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業績悪化で再燃した遺恨…三越伊勢丹社長交代劇で感じる百貨店低迷

三越伊勢丹ホールディングスの大西洋(おおにし ひろし)社長が辞任し、杉江俊彦(すぎえ としひこ)氏に交代することが明らかに。勢いが鈍化するとともに内在していた派閥争いが顕在化、お家騒動に発展していた。

更新日: 2017年03月08日

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nyokikeさん

▼三越伊勢丹HDの大西洋社長が退任し、杉江氏が後任の社長に就任へ

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は7日、大西洋社長(61)が退任し、後任の社長として杉江俊彦取締役専務執行役員(56)が4月1日付で昇格する人事を正式発表した。

同社は主力の百貨店事業が振るわないため、2017年3月期の純利益が前期比で半減する見通し。業績悪化の責任を取って大西氏は任期途中で辞任する。

・穏当じゃなかった三越伊勢丹社長交代劇

「現場がもうもたない。構造改革による混乱の責任をとりやめてもらいたい」。三越伊勢丹HD本社の一室で石塚氏は大西氏にこう切り出し辞表を差し出した。

杉江氏が経営陣を前に発した言葉は「まずは事業の多角化よりも本業の立て直しに力を入れたい」。今までの経営方針からの決別宣言だった。

大西氏に代わって率いる杉江氏は三越出身の石塚氏と近い存在とされ、社内融和、早期事態収拾に向けたバランス重視の人事と見る向きが多い。

▼百貨店が低迷し続ける中で社長に就任した大西洋氏

三越伊勢丹HDが発足したのは2008年。少子高齢化と消費者の購買行動の変化を背景に、百貨店業界はすでに冬の時代を迎えていた。

大西氏は伊勢丹社長を経て2012年2月に三越伊勢丹HDの社長に就いた。

両社の統合はブランド発掘や商品力に定評のある伊勢丹のノウハウを生かし、数多くの富裕層の顧客や東京・銀座や日本橋などの一等地の店舗を抱えながらも低迷する三越の収益力を磨くのが狙いだった。

・ユニクロらファストファッションの台頭やネット通販などアパレルの勢力図が一変

百貨店業界の冬の時代はアベノミクスによる高額消費の回復とインバウンド客の「爆買い」で、いったんは止まったかにみえた。

昨年春時点の期初予想では、伊勢丹新宿本店の2017年3月期の売上高は、2期連続の増収を見込んでいた。しかし、ここ数年の売り上げを底上げしてきた中国人観光客らのインバウンド消費の効果が、急速に剥げ落ちるという誤算に加え、主力の衣料品も不振から立て直し切れなかった。

全国の百貨店売上高は2016年には36年ぶりに6兆円を割り込み、5兆9780億円と91年のピークの5分の3に減った。

▼攻めの伊勢丹・保守の三越…未だに融和せずお家騒動に発展

「大西氏は慶応大卒で伊勢丹入社後、新宿本店の紳士服部門で商品のバイヤーを務めたり、吉祥寺店の準備室に配属され、百貨店ではなく専門店をつくるミッションを与えられるなど、幅広い職務経験を培ってきた。また、新宿では伊勢丹メンズ館の立ち上げた主要メンバーとしても有名で、そのバランス感覚の良さから社長に抜擢された」(流通アナリスト)

「他の百貨店が専門店テナントへの場所貸し業やスーパーマーケットとの協業などを進める一方で、大西氏はあくまで『古き良き百貨店』の追求を掲げてきました。バイヤー自らが地方に行って商品を探したり、地方の優れた素材を使って職人とコラボした商品をつくったりと、自前での商品仕入れにこだわってきたのです」

・消えなかった旧三越系との”遺恨”

「経営統合して以降、仕事のやり方はすべて“伊勢丹流”。それはある意味では仕方のないことでしたが、一番の問題は人事面や待遇面での格差です。重要なポジションは伊勢丹出身者で占められるばかりか、同じ仕事をしていても、ひどい時にはボーナスで4倍近くの開きがありました」(三越出身社員)

就任以来、現場のモチベーションを高める「社内融和」策として、各部門で成果に応じた公平な報酬制度を導入。また、「人を減らさない」方針の下、店舗の営業時間を短くして人件費を抑える苦肉の策も取ってきた。すでに出身母体による待遇面の格差も解消されている。

新しい試みに現場社員の負荷は増え続けていたが、インバウンド(訪日外国人)や富裕層による消費が拡大している局面はよかった。
その効果がはがれ落ちると「『新規事業で収益を上げろ』と厳命されても対応できない」(関係者)と、隠れていたひずみが表面化。本業の立て直しに追われている中、最終的には労働組合の関係者が石塚氏に泣きつき、改善を強く要求する事態となった。

・他の百貨店の統合はほぼ吸収合併

「大丸と松坂屋、阪急百貨店と阪神百貨店など、これまで経営統合を決めてきた百貨店は、みな吸収合併に近い形で力関係がはっきりしていました。それに対して、三越と伊勢丹はお互いにプライドを譲らず、指揮・命令系統がガチンコでぶつかり合ってしまった感は否めません。

押せ押せだった伊勢丹が、百貨店業界でもっとも官僚的といわれていた三越。

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