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平成生まれの無期懲役・死刑囚まとめ

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更新日: 2017年06月20日

akiratetsuoさん

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松尾元気

氏 名
松尾元気(23)

逮 捕
 2012年12月1日(窃盗容疑。12月22日、強盗殺人容疑で再逮捕)

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人、住居侵入、強盗傷害、窃盗他

事件概要
 東京都板橋区の無職・松尾元気被告は2012年11月21日午後3時頃、空き巣目的で同区のマンションに住む会社員方に窃盗目的で侵入。帰宅した主婦(当時34)の胸などを複数回刺して殺害。奪ったキャッシュカードで現金25万8千円を引き出すなどした。
 他に松尾被告は、2012年9~11月、板橋区内で空き巣や強盗を8事件(被害総額約100万円)繰り返した。
 周辺で発生していた連続空き巣事件で採取された足跡が、現場に残された者と酷似。会社員宅のインターホンに残っていた録画の記録と、駅や現金を引き出したATMの防犯カメラに写っていた人物を映像解析したところ、占有離脱物横領容疑などで検挙されたことのある松尾被告が浮上。12月1日、現金を引き出した窃盗容疑で松尾被告が逮捕された。松尾被告は現場から約700m離れたアパートに、若い女性と暮らしていた。12月22日、強盗殺人と住居侵入容疑で再逮捕された。

裁判所
 東京地裁 大善文男裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2013年11月29日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。松尾被告は逮捕当時、事件への関与を否定し、その後は黙秘を続けていた。
 2013年11月11日の初公判で、松尾被告は「私がやりました」と起訴内容を認めた。その他8事件のうち、2012年9月28日に男性(当時71)の頭部を殴ってかばんを奪ったとされる強盗傷害罪については「記憶がない」と無罪を主張した。その他は起訴事実を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、松尾被告が、殺害事件前の約2か月間、板橋区内で空き巣や強盗を8事件(被害総額約100万円)繰り返したと指摘した。弁護側は「仕事が続かず、お金に困っていた。11月上旬に初めて空き巣をし、その後犯行を繰り返し、女姓を殺めてしまった」と述べた。
 22日の論告に先立ち、主婦の遺族らは極刑を求めた。論告で検察側は、「被告には強い殺意があった。盗みに入った被告が口封じに殺害した残虐な犯行で、反省も見られない」と批難した。
 判決で大善文男裁判長は、松尾被告が主婦の手足を縛ってキャッシュカードの暗証番号を教えるよう脅し、主婦が声を出して手を上げたため、とっさに持っていたサバイバルナイフで突き刺したと認定。被害者の傷の深さなどから「確定的な殺意があった」と判断した。そして「殺傷能力の高いナイフで20回前後も執拗に刺し、残虐で悪質だ」と非難した。ほかに起訴された強盗傷害や空き巣など8事件についても認定し、「場当たり的な性格や精神的な未熟さがうかがえるが、酌量減軽すべき事案ではない。楽に金を手に入れるため空き巣を繰り返し、ついには強盗殺人に及んだ。犯行態様は残虐悪質で遺族の悲しみは深い」と述べた。大善裁判長は「無残な方法で愛する家族を突然奪われた遺族が、死刑を求めるのも当然」と指摘。その一方で、「殺人に計画性がなく、積極的な殺意までは認められないことから、死刑を選択すべき事案ではない」と量刑理由を説明した。

備 考
 警視庁高島平署捜査本部は事件発生翌日の11月22日に東京大学医学部付属病院で遺体を司法解剖し、結婚指輪を外して押収品として保管。病院から高島平署に戻った後で指輪がないことに気付いた。署内や病院などを捜したが見つからず、警視庁幹部が12月に遺族に謝罪した。警視庁は紛失の事実の公表を検討したが、遺族の意向で公表を控えていた。
 裁判員選任手続きで、東京地裁は候補者に「審理で遺体写真を使う」と予告した。地裁が候補者に遺体写真の使用を予告するのは初めて。
 控訴せず確定。

奥山喜裕

氏 名
奥山喜裕(23)

