1. まとめトップ

自分の感情を自覚するのが苦手なアレキシサイミアとは?

自分の感情をうまく言語化できず、怒り、不安、悲しみなどが、痛みや不眠などで身体的症状として現れやすい疾患です。その特徴として空想力や内省が貧困、機械的な思考スタイルを持つとされており、ストレスをうまく処理できないなどうまく緩和できないことが原因にあるようです。

更新日: 2017年04月17日

egawomsieteさん

  • このまとめをはてなブックマークに追加
2 お気に入り 657 view
お気に入り追加

■アレキシサイミアとは

アレキシサイミア(失感情症)は1970年代、当時のハーバード大学教授の精神科医シフネオス(Peter E. Sifneos)らが、心身症になりやすい性格傾向として指摘した性格の概念です。

アレキシサイミアの性格傾向を持つ方は、ストレスを溜め込みやすいため、心身症だけでなく、うつ病や摂食障害(拒食症や過食症)、依存症などにもなりやすいと言われています。

自分の感情をうまく言語化できず、怒り、不安、悲しみなどが、痛みや不眠などで身体的症状として現れやすい疾患といわれています。また、ストレスに対する防御機能がアレキシサイミアとして発現しているとも考えられています。

アレキシサイミアは心身症患者の病態のひとつですが、高血圧や気管支喘息、潰瘍性大腸炎、慢性疼痛(まんせいとうつう)、など心身以外の疾患との関連性があることも発表されているのです。

■性格傾向

•自分の感情に気付くのが苦手

•自分の感情を上手く表現するのが苦手

アレキシサイミア(alexithymia、失感情症)という言葉は、ギリシア語が語源になっています。

欠落を意味する「a(ア)」、表現という意味の「lexis(レクシス)」、そして感情という意味の「Thymos(シモス)」という言葉からなります。直訳すると「感情の表現の欠落」となり、「失感情症」と和訳されています。

失感情症という訳から、「感情を失った人」「感情のない人」という意味だと誤解されることがありますが、そうではありません。例えば統合失調症では「感情鈍麻」や「感情平板化」といって、感情が失われたり乏しくなることがあります。しかしアレキシサイミアは、そういう感情の低下・欠損とは異なります。

感情はあるんだけど、その自分の感情に気付くことが苦手、あるいはなんらかの感情変化を感じてはいるんだけど、それをうまく表現できないようなタイプがアレキシサイミアです。感情を認識することが不得意であるため、想像力や共感する力、内省する力が乏しいことも特徴です。

■アレキシサイミア傾向が高まる人の特徴

•不安や緊張の強い人

•真面目で責任感が強い人

•几帳面で完璧主義な人

•自己犠牲的でよい子すぎる(八方美人)

神経質傾向は恐怖や不安に敏感な人であるので、できるだけ敵を作らないように、危険を犯さないように生活する傾向が高く、八方美人になって周囲に過剰適応しようと頑張ったり、ミスしないように知識を覚えて論理武装します。

環境によってストレスにさらされても、自分が不満を爆発させて周囲を不快にさせることを嫌がり、自分が攻撃されないように、自分の感情を抑えて頑張るため、アレキシサイミア傾向が高まるのではないかと考えられます。

年齢との関係

アレキシサイミアに関する論文を調べて見ると、海外の調査では10代のアレキシサイミア傾向は、成人よりも高いことが分かりました。

そして、年齢を重ねるに従ってアレキシサイミア傾向が低くなっていくという結果が出ています。

また、日本の研究では、生活の変化など多感な時期である17歳と21歳で、アレキシサイミア傾向を同じ実験対象者で追跡調査したところ、アレキシサイミア傾向性に変化が見られませんでした。

■アレキシサイミアの特徴

•自分の感情や身体の感覚に気づいたり区別することが困難

•他者に自分の感情について語ることの困難

•空想や想像力が乏しい

•感情を交えない事実や知識だけを話す(機械的思考、外面的思考)

