルVS極右 進む反EU

オーストリアでは2016年12月22日、大統領選挙の投票が行われました。しかし、この選挙は5月決選投票で開票作業にて不正があったとして、やり直しの末に行われたものとする異例のことでありました。

更新日: 2017年01月17日

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東洋Jr.さん

この選挙は自由党のノルベルト・ホーファー国会議員と緑の党出身のアレクサンダー・ファンデアベレン元党首の一騎打ちでした。
結果は49.7%対50.3%(30,126票差)という紙一重の差でアレクサンダー・ファンデアベレン元党首が勝利した。では、この大統領選挙での今後の見通しと舞台裏を見ていきたいと思います。

リラベルと極右とは?

世界中のメディアが、人口850万の共和国に注目したのは4月。同国の大統領選挙で極右政党のノルベルト・ホーファー議員(写真左端)が、与党候補を大きく退けトップの座に躍り出たからだ。選出されれば欧州で戦後初の極右大統領が誕生してしまう。得票が過半数に至らず決選投票となり、連立与党の候補(写真中央の二人)はいずれも惨敗。極右候補と難民保護を訴える左派候補アレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏(緑の党元党首・写真右端)の一騎打ち、まさに水火の争いとなった。

勝利したファンデアベレン氏はリラベル系緑の党出身、対するホーファー氏は極右出身ということで、このリラベルと極右とは一体何なのか?という所から調べてみると、リラベルとは一言で表すと「自由主義」です。
で、その自由主義とは国家や集団の権威などによる統制に対し、個人などが自由に判断し決定することが可能であり自己決定権を持つとする思想や体制のことを言います。
ちなみに語源はラテン語のliber(社会的・政治的に制約されない)(負債を負っていない)という意味を持ちliberty(自由)などの語源となりました。

対する極右とは、急進右翼ともいわれ極端に右翼的な思想・個人・集団のことを指します。
日本にも右翼・左翼という集団は存在しますよね?
性質は同じだと思います。ただ、極端に民族主義で他の何よりも絶対的に優越するという信条のもとに他民族の排除ならびに従属化を肯定とする自由族至上主義を本質とします。

両者の争点

今回も両氏の一騎打ちとなる。自由党は欧州連合(EU)の経済、移民政策に対する不満を背景に人気を伸ばしてきた。ホファー氏は先月、ドナルド・トランプ氏が米大統領選を制したことでさらに弾みをつけたとの見方もある。
同氏は当初、EUからの離脱に向けた国民投票の実施を支持するとの姿勢を示していたが、最近は立場を修正している。自由党の報道担当者がCNNに語ったところによると、同氏はEU内の分権化やオーストリアの役割強化を目指す構えだという。
一方のファンダーベレン氏は両親が一時難民キャンプに滞在していたこともあり、移民に寛容な政策を主張してきた。
オーストリアの大統領は現在、象徴的な存在にとどまっているものの、欧米各地で既存政治への反感が強まるなか、国民がどちらの路線を選択するのかが注目される。

では、この大統領選挙で最大となる争点は何なのか?
それはバルカン半島ルートを北上してきた「難民問題」。これに尽きると思います。

昨年、人口の1%強(850万人中9万人)がオーストリアで難民申請を行った。人口100万人あたりの新規難民申請者は、昨年の10~12月期に3590人に下がったがEU域内ではスウェーデンの9015人とオーストリアが断トツに多いことが分かります。

ホーファー氏はファイマン前政権の難民に対する「門戸開放」に徹底して反対しこれが支持率を上げる原動力となった。
これに対しファンデアベレン氏は、両親が一時難民キャンプに参加していたこともあり移民に寛容な政策を主張してきた。そして「半極右」というスタイルを徹底して選挙に臨んだ。
極右の大統領という異常事態を何とか阻止しなければという思いで防ぐことに成功し見事勝利しました。

極右の国民戦線が台頭するフランスや民族主義を強める新興政党「ドイツのための選択肢」が躍進するドイツもオーストリアの影響が広がることを恐れていると考えられます。
しかもオーストリアはハンガリーのオリバン首相のように大ロシア主義を掲げるプーチン大統領への傾斜をつよめています。
それは祖国と国民のアイデンティティを結ぶ「権威主義」であることが分かります。

一生の課題となる難民

仮に極右のホーファー氏が大統領になったとしてもファンデアベレン氏が大統領就任後もクリーンな解決策を見いだせないまま時間を過ごしていかなければならないとされる慰問問題。
これは我々が想像している以上に深刻な問題となっています。

オーストリアは助け合いの精神が浸透している国で、小さな国であるにも関わらず恵まれない人々に対する寄付活動は非常に活発です。しかし、難民の受け入れとなると話は全く別のものになります。
現在オーストリアで多い難民は、トルコ経由でやってくる「バルカンルート難民」といわれる人たちです。また難民の多くは、ドイツやスウェーデンを最終目的地にしていると言われています。トルコからセルビアを経由してハンガリーへ行きそこからオーストリアへ入り国内の検閲をくぐり抜けて毎日数百人がドイツへ越境しているそうです。 

ドイツは今好景気で移民の受け入れも積極的なので難民者達はそこを目指して当然ですよね。なので、やっかいな難民を国内にとどまらせず早く隣国へ行ってくれれば助かると考え、見て見ぬふりをしているところもあるのではと思います。他にもバルカンルートのマケドニアでは、密入国者は72時間以内に国外退去白ということで1日3本のベオグラード行きの越境列車を無料で運行しているとのことで、実はこれは違法です。なぜならこういった難民には不法移民や密航手配師だからです。

こういった難民の中には麻薬密売人や人身売買などで現在逮捕され拘留中の難民はドイツで1500人、オーストリアでも400人もいるそうです。

オーストリアの今後

オーストリア社会は大統領選決選投票の結果が示すように真っ二つに分かれている。この対立を修復するのがファンデアベレンの仕事になるが、二大政党が崩壊する中、次の国民議会選でどこまで自由党が議席を伸ばすのか、底知れない不安が広がる。欧州統合という理想が難民危機を引き金に強烈な反動を欧州に引き起こしている。

今回は大統領選挙で大きな争点となる難民問題をあげましたが、他にもたくさんの問題を抱えています。それは大統領が新しくなろうと解決には多大な時間と労力を要する問題ばかりです。
表が示すように、自由党よりも支持率がはるかに低い緑の党が政権を握ることで今後のオーストリアがどのようになっていくのか、そしてファンデアベレン氏の手腕も見逃せません。
そうすることで、EUやアメリカや日本にどのような影響をもたらすのかが注目です。

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