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(・_・) 英国式真顔の真髄、あるいは「絶対に笑ってはいけないBBCニュース」

"Keep calm and carry on" って、言うじゃないですか。

更新日: 2017年03月11日

nofrillsさん

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"Stiff upper lip" は、英国人、というか「英国紳士」のステレオタイプのキーフレーズのひとつだ。

Upper lipは鼻の下と上唇の間の部分(口ひげを生やす部分)で、stiffは「固い」。

人間、笑う、怒るなどするとそのupper lipが動くのだが、英国紳士たるもの、感情を見せず、常にupper lipが動かぬよう自制すべし、ということだ。この写真のように……。

この写真はモンティ・パイソンの「バカ歩き」だが、出典にあるガーディアン記事を読むと、5歳児が見ても笑えるこのスケッチの文化的背景がわかっちゃったりなんかしちゃったりして。

日本語では「頬がゆるむ(頬をゆるめる)」⇔「頬をぴくりともさせない」という表現があるが、"keep a stiff upper lip" はそれよりも、何と言うか、文化的コードのようなものである。

詳細はウィキペディア参照。いや、そんなに「詳細」でもない。これを詳細に語りだしたら、本1冊になる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Stiff_upper_lip

この写真は、ロンドンのビール(ペイルエイル)の商標。
http://www.bythehorns.co.uk/shop/beer/stiffupperlip/

"Stiff upper lip" (以下「真顔」)は、このように、「紳士」のトレードマーク的なものであるが、もちろんその「感情を顔に出さない」という規範は「紳士」階級に限られたものではないし、男女差もなく……

女性もおもしろいことを言いながら、「真顔」を貫く(ことがある)。

エリザベス女王はよく、真顔で冗談を言っている。カナダのトゥルードー首相が高齢の女王を讃える言葉を述べたのを受けて、「トゥルードー首相、暖かい言葉をありがとうございます。おかげで、私が年寄りだということが実感できました」と真顔で述べていたが、それは怒っているのではなくジョークで、一瞬後には女王の真顔はとけて、目がいたずらっぽく光っていた(会衆はどっと笑っていた)。

この「真顔」精神は、"Keep calm and carry on" というフレーズに凝縮されている。

このフレーズは、第二次世界大戦中のスローガンで、「慌てず騒がず冷静に、いつも通りのことをしよう」というような意味。別な言い方をすれば "Don't panic" だ。

これについては以前書いているので、そちらを参照。
https://matome.naver.jp/odai/2133419087649968201

そしてそのような「英国的真顔」が毎日満載されているのが、BBC Newsである。

BBC Newsに出れば、犬だって真顔だ。

それだけではない。バウンスという名前の犬に「犬」というキャプションをつける人も真顔だ。

(この一件については、「出典」のところのデイリー・ミラーのまとめが笑える)

そんなBBCで、人が真顔だった、などということは、おおよそニュースになりそうもない。「犬が人を噛んだ」どころか、「犬が四本足で歩いていた」くらいのことだ。

しかし2017年3月11日、ガーディアンで「最もよく閲覧されているページ」は、「BBCに真顔」だ……いや、正確にはそうではなく、「BBCで専門家が真顔で解説しているところに、子供たちが乱入してきた」というネタである。

大きな本棚があり、壁に世界地図が貼られた部屋で、韓国の大統領弾劾・失職について、BBC Newsでコメントする専門家。

この方、Robert E Kellyさんといい、Pusan National University(釜山大学)の教授だそうだ。
https://twitter.com/Robert_E_Kelly/

大学の研究室にいる大学の先生に話を聞いている……と思いきや、背後の扉があいて、トレンドカラーのマスタード・イエローのセーターを着た何者かが……

バスドラ4つ打ちのドン・ドン・ドン・ドンというリズムに乗ってでもいるかのように踊りながら、先生に近づいてきた。

先生、真顔。左右の眉の高さの違いも維持。

スタジオのキャスターが「より広域的な影響という点ではどうでしょう……お子さんがいらしてますが」と、これも(顔は見えないけど)真顔で指摘。

この人たち、話のペース・声のトーンが全然変わらないんだよね、こういうときも。 (・_・)

先生、顔はカメラ(ウェブカム)に向けたまま、すぐ左手まで出てきた子供を「あっち行ってなさい」というように手で押しやる。さすがにこのとき、顔は半笑い。

一方、スタジオのキャスターは真顔のまま容赦なく、「この変化によって北との関係が……」と話を進める。ニュースの鬼。 (・_・)

The BBC presenter warned the interviewee that he was no longer alone and Kelly, still staring fixedly into the camera, tried to press on while gently pushing the girl away from him.