逮 捕
 2012年1月11日

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人

事件概要
 京都市右京区の貴金属買い取り会社社員、奥山喜裕被告は2011年12月19日、伏見区に住むパート勤務の女性(当時68)方を訪れて貴金属を脅し取ろうとしたが、女性が助けを呼ぼうとしたため、首や手を肌着で絞めて殺害し、指輪5個を奪った。奪った指輪のうち4個は、勤務先とは別の業者で計約3万円に換金し、交際相手とのクリスマスディナーなどに使った。1個は交際女性に渡した。
 奥山被告は12月10日に同僚の鑑定士とともに女性宅を訪れ、指輪1点を500円で買い取っていた。
 事件後、女性宅から指輪がなくなっていたことや買い取り業者が訪問していたとの情報などから奥山被告が浮上し、京都府警は2012年1月11日、強盗殺人などの容疑で奥山被告を逮捕した。

裁判所
 大阪高裁 横田信之裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2014年9月5日 無期懲役(被告側控訴棄却)

裁判焦点
 判決理由等は不明。

備 考
 2013年10月28日、京都地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。

竹井聖寿

氏 名
竹井聖寿(25)

逮 捕
 2014年3月5日

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人、強盗致傷、大麻取締法違反(所持)他

事件概要
 千葉県柏市の無職竹井聖寿(せいじゅ)被告は、2014年3月3日23時過ぎに自宅近くのコンビニでニット帽と手袋を購入。サングラスとマスクも着用し、各犯行に使用した刃体が21.9cmのナイフに加え、別のナイフや手錠2個、催涙スプレーも持って、襲う相手を探した。23時34分ごろ、自宅アパート前の路上で近くを通りかかった女性に声を掛けたが、女性は逃げ出した。数分後、通りかかった自転車の男性(当時25)に刃物を見せた。逃げた男性は払いのけた際に左手の親指を切り軽傷を負った。続けて11時37分ごろ、同じアパートに住む会社員の男性(当時31)の首や背中をナイフ(刃渡り約22m)で数回刺して殺害し、現金1万数千円などが入ったバッグを奪った。さらに通りすがりのワゴン車の男性(当時44)に「金を出せ。人を殺した」とナイフで脅し、現金約3500円入りの財布を奪った。竹井被告はワゴン車に乗り込んだが、発車できず、乗用車を止めた男性(当時47)から車を奪った。車は約1.3km先のコンビニエンスストアの駐車場で乗り捨てた。
 竹井被告は4日、報道各社の取材に30分近く応じ、アパート内の通路から数分間、犯行現場を撮影したと説明した。
 県警の捜査員は5日朝、竹井被告に任意同行を求めると、竹井被告は「チェックメイト」と答えて素直に応じた。同日夜、強盗殺人容疑で逮捕した。
 千葉地検は竹井被告が不可解な説明をしていたことから鑑定留置を千葉地裁に請求し、4月11日から3か月が認められた。7月17日、千葉地検は竹井聖寿被告を起訴した。鑑定留置中の精神鑑定結果や取り調べ状況などから、刑事責任を問えると判断した。

