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永守社長(日本電産)は最強の経営者か

言うまでもなく、日本最高峰の経営者である。永守氏はみずからの露出を厭わないできたトップだが、実は会社として世間にPRしていくのは、ここ最近なのだという。目立たず、それでいて突出した経営者の直近の動きをまとめた。

更新日: 2017年04月08日

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モーター大手の日本電産(京都市南区)は2016年12月26日、1973年の創業以来初となるテレビCM「もし、日本電産がなかったら」の放送を全国で開始した。ストーリーテラーに起用されたのは京都市出身の俳優・佐々木蔵之介さん。同社の主力製品であるモーターがこの世からなくなったらどうなってしまうのか、ストーリー仕立てのドラマCM で表現している。CMでは紹介されなかったが、HDD用モーターの数量ベースの世界シェアは約80%、CD・DVD用モーターは同60%に達する。16年度の売上高は1兆2500万円と見込まれている。

日本電産グループでは、精密小型から超大型までの幅広いラインナップを誇るモータ事業を中心に、「回るもの、動くもの」に特化したモータの応用製品・ソリューションも手がけている。

いずれも日本電産グループが保有するモータ・ギア・センサ・ドライバ・制御装置などが不可欠なだけでなく、ロボットのパフォーマンスを大きく左右する機能を果たしている。

2015年3月期連結決算で日本電産は初めて売上高が1兆円を超えた。営業利益も初の1000億円超え。「着実にビジネスポートフォリオが転換を遂げている」と強調した。主力の「精密小型モータ」は堅調だが、「車載及び家電・商業・産業用」がついにそれを逆転した。「もう少し早く達成したかった。決して達成感などない。悲願のとか、念願のとか言われるのは迷惑だ」と、永守重信会長兼社長は言い放つ。次に見据えるのは2020年度の売上高2兆円。
【記者のひと言】永守さんの会見はとにかく面白い。記者やアナリストからの質問にも「あんた、もうちょっと勉強してから聞きなさい」と切り返すこともしばしば。

国内企業によるM&Aを語る上で日本電産は欠かせない存在である。15年3月期は、売上高1兆283億円(前期比17%増)、営業利益1112億円(前期比31%増)と、ともに過去最高をたたき出した。10年前に売上高が4000億円であったことを考えると同社のM&A戦略は、総合的に見てプラスの効果をもたらしていると言ってよい。12年以降に買収した企業のほとんどは、同社が強力に推進してきた「車載用および家電・商業・産業用のビジネス」だ。「M&Aは契約の時点で2合目・・・残りの8合分は企業文化の擦り合わせ」という認識をきっちり持っているところが、日本電産のすごさである。(図表は買収した企業及びその売上高)

2015年のM&A市場を振り返った永守氏は、他社の買収ケースをすべて客観的に収益性分析をしているという。当の日本電産は「今年は高水準の株価に買収額が影響されにくい小さな企業を相対取引で7件買収した」と、株式市場から一歩身を引いた買収で高値掴みを避けた、という。「M&Aは買収後が肝心だ。当社は3年以内に営業利益率を10%超にするなど基準がある。買収額が高いと業績を押し下げる。想定より3割高く買ったことがあるが苦労している」とのコメントからも、慎重さと大胆さを兼ね備えたのが永守氏のすごみだ。

日本電産は、2017年3月期第3四半期の決算説明会を開催した。通期の業績予想を上方修正した。この一年、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)分野などにおける技術者の採用を強化している。その先に見据えているのは、連結売上高2兆円、営業利益3000億円達成という高い目標である。精密小型モーター事業はPCや光ディスク向けHDDモーターの需要減が進む中、「その他小型モーター(振動・触覚含まず)」に含まれるモジュール化した新製品が年率2桁超で成長している。“残業ゼロ”に挑む「働き方改革」も、生産性を向上するための手段として前向きにとらえている。

▼永守氏とはいかなる経営者か

五十数社を買収し、そのほとんどを1年以内に黒字化させてきた日本電産。「スピードと徹底」の日本電産流カルチャーが効果を上げている。日本電産のスピード感覚はハンパなものじゃない。会社全体にスピード感が行き渡り浸透している。見積もり作成に1週間もかけるなと。他社なら1カ月かかる試作品も1週間で仕上げろとも。また、日本電産には未達を許さないカルチャーがある。さらに、強化策のひとつに、週次管理がある。1週ごとに全社で行うフォロー管理の仕組みが、社員の日常業務管理力を向上させ、後戻りしない体質を作っていた。

●情熱、熱意、執念
●知的ハードワーキング
●すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

2014年11月17日発刊日経ビジネス上で発表された、「社長が選ぶベスト社長」ランキング1位に輝いた経営者、それが永守重信氏。ソフトバンクの孫正義社長、トヨタ自動車の豊田章夫社長を抑えて1位となった。1973年、京都の片田舎で日本電産という企業を立ち上げたとき、メンバーはたったの4人だったという。それが今や12万人。「絶対勝つんだ」という執念や気概でやれば、人間に不可能なことはない。その信念を実践で証明してきたのが、同氏のすごみだ

日本電産は、「失われた20年」と呼ばれる低迷期の日本にあって、稀有な急成長を遂げてきた企業。いまや売上高1兆円を突破(2015年3月期)。パソコンのハードディスクに内蔵される精密小型モーターの分野で、80%超のシェアを誇る「世界一」企業だ。ただ同社が何よりすごいのは、赤字のモーター会社を次々と買収し、1~2年というわずか短期間で再建を果たしてしまうことだ。その赤字企業には、たった一人、日本電産から役員が派遣されてくる。永守社長からは「1番以外は、皆ビリや」という厳しい言葉がもたらされる。

(会社は誰のものかの問いに)理論的には株主のものでしょうね、しかし心は従業員です。会社を愛し、頑張ろうという社員がいてこそ株主価値も上がる。

▼モーレツからの転向、それとも?

