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メンタル不調が原因で、思い通りのプレーができなくなる「イップス」に苦しむスポーツ選手が増加している!

精神的な原因などによりスポーツ選手などが自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害のことであるイップス。 元々はゴルフの分野で用いられ始めた言葉でしたが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっています。緊張やプレッシャーのかかるプロスポーツ選手に多く見られてきています。

更新日: 2017年07月13日

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egawomsieteさん

■エースとして歩み続けた阪神・藤浪晋太郎の乱調 「イップス説」の指摘も

エースの姿が一軍のマウンドから消えて久しい。5月26日のDeNA戦で今季3敗目を喫すると、プロ5年目にして初の二軍降格を命じられた。この時点で3勝3敗、防御率2.66は決して悲観する数字ではない。しかし、監督の金本知憲らの心証を悪くしたのは、その時点でリーグワーストとなる36個の四死球だった。

 開幕直後のヤクルト戦では畠山和洋の頭部に死球を与えたのをきっかけに両軍入り乱れた乱闘にまで発展、この試合だけで5回を9四死球の大乱調だ。肝心なところでストライクが入らない。そればかりか自慢の快速球がすっぽ抜けて危険球ではベンチも安心してゲームを任せられない。

 高校野球では大阪桐蔭高のエースとして史上7校目の春夏連覇。プロ入り後も高卒新人として入団以来3年連続の2ケタ勝利は松阪大輔(当時西武)以来14年ぶりと怪物ロードを順調に歩み続けた藤浪に今、何が起こっているのだろうか?

「少年野球から今までストライクをとるという当たり前に出来たことが出来ない」

「メンタルどうこうよりフォーム的におかしくなったところを自分で治せない」

 藤浪自身が現状をこう語っている。

 投手とは繊細な「人種」とよく言われる。ちょっとした体重移動や指先の感覚のズレで本来の投球が出来なくなる。ある阪神0Bは「球団発表の数字(身長1メートル97、体重89キロ)よりも現在の体は大きくなっている。こうした肉体の変化に技術が追いつかないのでは?」と一因を挙げる。

また、ある関係者は“イップス説”を指摘する。イップスとは精神的な障害などで自分の思い通りの動きが出来なくなる運動障害のこと。つまり、前述した畠山への頭部死球などのショックが尾を引いて本来の投球が出来ないということだ。

 他にも2015年は最多奪三振のタイトルを取るなど14勝7敗の好成績を収めたがシーズン終盤に右肩の違和感を訴えている。この影響もあり昨季は初めて7勝止まりに終わった。

 かつて、甲子園の優勝投手はプロで大成しない、と言われた時期がある。高校時代から肩を酷使するケースが多いからだ。いずれにせよ、大エース候補の若虎が出口の見つからない迷路にはまり込んでしまった。

今月に入ってもショッキングなニュースが舞い込んできた。7月2日のウェスタンリーグ・中日戦に先発した藤浪はここでも石垣雅海に対して頭部死球を与えて危険球退場、この時点で7四死球7失点では当分、一軍からのお呼びもかかりそうにない。こんな惨状に僚友であるエースのR・メッセンジャーは意味深長な言葉を寄せている。

「まだ若いから、トレーニングも大事だがコーチのアドバイスを聞かないといけない」

 プロ入り以来、順調に怪物ロードを登ってきた藤浪は自分の信じる道を歩んできた。アドバイスも必要がなかったかも知れない。過去に1球の死球、1球の被本塁打で投手生命を狂わせた者はいくらもいる。藤浪にはそうなってほしくない。阪神の宝は球界の宝でもあるからだ。

 「一強二中三弱」のセ・リーグペナントレース。金本阪神は辛うじて首位広島の 背中を追う立場。大逆転劇に藤浪の復活は絶対的な条件となる。鳴尾浜でのミニキャンプがいつ終わるのか?は現時点でわからない。だが、大谷翔平と並ぶ160キロの剛速球と奪三振ショーをファンは待ちわびている。初めて迎えたプロの曲がり角。藤浪晋太郎の夏はいつにもまして暑い。

■乱闘劇も呼んで…阪神・藤浪“ノーコン悪化”はイップスか

年々悪くなっている。阪神は4日のヤクルト戦に藤浪が先発したが、初回から大荒れだった。

 先頭の大引に四球を与えると三ゴロの併殺で一息つくも、山田、バレンティンには連続四球。雄平の適時打で先制点を許す。二回も2四球とヒットなどで満塁のピンチ。ここはヤクルト打線の拙攻に助けられたが、三回は先頭のバレンティンに一発を浴び、無失点の四回にも2つの四球を出してバックのイライラを募らせた。

 そして五回。藤浪のノーコンが大乱闘の呼び水となる。無死一塁で迎えた畠山の3球目。142キロの直球が左肩を直撃。あわや頭部死球の危険なボールに畠山が怒りをあらわにすると両軍ベンチから全員が飛び出し、派手な乱闘劇へ。結局、最初に手を出したバレンティンと跳び蹴りで応戦した阪神の矢野コーチが退場。警告試合が宣告された。