裁判所
 千葉地裁 小森田恵樹裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2015年6月12日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。
 2015年5月27日の初公判で職竹井聖寿被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側は事件前に竹井被告の所持金が1万数千円しかなかったことに触れ、「生活費や遊興費など単なる金目当てだった」と指摘。そして「ハイジャックをしてスカイツリーに突っ込むなどの話は、ネット仲間と会話を楽しむための空想」と述べた。判断能力は「アルコールや大麻を服用していたためで被告人に有利に解するべきではない」とした。
 弁護側は起訴事実ととともに、竹井被告に責任能力があったことを争わない方針を示した。しかし、動機については「生活費のほかハイジャックの準備資金がほしかった。依存しているインターネットの仲間に自分を誇示しようとした」と述べた。判断能力についても「精神疾患の影響による妄想が犯行に駆り立てた。善悪を判断する能力が減退していた」などと刑の減軽を求めた。
 2日の公判で竹井被告はこれまでのスーツ姿とは打って変わり、腕のタトゥーを露わにしたタンクトップ姿で入廷。開廷前、「裁判長に申し上げる」といった不規則発言をしたり、突然笑い声を上げたりし、弁護士に促され一時退廷。約1時間遅れで開廷した。
 3日の公判で竹井被告は動機について「ハイジャックをしてスカイツリーに突っ込むテロを実現させるため、けん銃を買おうと思った。その金が欲しかった」と逮捕直後と同じ内容の供述を繰り返した。「テロを通して、自分がこれまでに受けたいじめや親からの暴力、差別などの理不尽さを社会に訴えたかった」とも述べた。被害者を殺害した理由については、「抵抗してきたので怒りを感じた。殺すしかないと思って首を刺した。とどめを刺そうと、倒れた被害者の背中をナイフで何回も刺した」と供述。抵抗する被害者が「こんなところで死んでたまるか」、首を刺されてうつぶせに倒れた後には「まだ死にたくない」と漏らしていたことを初めて明かし、「罪が重くなると思ってこれまで言わなかった」と話した。2日の公判の開廷前に、歌を歌うなど挑発的な言動を繰り返した理由を問われると、「死刑になりたくてわざとやった」と述べた。
 5日、被害者参加制度を利用して意見陳述した被害者の父親は「極刑でなければ納得できない」、母親も「絶対に許さない」と涙ながらに語った。両親の陳述を竹井被告は無表情で聞き、弁護側が「ご両親のつらい気持ちが理解できたか」と尋ねても、「全く理解できません」と答えた。
 同日の論告で検察側は、動機を「被害者のバッグを奪っているが、そこから現金だけを抜き取った。ハイジャックとは関係ない、生活費や遊興費ほしさの単なる金目当ての犯行だった」と指摘し、「精神鑑定医の証言から、被告人は統合失調症とは言えない。人格が事件を引き起こした。強固な殺意を持って何度も刺しており残虐かつ悪質」と主張した。そして強盗殺人罪で被害者が1人だった過去の裁判とのバランスなどを理由に挙げ「極刑は慎重にすべきだ」と説明した。父親は最後の求刑意見で、「遺族を代表して死刑を求刑します」と述べた。
 同日の最終弁論で弁護側は、ハイジャックの資金を得るなどの動機は「妄想と評価できる」、事件後に竹井被告が血が付着した衣服のままホテルにチェックインしたことなどは「合理性に欠ける行動」と反論し、「統合失調症により説明できる」として情状酌量による懲役25年が相当と主張した。
 竹井被告は最終意見陳述で、「被害者はテロの犠牲者。社会に対する復讐心は消えず、遺族に謝罪の気持ちはない。刑務所から出たらまた殺人を犯すので死刑を望みます」などと述べ、反省や謝罪の態度を見せなかった。
 判決で小森田裁判長は精神鑑定を行った医師の証言から「統合失調症には罹患していなかった。犯行は性格の偏りから引き起こされたに過ぎず、被告に特に有利な事情とすべきではない」として弁護側の主張を退けた。そして「強固な殺意に基づく残虐で執拗な犯行。生活費を得るための動機に酌量の余地はない。裁判での態度からすると、再び同様の凶行に及ぶ可能性が高いことは否定できない」と述べた。
 この日竹井被告は、腕の入れ墨を露出させたタンクトップ姿で尾崎豊の「卒業」を歌いながら入廷。裁判長から「静かにしなさい」とたしなめられた。判決の主文言い渡し後にも拍手し、「これでまた殺人ができる」と発言するなど不可解な言動を続けた。閉廷後は「検察官、悔しかったら死刑にしてみろ」などと大声を上げて、地裁職員に取り押さえられた。

備 考
 被告側は控訴した。2016年3月30日、東京高裁で被告側控訴棄却。2016年10月11日、被告側上告棄却、確定。

加藤健太

氏 名
加藤健太(26)

逮 捕
 2015年2月20日

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人、住居侵入

事件概要
 大阪市住吉区に住む元ボーイで無職の加藤健太被告は2015年1月17日午後1時ごろ、北区のマンションに住む売り専(ゲイ風俗)オーナーである知人男性(当時39)を持っていたハンマーで十数回殴打して殺害。さらに室内を荒らし、現金約15万円やスーツ、腕時計などを奪った。
 加藤被告は交際相手の女性から貯金箱やデパートの商品券、時計などをたびたび盗んでいたことから、女性は100万円の返済を求めた。2014年11月ごろには女性の妊娠が発覚し、結婚話も持ち上がったが、売り専もさぼりがちで定職にもつかず。2014年末から2015年明けにかけては3件の空き巣をはたらき、盗んだ指輪などはブランド買い取り店などで換金した。
 知人男性とは2014年6月、ボーイと客として知り合い、個人的な関係になったが、その後の肉体関係はなかった。男性は無職だった加藤被告を目にかけ、新規出店予定のオーガニックカフェで「料理を担当してほしい」と頼み、加藤被告は働く予定だった。
 事件後、堺市内のリサイクルショップに男性のスーツが持ち込まれていたことが分かり、その際に提示された免許証などから加藤被告が浮上した。大阪府警は2月20日、加藤被告を強盗殺人容疑などで逮捕した。

