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「男脳・女脳」は時代遅れのエセ科学?最新研究でメッタ斬り

ベストセラー書籍「話を聞かない男、地図が読めない女」に代表されるように、度々語られる男女の脳の性差による行動や能力の違い。「男脳・女脳」と呼ばれるこれらには科学的根拠がなく、ただの「個人差」でしかないことが近年の研究によって判明しているようです。

更新日: 2017年02月25日

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広く信じられている「男性と女性の脳の違い」

こんな本がベストセラーになった時代もありましたね…。

話としては誰もが興味を持つ内容で、広く読まれた本ですが、その内容が誤解され広まってしまう一つのきっかけだったようにも感じます。

男性は人の話を聞かない、女性は地図を読むのが苦手――こうした男女の性質や行動の違いは、脳の性差が影響しているという説が有力だ。

男性と女性は脳の構造が違い、それぞれ得意・苦手分野がある…

そんな説が広く信じられています。

ステレオタイプなものを例に挙げると…↓↓

「家事や子育ては女に向いている行為。女性の脳は、右脳と左脳の連結が強い『マルチタスク』。論理的な思考と直感的な思考が同時に必要とされる複雑な作業を同時進行するのに向いています」。

「男は説明好きだけど、女は説明下手」なので、「男的な対応を求める男性たちは、『説明下手』な女性たちに『ちゃんと説明してくれ』と願うし、女性たちは『そんなの、言わなくてもわかるでしょう』とイラ立ちます」

「子どもの頃にハマった電車や車やプラモデルを、大人になっても趣味として続けているのは圧倒的に男性です。大人になった今も『ドラゴンボール』のアニメや漫画を見るのも男性です。ところが、女性の場合、大人になったらもうバービー人形で遊んだりすることも、『セーラームーン』のアニメを見ることもありません」

このように、男女の行動などを特徴付けるものとして、たくさんの「男脳」「女脳」のステレオタイプが広く信じられています。お気に入り詳細を見る

実は「男脳・女脳」に科学的根拠なし

今ではだいぶ下火となっていますが、かつては絶大な人気があった「血液型性格診断」と同様に、「男脳・女脳」説も広く浸透してはいますが実はまったく科学的根拠がないものです。

「脳のつくりが違うから」そう考えれば異性の理解しがたい言動にも多少はあきらめがつくが、実は、男性脳や女性脳というものはめったに存在しないものらしい。

6,000件を超えるsMRI画像をメタ分析した結果、海馬や脳梁の大きさ、言語処理の方法など、これまで「男性脳」「女性脳」の根拠とされてきた脳の性差は実際には存在しないことが判明した。

研究チームは1400人以上の脳のMRI画像を分析した。その結果、男女の脳には、いくつか異なる特徴が見られたものの、大きな違いは見られなかった。

イギリス、ダラム大学のマーカス・ハウスマン博士は、男性は女性よりも方向感覚が優れているといった、一般的に信じられている認知における性差を研究している。しかし、性別に特に影響を受ける空間能力は極々限られたものしかなく、女性が男性を上回るケースすら特定されている。

一般に信じられているステレオタイプな見方に反して、女の子が男の子よりも科学や数学が苦手という証拠もない。

研究から判明したのは、誰しもが男脳と女脳の特徴を併せ持っているということである。

男性に共通した特徴を持つ女性もいれば、その逆もあり、ほとんどの脳では男女の特徴が「モザイク状に」重なり合っていることがわかった。

さらに、5500人の男女のデータをもとに性差による行動の違いを分析したところ、ステレオタイプな(と思われている)男性または女性の行動をとる人はわずか0.1%に過ぎなかった。

大量のデータから分析された様々な近年の研究により、科学者の間ではステレオタイプな「男脳」を有する男性、「女脳」を有する女性はほとんど存在しないと結論されています。

調査されたのは、脳領域の大きさやそれらの接続の違いである。その結果、男女間で概ねサイズが異なると思われる脳領域は29ヶ所特定された。これらには、記憶に関連する海馬や、リスク回避に関連するとされる下前頭回が含まれる。

しかし、個人ごとに脳スキャンを精査すると、性別に応じて有しているはずとされる脳の特徴すべてを持つ人物はほとんどいなかった。

ほとんどの人が「男脳」「女脳」それぞれの特徴を複合的に有している、ということが判明。

ではなぜ、「男脳・女脳」なんて都市伝説が生まれたの?

例えば、男女の脳の違いとして、男性の方が左右の脳の連携がよくないとか。これには、元になった論文がありまして、1982年に『サイエンス』誌で発表されています。男女それぞれ、脳梁の太さを測ったら、女性のほうが太かったと。でも、この論文のデータは男性9人、女性5人からしかとってないんです。

そもそも信頼性の低いデータが、たまたま人々の関心に合致したため拡大解釈され拡散されてしまったのです。
このへんは血液型性格診断の始まりと似ています。

脳にかかわる世間の関心は強く、さまざまなことが語られる。科学的な根拠がなかったり、あったとしても曲解、拡大解釈して、結果、誤った理解を広めてしまうことが絶えない。

科学研究などの地味な成果は、より多くの人が興味を持つように面白おかしく肉付けされ、誤解されたまま広まってしまうことがあります。

まず、注目した論文というのが『PNAS(米国科学アカデミー紀要)』に出たfMRIを使った脳研究で、脳の中のネットワークが、女性は半球“間”のつながりがやや強くて、男性は半球“内”のつながりが強い傾向があるというものでした。

その後、論文からプレスリリースになり、ニュースにとりあげられてブログの記事になり、ニュースのコメント欄、ヤフコメみたいなところにいくにつれて、本来は『結合パターンに統計的な差が見つかった』って話なのに、『女性はマルチタスクにすぐれていて、男性は難しい課題に集中することができる。だから女性は家にいて家事をやるのが得意で、男性は外で仕事をするのがいいということがわかり、報告された』になってしまうと。

科学者の地道な研究の成果を各メディアが報道し、それに素人が拡大解釈をつけ拡散してしまう…というありがちな構図。

男女の「脳の性差」テストで最も違いが現れたもの

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