技術よりメンタルの問題か

プロゴルファーには、緊張や精神的なダメージなどが原因で、思い通りのプレーができなくなる「イップス」に苦しむ者が少なくない。続投した藤浪も顔面蒼白でそんな状態だった。続く中村への初球のスライダーもすっぽ抜けて顔面付近へ。アップアップの投球はバントミスに助けられたものの、8番谷内(三ゴロ併殺)には8球すべて外角の変化球。畠山への死球が恐怖心となり、直球が投げられずにこの回で降板した。

 高卒1年目から10勝(6敗)をマークした藤浪は、3年目の15年は14勝(7敗)を挙げながら四・死球(82・11)ともにリーグ最多。7勝(11敗)の昨季も70四球は同ワーストだった。

この日の投球を見たあるOBは「素質はピカイチなのに、年々制球が悪くなるのは技術より心の問題なのか。メンタルトレーナーなどの専門家に相談するべき」と心配する。

 今季初登板は5回、117球、5安打、9四死球、2失点。「守備が長くなってしまい、チームに迷惑をかけた。修正できなかった」と反省した右腕が、WBCで出番が少なかったのは当然だろう。

■三軍調整中の澤村は“急性イップス”?

最近のプロ野球、アマチュアでは華々しい実績を残していながら、プロで突然イップスにかかる若い選手が急増しているという。ある球団のスカウトはこう漏らした。

「近頃の若い子は高校、大学などで怒られることに慣れてない。それで、プロ入りした途端、いきなり先輩やコーチにガミガミやられたり、新聞にちょっとした批判記事を書かれたりすると、ショックのあまりイップスになっちゃうんですよ」

ベテランの○○、監督の○○など、若い選手を叱り飛ばしてはイップスにしてしまうと悪評フンプンの人物もいる。彼らの所属するチームでは一時期、「○○イップス」という新たな“病名”として定着していたほど。

 実は、「右肩コンディション不良」で三軍調整中の巨人・澤村についても、“急性イップス”ではないか、という疑惑がささやかれている。澤村は3月4日、オープン戦にリリーフ登板し、初球で日本ハム・清水に頭部死球をぶつけ、1球だけで危険球退場。その後、右肩の状態悪化を理由に一軍から離脱している。

 そうした経緯を指して「イップスを隠している可能性はある」とあるセ球団関係者はこう言う。

「澤村は先発から抑えに回って以降、ファンにもマスコミにもずっと叩かれ通しだっただろ。2年連続30セーブ以上をマークし、昨季はセーブ王のタイトルも取ったのに、抑えに失敗した広島戦のことばかり批判されている。表向きは気丈に振る舞うタイプだけに、内心では相当なストレスを抱えていて、オープン戦での危険球をきっかけにイップスが発症したとしても不思議ではない」

 そこで思い出されるのが、甲子園の選抜大会で優勝した大阪桐蔭・根尾である。内外野と投手の「三刀流」で注目されたこのスーパー2年生を、西谷監督は2度リリーフに起用。2回戦は1点、決勝戦は5点リードしていた場面だったが、西谷監督は「点差があるとは考えるな。あくまで一球一球、打者一人ひとりだ。丁寧に打ち取ることだけを考えろ」と根尾に言い聞かせたという。

 結果、根尾は無失点に抑えたが、元来力みがちなタイプらしく、2試合とも四球で走者を出している。そんな根尾の性格を知っているからこそ、西谷監督は「丁寧に打ち取れ」と言って聞かせたのだ。○○イップスのはやっているプロのチームは参考にすべきだろう。

■1度ならず2度のイップスを克服!宮里藍、強靭なメンタルの謎

約2年前、バハマでの開幕戦のことだ。

 試合会場であるゴルフ場はビーチに隣接しており、選手らはふとした瞬間にコバルトブルーのカリブ海に目を向けることがあった。宮里藍も例外ではなく、グリーン上で同組の選手がプレーしている間に海の方を見ていた。その選手がパットを打ったのにも気付かず、しばらく海を見ていたため、視線をグリーン上に戻した時に「あれ、いつのまに?」という感じで、ちょっと慌てて歩き出しラインを読みにかかった。

 ちょっと違和感を感じた。

 普段の、いや特に、上位争いに絡んでいる時の宮里は自分の世界に入りこんで、黙々とプレーする。明らかに集中力が欠けているようだった。まあシーズンの初戦だからこれから調子を上げていくのだろうと楽観的に捉えていたが、自体は予想以上に深刻だった。