裁判所
 大阪地裁 斎藤正人裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2015年9月2日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。
 2015年8月25日の初公判で、加藤健太被告は「間違いありません」と罪を全面的に認めた。
 女性は金の返済を求めたものの、厳しく請求したわけではない。加藤被告は動機について、「当時は不通の考えができなくなり、どううしていいのかわからなくなって」と答えており、本人もよくわかっていない。
 28日の論告求刑で、被害者の母親は「息子を見るも無残な姿にした被告に、この世で生きていてほしくない」と涙ながらに訴え、検察は「動機も極めて身勝手で、真摯に反省しているとは言えない」と断じた。
 判決で斎藤裁判長は、「危険かつ残虐、執拗なもので動機や経緯にも全く酌量の余地はない」と断じた。

備 考
 同じマンションの別の階に住む被害者の知人であるゲイバーママ(当時34)が、被害者の死亡推定時刻の約1時間後に自殺したが、後に事件とは無関係であることが明らかになった。
 被告側は控訴した。2016年2月16日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

沼田雄介

氏 名
沼田雄介(21)

逮 捕
 2014年10月16日

殺害人数
 1名

罪 状
 殺人、銃刀法違反

事件概要
 埼玉県入間市の私立大学2年生沼田雄介被告は2014年10月15日午後10時10分ごろ、コンビニのアルバイト先から帰宅途中だった近くに住む私立大学3年生の女性(当時21)を、自宅までわずか20mの細い路地で襲い、逃げる女性を背中から刺し、約16m執拗に追いかけ、背中や胸などをコンバットナイフ(刃渡り約18cm)で絶命するまで32か所刺して殺害した。
 沼田被告は翌日午前1時20分ごろ、「人を刺した」と県警狭山署に出頭。供述通り、現場近くで凶器とみられるナイフが見つかったことなどから殺人容疑で緊急逮捕した。沼田被告は女性がコンビニ店で働いているという記憶があったが、交友関係はなかった。
 沼田被告は10月17日付で大学を退学処分となり、1月に入団していた市消防団員も懲戒免職となった。
 さいたま地検は沼田被告の刑事責任能力を調べるため、10月31日から2015年2月2日まで鑑定留置していた。さいたま地検は刑事責任能力があると判断し、2月6日に起訴した。

