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『12平均律』の呪縛を解いてみたら、音楽の無限の可能性が見えてきた

現在、殆どの音楽は「12平均律」という音階で創られ、演奏されています。12平均律は便利ですが、自然な和音の響きを犠牲にしている側面も。古来より美しい響きを得るために研究されてきたいくつかの音律「19平均律」「31平均律」そして究極の音律とも言える「53平均律」など、音楽のミステリーのまとめ。

更新日: 2017年03月22日

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この記事は私がまとめました

「音律」とは何か

音楽の根底にある、普段は意識されないルール。
それが「音律」と呼ばれるものです。

音律(おんりつ)とは、音楽に用いる音高の相対的な関係の規定

音律とは、1オクターブの中の音階をそれぞれ基準音に対してどう合わせるか、厳密に規定したもの。
つまり、「音」に対して人間が勝手に定めたルールです。

ここで音階と言っているのは、1オクターブの分割の仕方(←人間が勝手に決めるルール)のことで、したがって大雑把に言えば、我々が「ドレミファソラシド」などと呼ぶ音の周波数をどうやって決めるのかという、方法の総称です。

決められた音程というのは、たとえば「ラ」が440Hz、「ド」が523.25Hzといった具合に、各音に対して周波数をこの値にしないといけない、というのが決められていて、どの楽器もその音程に合わせる必要があるのです。

色々な楽器のアンサンブルを楽しめるのも、同じ音律で調律された楽器が揃っているからこそ。

身の周りにある音楽は「12平均律」が99%以上

「12平均律」とは、1オクターブ(物理学的には、ある特定の基準音から、その周波数が倍の音までの音程のこと)を均等な周波数比で12の音に分割したもの。

我々が馴染んでいる多くのポップスやクラシック音楽は、その多くが「平均律」という音律に基づいて調律された楽器により演奏されています。

平均律とは、1オクターブを12の半音に均等に分ける調律法で、19世紀後半からポピュラーになってきたものです。

現在、この「12平均律」は西洋音楽でもっともスタンダードなものになっており、身の回りにある音楽はほぼ全てがこの12平均律によって創られ、演奏されています。
しかしその歴史は意外と浅く、ピアノなどの鍵盤楽器が12平均律に調律されるようになったのは19世紀後半からと言われています。
(ただしギターやリュートなどフレット式の弦楽器は、16世紀には平均律が一般的に使用されていた可能性が高いと言われています。)

様々な国や文化の音楽様式で、世界各地に、また歴史的に、様々な音律が存在するが、西洋音楽史では12音階を用いてそれぞれの音がなるべく純正に近い協和関係に結びつくよう、音律の研究が進んだ。

12平均律のメリットとデメリット

平均律の場合、1オクターブ12音を等分して配している為、転調や移調をした場合でも響きが極端に汚くなることがない反面、どの和音も響きが少し濁っているという欠点があります。

平均律で調律された楽器では、どの音を基準にしても等しい音程で他の音を出すことができるため、簡単に転調や移調(キーを上げたり下げたり)をすることができます。

平均律は非常に便利な音律なのですが、唯一欠点を挙げるとすれば、「倍音の響きとずれてしまう」という点が挙げられます。

平均律は便利な反面、実は物理学的な観点から言えば美しい響きは得られないものなのです。

元々、平均律の音階によるコードは、「和音が綺麗に共鳴することを考慮していない音階」

転調が容易になった反面、もともと平均律を用いていない音楽(民謡、民族音楽、黒人音楽 etc.)の演奏の場合には、平均律では本来の表現をすることが難しくなってしまう

平均律は便利な反面、妥協し捨ててしまったものがあります。
それが「和音の響きの美しさ」です。

もともと音楽は、基準となる音の周波数を倍にしたり3倍にしたり、その半分にしたり…と繰り返す(自然倍音)ことで「音階」を得て、発展してきました。
この考え方に基づいた音律を「純正律」と言いますが、純正律の場合、自然な倍音と一致する美しい響きの和音を得ることができる反面、ある特定の基準音から作られる倍音のみで音階が構成されているため、音の組み合わせによっては非常に濁った和音となってしまうという致命的な欠点がありました。

純正律のハ長調で調律した楽器を考えてみましょう。このままハ長調の曲を演奏すれば、とても気持ちよい演奏が聴けます。ところが途中でト長調に転調したとたん、和音関係はメチャメチャになってしまい、これでは純正律でない方がマシ、という状態になります。

「純正律」で調律された楽器は、特定のキー(調性)では非常に美しく響きますが、キーが変わった途端和音の響きが破綻してしまいます。
そこで考え出されたのが、和音の響きを妥協した「平均律」というわけ。

純正律(pure intonation)と平均律(equal temperament)の聴き比べ。
純正律は和音によっては非常に違和感のある濁りが生じてしまっています。

▽ 平均律は「12平均律」だけではない

1オクターブ12音を等分に配せず出来る限り美しく響くように色々な人が配分を考案しているので、たくさんの調律法があります。

先述のように、現在広く用いられている12平均律では和音を美しく響かせることができません。
そこで、1オクターブを12音階ではない分け方が色々と考案されてきました。

これは24平均律での演奏を可能にしたチェンバロ。
12平均律の半音をさらに半分に分けているだけなので、分かりやすい。

12平均律を3分割すると、3平均律となり、事実上3平均律は増3和音となる。4分割すると4平均律となり、事実上4平均律は減7和音となる。そして6分割すると6平均律となり、事実上6平均律は全音音階になる。

3平均律、4平均律、6平均律はそれぞれ普通の12平均律から容易に得られるため、このまとめではそれ以外の珍しい平均律について紹介します。

19平均律

普通ならオクターブが12等しい音で割ったのだけど、この調整において19等しい音で割った。

まずは「平均律」の考え方のおさらいから。
12平均律は1オクターブを均等な周波数比で12個に分けた音階でした。
19平均律は、1オクターブを19個の音階に分けたものです。

オクターヴの19段への分割は、グレイター・ディエシス(オクターヴと4重の短3度の比、648:625 あるいは 62.565セント) が、ほぼオクターヴの1/19である、というルネッサンス音楽理論から自然に起こった。

純正短3度にとても近づく平均律であり、メジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)がよい値で生成される。

19平均律の歴史は19世紀のルネサンスから活発になった。そのころ19平均律とみなせるチェンバロがあった可能性がある。

作曲家ヨエル・マンデルバウムは1961年のPh.D.論文において、12から22段の間の分割の中で何故唯一19平均律が実用的なシステムであるという確証を得るに至ったかを論述し、さらにより細分化した平均律のうち、次に少ない分割数で自然な間隔に合致するものは31平均律であると結論付けた。

MIDIによって再現された19平均律の楽曲の演奏。

19平均律の音楽。
12平均律に慣れた耳には、とても気持ち悪く聴こえてしまいます。

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