•喜怒哀楽を感じにくい

•涙がでるけど、なぜ泣いているのかわからない

•自分の内面に無関心でいる

•他人が見ると真面目で、辛抱強いと思われる

•ストレスに鈍感

•完璧主義

•八方美人

•現実主義

•自己犠牲的な人

•他人と共感し合うことが難しい

•原因不明の頭痛・不眠・よく分からない痛み・しびれ・めまいなどがでる

アレキシサイミアの方では、本人は特に自覚をできていなくても、「何だかしっくりかない感じ」をかかえていることが多いです。これが顕著になると、慢性的な抑うつ気分を特徴とする気分変調症となります。

そして自分の感情に気づいて、それを内省して解消することが苦手です。このため、嫌なことがあった時に、
•無意識に考えないようにする(回避・抑圧・抑制)
•外に発散しようとする(行動化)

という形をとりやすいです

■自分の精神がストレスを受けていることに気付かない?

アレキシサイミアの傾向を持つ人は、ストレスを受けていても自分の精神がストレスを受けていることに気付きません。そのため、ストレス下でも淡々と行動を続けます。「何だかおかしいな」という違和感は感じますが、それがストレスのせいだとはなかなか気付かないのです。

外からは「忍耐強い人だな」「精神力が強い人だ」と思われます。普通の人が「つらい」と感じる状況下でも淡々と作業を続けるため、表面上はストレスに強い人に見えます。しかし実際は、ストレスは確実に蓄積されています。

そのままストレスに気付かずにいると、身体はストレスを頭痛や胃潰瘍などの身体症状として表出することで、SOSを発します。これがアレキシサイミアの方が心身症を発症してしまうパターンです。

またストレスをストレスだと認識できず、上手なストレス発散をしないアレキシサイミアの方は、心身症以外の疾患にもかかりやすいと言われています。ストレスの上手な逃がし方が分からず、薬物に依存したり過食・拒食によってストレスを発散してしまうこともあります。

■アレキシサイミアの原因

アレキシサイミアは心身に特徴的な性格的要因となるので、発症してしまう原因として「ストレス」が考えられます。人間は怒りや悲しみなどの感情は言葉で何気なく表現している生物です。このように自己の身体や感情に対する気づきがうまく表現できると、ストレスの緩和やストレスが身体化して出現することを抑えることにつながります。

アレキシサイミアの患者はこれらがうまくできないため、ストレスのはけ口として痛みなどの症状が身体的に現れるといわれています。日頃あらゆるストレスを感じ、それが緩和されずに慢性化することで自律神経が乱れ、自己防衛機能としてアレキシサイミアになってしまうとも考えられるのです。

◇遺伝的要因

コミュニケーション能力が乏しいと、自分自身の感情を認識することが苦手になることが分かっています。このため、もって生まれた自閉的な傾向がアレキシサイミアには関係しているといえます。

◇養育環境の影響も

感情やそのコントロールは、他者との関係性の中から学んでいきますが、母と子の関係が特に大切です。

子供は「不快」なことがあれば泣き、「快」なことがあれば喜びます。ですが幼い子供では、自分の感情を深く考えることは当然できません。親がその感情に気づき、言葉にしてあげます。そして子供の気持ちを想像して意味づけてあげて、その感情が自然なものと認めてあげます。

こうしたことを通して、感情の気づきと言語化、想像力と内省が身についていきます。虐待されて育った人は、アレキシサイミア傾向になりやすいことが分かっています。

◇脳の機能的な異常

脳の機能的な研究では、脳内のミラーニューロンと呼ばれる活動を調べた研究があります。ミラーニューロンとは、他人の行動を理解したり共感に欠かせない神経です。他人の行動をみて、まるで自分が行って行っているように鏡(ミラー)のような反応をする細胞です。

アレキシサイミアの患者さんでは、ミラーニューロンの働きはむしろ亢進していることがわかりました。脳血流を詳しく調べると、認知的理解は低下しているけれども情緒的理解は高まっていました。

つまり、「悲しい」「うれしい」といった感情だけは強く伝わってくるものの、それを相手の視点にたって頭で理解できていないということになります。自分と他人が一緒になってしまって、他人の視点で物事を考えられない傾向にあるのです。

■アレキシサイミアとアスペルガー症候群

1 2





時事系のメルマガを08年から配信と(平日刊)。他に競馬(週3回)のメルマガを配信しています。他では自閉症の息子関連ブログなど