裁判所
 さいたま地裁 片山隆夫裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2015年10月7日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。
 2015年9月28日の初公判で沼田雄介被告は起訴内容を認めた。
 冒頭陳述で検察側は「犯行態様が残虐で、コンバットナイフを事前に用意するなど計画性があった。『誰でも良いから殺したかった』『現実から逃げたかった』との動機も身勝手」と指摘した。弁護側は「悲鳴を聞いて頭が真っ白になり『やりとげるしかない』と何度も刺した。留年や失恋で追いつめられ、人生のリセットしか考えられなかった」と主張し、沼田被告が出頭していることなどを挙げ情状酌量を求めた。
 証人尋問で、沼田被告の父が息子の量刑に関して「無期懲役に値する」と述べたところ、被害者の父に問い質され、「やはり死刑がふさわしい」と言い直した。
 検察側は沼田被告の父に「これまで、何度(殺害現場の)献花台に行きましたか」と問うと、「昨年12月くらいに1回行っただけです」と小さな声で答えた。そして「生活上、多額の借金があるため、まだ賠償は何もできていない」と加えた。この日、沼田被告は、大学での失恋や留年が確定的になったことで「現実から逃げたい。これまでの自分の人生を台無しにして、リセットしたい。刑務所にいくしかない」などと極めて身勝手な犯行動機を述べた。「(身長169cmの)自分より体格の小さい人ならだれでもよかった」と事件2日前から殺害対象を物色していたことも明かした。
 被害者の父に「あおむけになって何度も『助けて』と苦しい表情で懇願する娘に向かって、何度もナイフで刺したんですね」と問われると、「はい」と冷ややかに回答。自身の刑期は「20年近くなるだろう」と述べた。
 沼田被告は、高校時代に不登校になり通信学校に転校。大学でも授業についていけず、昨年9月から学校に行かずネットカフェに入り浸るようになった。そんな息子と、それまで話し合ってこなかったという被告の父は「なぜ刑務所にいきたいと思ったのか、今も分からない」。それでも、「(刑期を終え)社会復帰したら、何でも話し合える環境を作りたい」と更生を願っていた。
 29日の論告で検察側は、「人生をリセットしたかった」などとした沼田被告の犯行動機について「理解不能で極めて身勝手」「面識のない、前途ある女子大学生の命を奪い、遺族の処罰感情も強い」などと指摘し、被害者が1人の殺人事件の中で最も重く処罰されるべき事案だと主張。事件後の出頭も反省や後悔に基づくものではなく、減刑の理由にはならないとした。被害者参加制度を利用して公判に参加した被害者の父は「被告は自分が死刑にならないことを前提で娘を殺した。自分の命を保証された形で人を殺すことが許されていいのか。私が20年刑務所に行くから被告人を殺させてください」と涙ながらに心情を述べた。被害者の弟は「被告と同じような考えをもった別の犯人を出さないためにも、被告には死刑を求める」と訴えた。
 同日の最終弁論で弁護側は「事件と向き合い、反省している」と懲役18年が妥当と主張した。
 判決で片山裁判長は、沼田被告が大学で留年が確実になり、自分に嫌気が差して「人生をリセットしたかった」などと犯行理由を述べたことについて「身勝手で生命軽視が甚だしい」と指弾。殺害相手を数日間物色したことについても「殺意が強固で、強い非難に値する」とした。沼田被告が事件の数時間後に出頭したことについても「刑務所に入るという当初の計画通りの行動であることに照らせば、反省に基づくものとは言い難い」と述べた。そして、犯行は計画的で残虐、殺意も強固だったとし「凶器を使用して面識のない被害者1人を殺害した事案の中でも最も重い部類に属する」と判断した。

備 考
 控訴せず確定。

古谷有平

氏 名
古谷有平(23)

逮 捕
 2015年8月11日

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人

事件概要
 三重県津市の無職古谷有平被告は2015年8月9日午後3時45分ごろ、出会い系アプリで知り合った住所職業不詳の中国籍の女性(当時38)と鈴鹿市白子町のホテルに入った。女性がシャワーを浴びている間に約11万6千円入りの財布が入ったショルダーバッグを物色。女性に見つかり、バッグの奪い合いになった際、室内のパイプ椅子で頭などを複数回殴って殺害した。
 古谷被告は車で宮城県へ逃走。奪ったショルダーバッグと財布を、宮城県内のリサイクルショップで10日に売却した。
 事件直後、古谷被告の軽乗用車がホテルを出て行く様子が近くの防犯カメラに映っていた。古谷被告のインターネットなどの通信履歴を調べた結果、女性とは出会い系サイトで知り合ったことが判明。宮城県警が11日早朝、同県内の東北自動車道を車で逃走中の古谷被告を道交法違反(無免許運転)容疑で現行犯逮捕したため、捜査員が出向き、殺人容疑で逮捕した。捜査本部は13日、容疑を強盗殺人に切り替え、古谷被告を津地検に送検した。
 8月27日から10月30日までの鑑定留置で津地検は刑事責任能力はあると判断し、11月4日に起訴した。