Worse was to come.

このあと、さらにすごい展開があるので、ぜひ、ビデオをご覧下さい。

私はまだまだ精進が足りてないので、真顔をキープすることができず、盛大にお茶をふいてしまいました。

▼BBCの「中の人」たちのツイート。

Hard to keep a straight face. Video please soon! twitter.com/hughesroland/s…

キャスター、ジェイムズ・メネンデスさんの本音爆発。

「真顔を保つのが大変でした。早くビデオをアップしてください」

Yes, it was the desperate reach for the door at the end that nearly did it for me... twitter.com/juliamacfarlan…

「最後に(夫人が)必死の形相でドアを開けるところで、ふき出しそうに……」

あんなに冷静に、容赦なく「韓国と北朝鮮の関係に及ぼす影響」などについて話を進めようとしていたBBCのニュースキャスターが、実はふき出しそうになっていたということを知って、ちょっと安心。 (・_・) ニンゲンダッタノネー

The moment a S Korea expert appears on BBC World News via webcam and his daughter bursts in and starts dancing. pic.twitter.com/uunszWiwvd

BBCのシニア・ジャーナリスト、Roland Hughesさんのツイートを、スタジオのキャスター、 James MenendezさんがRT。

「韓国の専門家がウェブカムでBBC World Newsでコメントを始めた瞬間、娘さんが乱入して踊りだした」

(先生は真顔)

...and this is the moment his other kid burst into the room in a stroller. pic.twitter.com/yRx0Kk72T3

「そしてこれが、もう1人乱入した瞬間。歩行器で」

(先生は真顔)

...and the moment his wife comes into the room to drag the kids out. pic.twitter.com/uA7f06yn9w

「そしてこれが、夫人が入ってきて子供たちを引っ張り出した瞬間」

(先生は半笑い)

ローランド・ヒューズさんがツイートしてる画像の一瞬前がこれ。

ザ・諦念。でも動じてない。

@JamesReevell need his OK. It shows his kids - only fair he gets the say before it appears on the site.

「映像はないんですか」と聞かれて、「お子さんたちが映っているので、サイトにアップする前にケリー先生の許可をいただかないと」と回答。

その許可が出たんですね、こうしてこの「乱入劇」は土曜日、世界中のお茶の間を真顔のドツボにたたきいれることに……。

@waseem_mirza This morning UK time. The whole newsroom erupted in laughter.

「英国時間で今朝です。ニュースルーム全体が大爆笑でした」

※英国人は、外部から見えないところでは真顔をキープしない。

@hughesroland The kids coming in shows he is human and can be trusted. So sweet and cute--but I bet he locks the door in the future.

「子供が入ってくるということは、この先生は人間で、信用できるということですね。とても微笑ましいです。でも今後はドアに施錠してから仕事なさるでしょうね」

@PMPHT Totally agree. That's what makes it so likeable. And it kinda breaks the fourth wall too.

「完全に同意します。だからほっこりするんですよね。これで(テレビの出演者と視聴者を隔てる)第4の壁も壊れたかな、と」

The fourth wall: https://en.wikipedia.org/wiki/Fourth_wall

@hughesroland It's just a part of life now for many. The other day my corporations law lerturer's son walked into a Zoom session.

「最近、これが日常になってる人は大勢いますよ。こないだ、うちの会社の法務の先生の息子さんがZoomで実況中に乱入してきたりしました」

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http://matome.naver.jp/odai/2133787881446274501

※基本的に、ログを取ってるのであって、「まとめている」のではありません。