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投資信託の運用パフォーマンスが悪化の証拠?「特別分配金」の仕組みとリスクとは?

投資信託の分配金には普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の2種類がありますが、注意すべきは元本払戻金(特別分配金)です。分配金が支払われた際、分配後の基準価格が個別元本を下回った時に支払われ、投資家の元本の払い戻しなので全額非課税になりますが、基準価格は下落しているのです。

更新日: 2017年02月28日

egawomsieteさん

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■運用が上手くいかなくても分配金は出る

 分配金とは、金利・配当収入や投資資産の価格の上昇などで利益が出た場合、その額に応じて支払われるというもの。しかし、いわゆる毎月分配型ファンドは投資家のニーズに応え、毎月一定額の分配金を出すことが目的の1つになっている。そのため、運用が上手くいっていなくても毎月、分配金を出すのである。これが「利益を超えて分配金を出す」と言うことだ。

 また、分配金は、預貯金でいう利子とは異なり、ファンドに集まっているお金(純資産総額)から支払われる。よって、分配金が出るとその額だけ基準価額は下落してしまう。 

購入した時の基準価額を個別元本というが、購入後、基準価額が上昇し、分配金が上昇分の中から出ていれば問題はない(分配後の基準価額が個別元本より上にある)。「普通分配」として、利益から出た分配金として受け取ることになる。

 しかし、分配後の基準価額が個別元本よりも下落した場合はというと、個別元本との差額分は、単に自分の投資資産が返却されるだけの「特別分配」になってしまうのだ!

■特別分配金とは

収益分配金には課税扱いとなる「普通分配金」と、非課税扱いとなる「元本払戻金(特別分配金)」の区分がある。

これは、受益者が収益分配金を受取る際、イ.当該収益分配金落ち後の基準価額が当該受益者の個別元本と同額または上回っている場合には、当該収益分配金の全額が普通分配金となり、ロ.当該収益分配金落ち後の基準価額が当該受益者の個別元本下回っている場合には、その下回る部分の額が元本払戻金(特別分配金)となり、当該収益分配金から当該元本払戻金(特別分配金)を控除した額が普通分配金となる。

例えば、10,500円で一口購入しその後基準価額が10,800円となり決算時に700円の分配があったとすると、分配落ち後の基準価額は10,800円から700円を差引いた10,100円となる。この場合分配金の内訳は値上がり分の300円は普通分配金で課税対象であるが、400円は元本の払戻しとして非課税扱いの元本払戻金(特別分配金)となる。【取得価額の修正】ただし、この場合、非課税扱いの元本払戻金(特別分配金)400円を差引いた10,100円が新たな取得価額として個別元本が修正される。

■普通分配金10%課税、特別分配金は非課税

株式投資信託の分配金は、中身によって税務処理が異なるので注意したい。

 分配後の基準価格が個別元本を上回っていた場合、ファンドの利益から支払われる普通分配金は配当所得として扱われ、申告分離課税方式で10%課税される。税理士の北村恵さんは「毎月分配型投信は、高い手数料や分配金を受け取る際の課税を考えるとコストがかかる」と指摘する。なお、確定申告をすれば、上場株式などの損失と投信の利益を相殺できる。

 一方、分配後の基準価格が個別元本を下回った時に支払われる特別分配金は、投資家の元本の払い戻しなので全額非課税になる。

 投信を途中で売却・解約した場合は、利益は譲渡所得として10%課税される。他の投信や株式の売却損と合算することができる。

■元本を削って分配金を支払ってもいい日本の投資信託

毎月分配金が出るということは、その原資が必要です。一般的に投資家が毎月分配金の原資といわれてイメージするのは、株式の配当金や債券の利息、不動産(リート)なら物件の家賃収入ではないでしょうか。