裁判所
 津地裁 増田啓祐裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2016年7月20日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。
 2016年7月1日の初公判で、古谷被告は「殺意はありません」と起訴内容を一部否認した。
 検察側は冒頭陳述で、古谷被告はイスが壊れるほど強い力で後頭部を殴っていることなどから「人が死ぬ危険な行為とわかっていた」と述べ、殺意があったと主張。また、「事件当時はうつ状態ではなく、十分に行動を制御できた」と指摘した。一方、弁護側は「被害者に見つかり、パニックになってとっさに殴ってしまった。殺害する動機もない」と反論、殺意を否定して強盗致死罪の適用を主張した。また、「被告は事件前からうつ状態で、行動をコントロールしきれなかった」とした。
 12日の論告で検察側は、「女性の後頭部目がけてパイプ椅子を振り下ろし、頭蓋骨を陥没させるほどの強さで殴ったことからも、人を死なせる危険性は十分認識していた」とし、被告には殺意があったと主張。「突発的だったとはいえ、金ほしさと逮捕を免れるための犯行に酌量の余地はない。被害者に全く落ち度はなく、遺族感情も大変厳しい。賠償も不十分で、くむべき事情はない」と説明した。
 同日の最終弁論で弁護側は、で「気絶させようと頭を殴ったが、力の加減ができなかったのは精神的に不安定だったからだ」として殺意を否認。犯行の計画性についても「バッグを盗もうとしたのが見つかりパニック状態に陥ったためで、凶器も事前に準備したわけではない。女性と会うまで窃盗自体も考えていなかった」と否定。古谷被告の父親が賠償として被害者側に100万円を支払っていることなどを挙げ、「更生が期待できる」として懲役15年が相当と訴えた。
 判決で増田裁判長は、「パイプ椅子の硬い座面で後頭部をかなり強い力で殴っている。人が死ぬ危険性の高い行為との認識があった」と指摘し、殺意を認定した。また事件当時の古谷被告の精神状態について、判決は「変装して宮城県まで逃亡するなど、合理的で一貫した行動をとっていた」と指摘し、弁護側の主張を退けた。

備 考
 被告側は控訴した。2016年11月15日、名古屋高裁で被告側控訴棄却。2017年3月13日、被告側上告棄却、確定。

中野翔太

氏 名
中野翔太(21)

逮 捕
 2015年4月23日

殺害人数
 1名

罪 状
 強盗殺人、強盗強姦、逮捕監禁

事件概要
 住所不定、無職の中野翔太被告は、同、井出裕輝被告、千葉県船橋市のアルバイトの少女(当時18)、東京都葛飾区の鉄筋工の少年(当時16)と共謀。2015年4月19日夜、千葉市中央区の路上を歩いている船橋市の被害少女(当時18)に少女が声をかけ、井出被告が運転する車に乗せた。その後、井出被告、中野被告、少女は被害少女に車内で手足を縛るなどの暴行を加え、現金数万円が入った財布やバッグを奪った。さらに20日午前0時ごろ、芝山町の畑に連れて行き、中野被告が井出被告の指示で事前に掘っていた穴に被害少女を入れ、中野被告が土砂で生き埋めにして、窒息死させた。少女の顔には顔全体に粘着テープが巻かれ、手足は結束バンドで縛られていた。
 被害少女と少女は高校時代の同級生。被害少女は高校中退後に家を出て、アルバイトをしながら暮らしており、飲食費などを複数回、逮捕された少女に借りたことがあった。少女は友人から借りた洋服などを返さなかった被害少女に腹を立て、井出被告に相談し、事件を計画。少女は少年にも声をかけ、参加させた。井出被告は中野被告に協力をもちかけ、犯行に及んだ。井出、中野被告は被害少女と面識はなかった。また少年も、井出、中野被告と面識はなかった。
 21日になって船橋東署に「女性が埋められたという話がある」との情報が寄せられたため、事件に巻き込まれた可能性が高いとみて捜査を開始。24日未明までに、車に乗っていた東京都葛飾区の少年と船橋市の少女、中野翔太被告を監禁容疑で逮捕し、井出裕輝被告の逮捕状を取った。そして供述に基づき芝山町内の畑を捜索し、女性の遺体を発見した。同日、井出被告が出頭し逮捕された。5月13日、強盗殺人容疑で4人を再逮捕。
 6月4日、千葉地検は井出被告、中野被告を強盗殺人罪などで起訴。少女を強盗殺人などの非行内容で千葉家裁に送致した。地検は少女に「刑事処分相当」の意見を付けた。少年は共謀関係がなかったとして強盗殺人では嫌疑不十分として不起訴にし、逮捕監禁の非行内容で家裁送致した。千葉家裁は7月17日、少女について、「刑事処分を選択して成人と同様の手続きを取り、責任を自覚させることが適切」として検察官送致(逆送)した。千葉地検は24日、少女を強盗殺人などの罪で千葉地裁に起訴した。