精密小型モーターで世界第1位のシェアをもつ日本電産(Nidec)。年の売り上げが100億ドル(1兆円)をはるかに超え、時価総額は270億ドルに達する。日本電産の株価収益率は28倍であり、これはTOPIX銘柄の平均値の2倍を超えている。この巨大企業の創業者、永守重信に米経済メディアが直撃取材を敢行。その象徴のひと言が、「うちの会社で、仕事ができないからといってクビにすることはないです。でも、あまり休みを取ろうとは思わないでください」。また、新たに入社した従業員はトイレ掃除を命ぜられる。休暇を取る者は怠惰であると見なされるなど、ブラック批判されかねないが、本人はこれを意に介さない。

永守会長は今、「モーレツ」な工夫によって、日本電産を大きく成長させようとしています。

日本電産が、2020年までに残業をゼロにすることを打ち出した。永守会長といえば、「モーレツ」な働き方をする経営者としても知られ、「休みたいなら辞めればいい」と発言したこともある。日本電産は積極的なM&A戦略により規模を拡大し、現在では約10万人の従業員のうち9割以上が外国人。そこでは、欧米の従業員が残業ゼロで定時に帰るにも関わらず高い生産性を上げている姿があった。このような背景から、永守会長は残業ゼロを実現するために4年間で1,000億円を投資すると宣言。業務効率化を掲げ、本気の取り組みを開始した。

「2020年までに1000億円を投資します」。その中身は、最新のロボットやスーパーコンピューターを導入して製品の開発期間を短縮したり、業務の効率化のためのソフトウェアを導入して労働時間を短縮することだ。「管理者クラスの技術者を1000人採用する」と言い、売上高倍増(2兆円、2020年)を掲げる日本電産にとって人材確保は必須だ。そのために、働き方を変えてもらったり、(まとめ冒頭の)情報発信を図ったり、これまでとは方針を一変させた。信条である「他人の倍働く」はここに来て、大胆な見直しとなったようだ。

▼どうやって会社を立て直していくのか、永守流再生術

【まとめ編者】コスト意識アップ、チリも積もれば山となるなど、極めて日本的な経営者の常識的な発想である。それと同時に、積極的に世界に打って出る。この二つが同社の真骨頂だ。利益を徹底的に追及すると同時に、その使い方が実にうまい、急成長しつつ、事業の多角化に成功したことも、永守氏の手腕である。その秘密は「見える化」の徹底とスピード感にあるようだ。なお、資料には出てこないが、多角化とは言え、得意な領域でしか勝負しない、すなわち無謀な博打を打っていない点は注目されるべきだろう。

モーター部品を製造する日本電産創業者の永守重信社長はこれまでの自社の成長を支えてきたのは東大やハーバード 大卒のエリートではなく、会社が小さかったときに採用せざるを得なかった「カスみたいな」人材だという。永守氏ら創業メンバーは4人から始まった。それから42年、日本電産の部品はスマートフォンから自動車まで多様な製品に使われるようになり、連結売上高1兆円、時価総額2兆8000 億円超、世界で12万人以上の従業員を抱える電子部品帝国に変貌を遂げた(2015年)。「どんなだめな人でもうまく使えば戦力になる」とは、同氏の信念である。

企業が「儲からないのは理由がある」。「怠けている人が多い会社、工場が汚い会社、社員がよく休む会社」ほどうまく経営すればすぐに大きな利益を出せる可能性を秘めている。

日本電産の急成長は永守氏が仕掛けた企業合併・買収(M&A)の「100%成功」にある。市場の変化に合わせて積極的な買収を仕掛け、それをことごとく成功させたのだ。人を活かし、企業を蘇らせ、今日の帝国を築いたのは、ひとえにトップの優れた経営手腕によるものだと言える。

手がけたM&Aは全部成功した。理由は、3つある。1つ目は高く買わないこと。2つ目は要らないものを買わないこと。3つ目は、シナジーを出すこと。事業家にとって一番大切なことは、会社を潰してはいけないということ。お客様も株主も大事だけど、一番大切なのは従業員です。従業員を大事にできない経営者はだめだよ

【まとめ編者】当たり前のことを何度も考えさせられる永守氏の言葉。M&Aができる時代になったからこそ、生きる永守氏の成長志向だが、プロの経営者のもとに、社会資源を集めていくのは極めて大切なことだろう。その証がまさに日本電産グループだ。

「ゼロから100億円、100億円から1000億円とやってきたが、大体よく似た年数がかかっている。そして今回1兆円にきた。2030年度、10兆円を目指していく」とは永守重信社長の言葉だ。しかも業績はきわめて好調だ。一時は、パソコンに搭載されるHDD向けと、デジカメ向けの小型精密モーターの大減速で、大幅な減益を余儀なくされていた。しかし復活の要因は、サーバーなどのノンPC向け、車載や家電、産業向けモーター事業の開拓成功などだ。2012年以来買収してきた8社のほとんどはこの分野の会社だ。同氏は「2030年に10兆円」という展望も語り、積極攻勢を続けると宣言した。

日本のエレクトロニクス産業の中で、最も好調とされるのが電子部品分野だ。スマホ向けに加えて、自動車やモノのインターネット(IoT)など今後も需要拡大が予想される。しかし、日本電産のような巨大企業が登場する傍ら、電子製品の種類はケタ外れに多いこともあり、1000億円に満たない企業が数の上では大半を占める。またスマホが減速し、また電子部品の顧客も国際競争によって寡占化していく状況では、部品メーカーの規模拡大も必須だろう。日本電産の永守重信会長兼社長はそれを強く訴える一人だ。

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