ところが日本の投資信託は、運用の収益ではなく投資家の純資産、つまり元本を削って分配金を支払ってもいいことになっています。そもそもこれがおかしいと思います。

人気の投資信託ほど純資産の削り率、平たくいうと元本の削り率が高い投資信託が、ランキング上位にずらりと並んでいます。あるアメリカのリートに投資する投資信託は、直近の分配金が1万口あたり75円、そのうち配当等収入が9円と書いてあります。この投資信託から毎月10万円の分配金を受け取っている投資家がいるとしましょう。

リートとはつまり不動産への投資です。毎月分配金の原資は当然、家賃収入のはずです。毎月支払われる分配金のうち、不動産の家賃収入はいくらですかと聞かれたら、「すべて家賃収入」と投資家は考えると思います。

では実際にこの分配金10万円のうち、不動産の家賃収入はいくらでしょうか。わずか12%、1万2000円にすぎません。残りの8万8000円は、元本を取り崩して支払われているのです。このような純資産(元本)削り率の高い投資信託ほど人気を集めています。

投資家が新しく取引を始めた銀行に1000万円を預けて、翌月に元本を10万円削って分配金ですと渡されたら怒りますよね。しかし投資信託で分配金という表現になると、同じように元本を削っていても「ありがとう」になってしまう人が多いのです。

「特別分配金」などは、仕組みを知らなければもっと誤解してしまいます。ある投資家は、いつも分配金が8万円だったのに、その月は10万円受け取りました。何でだろうと思い、毎月送られてくる「収益分配金のご案内」を見てみると、こんな記載があります。

普通分配金8万円、特別分配金2万円。この投資家は「今月は特別に2万円多く分配金をもらえたのか」と思い、取引をしている証券会社に御礼の電話をしたそうです。しかし特別分配金というのは「特別に」分配金を余計に払ってくれるという意味ではありません。

特別分配金は投資した元本が値下がりしている場合に出るものです。通常の分配金は利益の配分なので、税金がかかります。特別分配金は元本が下がっているときに、元本を削って出すものですから当然税金がかかりません。通常は10万円の分配金から20%の税金が引かれていたのに、元本が値下がりしているから、税金が引かれずに10万円を受け取っただけなのです。

分配金を出すことや、元本を削ることが悪いとは言いません。しかし投資家は、投資対象を見て購入を判断する必要があります。先の投資信託ならば、アメリカのリートが価格上昇すると考えて買うならいいでしょう。上がる見通しもないのに、分配金が多く出るからという理由だけで買ってはいけないのです。

投資成果に与える影響として無視できず

分配金は、信託財産の中から支払われるものですから、分配金の支払を受け、それを再投資しなければ、投資額はその分配金の分だけ減少していることになります。Aというファンドを100万円購入して投資することと、同じAというファンドを10万円購入して投資するのでは、10万円の投資のほうが、投資家にとって期待されるリターンもまたリスクも相対的に小さくなりますが、全く同じ理由で、分配を行なって、投資額が小さくなった場合には、当然期待されるリターンもリスクも小さくなります。この点も分配が投資成果に与える影響として無視できない点です。

■タコ足型の投資信託を見抜くポイント

毎月分配型の投資信託で最も注意すべきポイントは、分配金と利回りにおける「正味の値」を知ることだ。前述したように、「分配金」には、分配金を元本から切り崩して支払う「落とし穴」が隠されていることがあるので、注意が必要だ。

高い分配金を受け取っていても、損益によって基準価額が下落した場合は、「正味の分配金」は、その分配金から基準価額の下落額をさしい引いた額となる。その上で、年間を通した「正味の分配金」を算出して、1年前の基準価額で割って利回りをはじき出せば、「正味の利回り」もわかるはずだ。

 分配金以上に基準価額が上昇している場合は、分配金は収益から賄われているので問題はないと考えていい。しかし、基準価額が下落している際は要注意なのだ。毎月分配型投資信託は、つい「目先の分配金」にばかり目を奪われがちだが、基準価額と変動と分配金を含めた累積の損益を示す「トータルリターン」の視点でチェックし、運用の実態を把握することが肝要だろう。本来なら運用益から出る配当金が大事な元本から分配されている、「タコ足分配」には注意だ。

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