裁判所
 千葉地裁 吉井隆平裁判長

求 刑
 無期懲役

判 決
 2016年11月30日 無期懲役

裁判焦点
 裁判員裁判。
 2016年11月11日の初公判で、中野翔太被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、中野被告が穴を掘ったり女性に土砂をかけて埋めたりするなど「事件の重要な部分で自ら手を下している」と指摘し、犯行が残虐かつ計画的、動機も身勝手で理不尽と主張。芝山町の畑で「殺さないで。死にたくない」と助けを求めた女性の声が周囲に聞こえてしまうと焦り、最後に土をかぶせて埋めたのは中野被告だと指摘した。弁護側は、中野被告は井出裕輝被告の従属的立場にあり、「井出被告の指示に従った」と強調。、中野被告は幼少期に両親が離婚し、祖母に育てられた成育歴なども踏まえた上で、裁判員に「被告が事件に関わった背景に目を向けてほしい」と訴えた。
 14日の第2回公判では、共犯の少年が証人出廷し、「本当に申し訳ない。被害者のことを考えながら生きていきたい」と謝罪の言葉を述べた。検察側の尋問に、少年は車内や畑で他の3人が行った暴行の様子などを証言。また、中野、井出両被告とは少女を通じて事件当日に初めて出会ったことや、そのまま監禁行為に関与することになった経緯を説明し、「何をするかも分からず不安だった」と振り返った。
 15日の第3回公判で、中野被告は、事件前から井出被告との間に主従関係があり「井出が上だった」と説明。事件前日、井出被告に「人を埋める場所はないか」と尋ねられた際は「人を殺すのだと思った。手伝えと言っているのだと思ったが、関わりたくなかった」と述べた。その後、女性を埋める畑を井出被告と下見したが「まだ完全に関わると思っておらず、はっきり断らなかった」と供述。弁護側に理由を問われると「(関与は)嫌だったが(井出被告に)言いくるめられると思い、断れなかった」と答えた。自分1人で女性を穴に引きずり入れ、生き埋めにした点については「井出に『ちょっとだけ埋めておいて』と言われ、砂をかけ始めたら女性が声を上げた。(周囲に)ばれると思い、焦って全部(砂を)かけた」とした。さらに、当時は人を埋めることが「あまり重い罪だとは思っていなかった」と述べた。
 また、検察側に井出被告との殺害方法の相談の有無を問われ、中野被告は「殺してからだと重い」として生き埋めの方が良いと意見したことを明かした。検察側は中野被告が犯行後、友人に「今の俺さ、最強だよ。人を容赦なく殺せるもん。ちゃんと痛めつけてからね」などとメールを送っていたことも指摘。メールの意味の説明を求められた中野被告は押し黙り、回答に窮する様子がみられた。
 18日の第5回公判における意見陳述で、女性の母親らが「娘がどれほど怖い思いをしたか。犯人には極刑以外望まない」と訴えた。母親は女性の幼少時の思い出などを振り返りながら「娘の成人式も、花嫁姿ももう見ることができない。全てを奪われた」と涙ながらに語った。女性の妹は「大好きなお姉ちゃんがいないことが辛い。犯人たちには一生後悔してほしい」と痛切な思いを打ち明けた。検察側の証人尋問で出廷した女性の父親は「(中野被告は)自分勝手な言い訳ばかりしているが、最終的には自ら手を下している」と糾弾した。中野被告はうつむいたまま、身じろぎもせずに訴えを聞いていた。
 また、弁護側の証人として出廷した精神鑑定医は、起訴後の精神鑑定で中野被告に軽度の精神遅滞が認められるとした一方、犯行は中野被告の性格やグループでの集団心理によるところが大きく、犯行への影響は限定的な程度にとどまるとした。
 21日の論告で検察側は、「泣きながら『殺さないで』と哀願する被害者に冷酷に土をかぶせ続けた。人間の尊厳を一顧だにせず、単なるモノとして扱ったに等しい」と犯行態様を批判。さらに「事件前に結束バンドなどを購入したり、掘った穴が埋め戻されていないか確認する念の入れようで、周到に準備していた。まれに見る凶悪事件」と主張した。また、職場の人間関係によるストレスの憂さ晴らしなどといった動機は「身勝手で理不尽。興奮や高揚感を覚え、積極的に犯行に加担した」と指摘。「犯行は計画的で残虐。被害者に落ち度はなく動機は身勝手だ」と批判した。一方、出頭して関与を認めているなどとして「死刑求刑はためらわれる」と述べた。
 遺族の代理人弁護士は意見陳述で、「殺されなければいけない理由などなかった」として死刑を求めた。

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akiratetsuoさん