「(パットの)インパクトの瞬間が怖かったんです」

 以前のパットのストロークと比べると「どうしてもそのストロークができなかった」と言う。

 宮里は“イップス”になってしまっていたのだ。

宮里の場合、愛用のパターが壊れたので2013年の9月に新しいパターを試したところ、パットの感覚があわなくなってしまったことが原因だった。

 パットを武器に世界ランク1位に上り詰めた宮里にとって“イップス”は致命傷だった。バーディチャンスにつけてもことごとくパットを外し、観客からため息がもれることが多々あった。

 ショットとパットの精度の目安となる「パーオンしたホールでのパット数」は、5勝した時の'10年1.73(1位)から'14年1.88(138位)まで急降下した。

「キツかったですね。(症状に)向き合うのにエネルギーが必要ですし」

実は宮里がイップスになるのは初めてではない。米ツアー参戦当初、ドライバーを思うようにコントロールできなくなった時期があった。「(イップスは2回目だから)冷静に対処できた部分はありますが、ショットとパットではターゲットが違います。ショットはある程度ミスしてもフェアウェイにボールがあればいいですけど、パットは決めなきゃいけないので」

 いつ治るのか目安も無いなかで、プロゴルファーである以上、試合に出続けて結果を出さないといけない。宮里がどんなプレッシャーの中で戦い続けていたのか想像を絶する。

イップスは二度目

それでも現状から逃げ出すことなく、試合前や試合後、黙々と繰り返し繰り返しパットの練習を続けた。不調の時こそ、休みの日に気分転換など何かしないのかなと思ったが「じっと耐えるしかないんですよ。人それぞれだと思いますが、シーズン中は四六時中自分と向き合う方が私はうまくいくので」

 そう、宮里藍は“マジメ”なのだ。

 マジメだから真摯にゴルフに向き合う。もしゴルフ以外に趣味などはけ口が幾つかあればイップスにならなかったかも……と思ってしまう。

「もうとっくに大丈夫です。今は『(パットの)ラインの読みの精度を上げていけるか』という段階です。やっぱり迷いがあるうちはミスをしたくなくて、入れにいくというより寄せにいってしまっていたので。9月頃からやっとアグレッシブに打てるようになってきました」

 サラッと今の課題をあげられるくらい宮里は“イップスを克服”していた。1度ならず、2度までも。

7年前から宮里のトレーナーを務める山本邦子が言う。

「トレーニング内容は少しずつですが、常に変化しています。『もう少し身体のこの部分がうまく使えれば、身体のここの感覚がよくなれば』と常に向上心があり、新しいことに挑戦する意識が高いので。毎年新しいステージに立っていると思います」

■プロ野球にも続々…イップスはどんな選手がなりやすい?

女子プロゴルフで13年の賞金女王になった森田理香子(26)は今季、イップスが原因でスイングまで崩し、シード権を失った。ゴルフのパットやアプローチの時に体の一部が動かなくなるイップスは、いわゆる心の病だ。追手門学院大学客員教授でスポーツ心理学者の児玉光雄氏が言う。

「イップスは、健康のためだけにテニスやゴルフをやっている人には発症しません。勝負に執着するプロスポーツ選手やゴルフのトップアマなどに多い。大事な局面で失敗すると、それが心的ダメージとして脳に残る。同じ場面になるとフラッシュバックして失敗シーンが蘇り、脳細胞が一時麻痺して、運動動作に支障を来すのです」

 プロやシングル級のゴルファーしか発症しないと思っている人も多いこのイップス。実はプロ野球界にも昔から患者はいた。巨人OBの高橋善正氏(評論家)が言う。

「当時はイップスなんて言葉は知らなかったが、捕手の森(祇晶=元西武監督)さんは晩年、二塁への送球は問題なかったのに、投手に返球するときにマウンドまで届かないことがよくあった。投手はわざわざマウンドを下りて捕りにいったものです。今思えば、森さんは頭が良くて神経質だったからイップスになったんじゃないかな。私や長嶋(茂雄)さんには無縁の病ですよ」

近年では、ソフトバンクの内川も横浜時代に内野守備で送球イップスになった。今季メジャー通算3000安打を達成したイチローも、投手をやっていた高校時代にイップスで投げられなくなった体験をテレビ番組で語っていた。千葉ロッテのメンタルトレーナーを務めたこともある高畑好秀氏は「今のプロ野球にも1球団に3~4人はイップスの選手がいます」と言ってこう続ける。

「イップスというのは、まじめで考える力のある選手に多い。発症原因は人によって異なりますが、例えば、ここぞという時に送球ミスをすると、その原因をひじや手首の動きなどに求めることで、無意識に自動化されていた動きがバラバラになる。その繰り返しからイップスになるケースもある。今のプロ野球は昔より情報が多く、成績も細かく数値化された。考えることが多くなったこともイップスが増えた原因のひとつかもしれません。しかし、イップスはスポーツ選手だけに限ったものではない。例えば、大勢の前で話している時に大恥をかいたことがトラウマ(心的外傷)になり、多数の人前でスムーズに話せなくなることもあります」

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